3匹の子ブタのオオカミは本当に悪者? 子どもの考える力を育む「名作童話の読み方」

石原健次

考える力を伸ばすには

――ご自身の子育てで、「考える力」を伸ばすために気をつけていることはありますか?

これは妻に言われて心掛けるようになったのですが、できるだけ答えを言わないようにしています。「だったらどうしようか」と、自分で考え、判断させる。親が答えを教えることは簡単だし、楽なんですよ。でも、それだと自分の頭で考えて結論を出すことが難しくなってしまいます。習慣づけるといいますか。

――親や先生の言うことが、必ずしも正しいとは限らないですしね。

子どもが自分で考えて判断したことなら、子どもが自分で責任を持つことになります。もちろん、明らかにまちがった答えを導きだしてしまったら、なぜそれが違うのか、ということを一緒に考えるようにしています。親もそこから学べることが大きいと思うんです。

――本書の童話探偵ブルースのキャラクターにも、それが活かされているように感じます。

ブルースは、まず秘書のシナモンに考えさせるんです。もちろん、考え方のヒントは出すけれど、答えは言わない。そのうえで、ブルースなりの「読み解き」を最後に披露しますが、それが唯一の正解では決してない。

ブルースの視点を通して、子どもたちにも一緒に考えてほしかった。大切なのは、自分なりの「読み解き」に至るまでの思考の仕方だと思うんです。それが、「考える力」を育てることになると思っています。

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