スウェーデンの家庭に学ぶ「親がやってはいけない」子育てとは?
日本の家庭でますます過熱する「お受験」や「習い事」。多くの親御さんが子どもの英才教育に関心を持ち、力を注いでいます。しかし、これらは全て「プラスαの子育て」。子育てにおいて本当に重視すべきこととは何でしょうか。スウェーデンの教育と日本の教育を比較しながら、いま一度親が考えておきたい「子どもに必要な教育とは何か」について論考します。
※本稿は中山芳一著『「やってはいけない」子育て 非認知能力を育む6歳からの接し方』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集したものです。
中山芳一(岡山大学教育推進機構 准教授)
専門は教育方法学。1976年岡山県生まれ。大学生のキャリア教育に取り組むとともに、幼児から高校生までの子どもたちが非認知能力やメタ認知能力を向上できるよう尽力している。さらに、社会人対象のリカレント教育、産学官民の諸機関と協働した教育プログラム開発にも多数関与。学童保育現場での実践経験から、「実践ありきの研究」をモットーにしている。
日本の家庭は「プラスα」の子育てばかりしている?
「どうして、日本の保護者のみなさんは、プラスαの子育てばかりしようとされるんですか?」
以前からよく一緒に仕事をしてきたスウェーデンの校長先生(実は、日本人女性の方)とリモートで打ち合わせをしていたときに出てきた質問でした。
彼女は、高校生~大学生にかけてのスウェーデン留学がきっかけで、そこからスウェーデンの学校現場で働くようになり、いまでは校長先生になられています。
そんな彼女が、別の国から日本の子育てを見ていて生まれた疑問…。これを聞いたときには、かなりのインパクトがありました!
小さい時から〇〇教育をさせておいたらいいらしいよ!
やっぱり、お子さんの受験は幼稚園からさせないと!
□□大学に合格させるなら9歳までにこれをやらせないと!
…などなどなどなど
これらが、いわゆる「プラスα」の子育てです。
そう考えたら、日本には、本当にたくさんの「プラスα」があります。知育や勉強はもちろんのことながら、スポーツや芸術にかかわるようなものも、いわゆる習いごとやお稽古ごとと呼ばれるもの、さらには新しいヨコ文字やアルファベットの教育プログラムに到るものまで…。
岡山県(地方)在住の私でさえそう感じるぐらいですから、都心部にいらっしゃるみなさんはなおさらでしょう。
そのような中で、「うちの子、小学校に入学する前に始めたんですよ。だって、1年生になってからじゃ遅いでしょ!」などという声が聞こえてきたりすると、かなりのプレッシャーがかかってしまうのではないでしょうか?
そして、多くの方々はこんなふうに思ってしまいますよね?
「うちの子、大丈夫だろうか?」
私も3人の子どもの親ですから、多くの方々がそんなプレッシャーを感じていることは想像できます。
そこに来て、先ほどのスウェーデンの校長先生の話になるんですよね。
そっか、私たちの多くは、「プラスα」の子育てばかりをしてしまっているのかもしれない…。いつの間にか、そんな子育てにとらわれてしまっていて、やたらとプレッシャーや焦りを感じていたのかもしれない…。
私は、彼女からの質問にそんな思いを抱いてしまったんです。