きょうだいゲンカばかりでうんざり…親はどうケアするのがベスト?
きょうだいで仲良くしてほしいのに、寄れば触ればケンカばかり。仲裁しても、言い聞かせても、なだめても、叱っても、次に日はまた同じようなことでケンカが続き、うんざりしているという家庭もあることでしょう。
そんなきょうだい間のケンカやトラブルが起こったとき、親はどのように対応すればいいか、子育てアドバイザーの高祖常子さんに聞きました。
※本稿は高祖 常子著『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
上の子が下の子をいじめる
上の子が下の子をすぐにいじめます。上の子がおもちゃで遊んでいるときに、下の子が興味津々で近寄って行くと、下の子を押したり、たたいたりします。(4歳女の子、1歳男の子)
子どもの気持ち
上の子の気持ちは「私がせっかく遊んでいるのに、邪魔しないでよ。あっち行ってて」下の子の気持ちは「お姉ちゃん、なんか楽しそうなことしてる。僕も遊びたい」という感じでしょう。
上の子が安心して遊べる空間の確保を
もちろん、下の子を押したりたたいたりするのはよくないこと。それはきっぱり伝えましょう。ただし、たぶん上の子も「触らないで」「あっちに行って」などと、下の子に対して伝えていたのではないでしょうか。
上の子の気持ちを考えれば、日中は園での集団生活をして、家に帰ってやっと自分のペースで遊んでいるのに、下の子に邪魔されてイライラしているのかもしれません。可能なら、上の子が安心して遊べるスペースを確保してあげてはいかがでしょうか。
スペースがなければたとえば、テーブルの上で遊ぶとか、一定時間はチャイルドゲートで区切るなど。または、上の子が帰ってきて30分くらいは、親が下の子をおんぶして家事をこなすなど。
きょうだいで仲良く遊んでくれると助かりますが、時には、上の子が集中して遊べる環境を整えましょう。
上の子のいい行動に、感謝を伝える
きょうだいがいる場合、下の子をいじめるなど、上の子が叱られることが多くなりがちです。下の子をいじめたくなる上の子の気持ちを汲み取って対処するようにしましょう。
そして、悪い行動を叱るよりもいい行動をほめること。上の子は、親にとって、とても心強い助っ人になってくれることもあります。
上の子が下の子におもちゃを貸してあげたり、下の子の面倒を見てくれたときには、「ありがとう」「助かったよ」などと声を掛けましょう。
子どもを育むためのヒント~きょうだい~
・上の子の安全エリアを確保
上の子が遊んでいるときに、下の子が邪魔して、けんかになることはよくあること。下の子の成長に従って、一緒に遊べるようになりますが、上の子が集中して遊びたいときは、安心して遊べる場の確保を。
・上の子との特別な時間も、時には作る
きょうだい平等にと思っても、下の子のほうのお世話に手がかかっているもの。上の子は知らず知らずのうちに、我慢していることもある。時には上の子とママ、上の子とパパだけで外出するなど特別な時間を作ろう。
・どちらかを先に
上の子と下の子がいっぺんに寝てくれたり、お世話をまとめてできたりすればいいけれど、そうもいかないもの。手が足りないときには、どちらかを先に。 上の子に相談して協力してもらうのも一案。
上の子の言葉や行動に注目することを心がけて
子どもが複数いる場合、きょうだいの子育てに悩む人は、とても多いものです。
赤ちゃんが生まれた、またはまだ下の子が小さくて手がかかる。そんなときに、上の子にも手がかかったり、上の子が今までできていたことをやってくれなくなったりと、ママ(パパ)ひとりでは、子どもたちのお世話はもちろん、基本的な生活を回すことさえも大変困難になります。
子どもと向き合ったりするどころか、きょうだいで食べる、寝る、トイレという、基本的なことを回すだけでも精一杯。「ひとりでどうしたらいいの!」という迷いや、つらさが爆発し、子どもをついどなりつけることにつながってしまったりします。
子どもに対して、優先順位をつけるという発想は抵抗があるかもしれませんが、大人がひとりしかいない場合は、なるべく上の子に先に対応するというのが、1つの考え方です。
赤ちゃんや下の子は、おむつを替えたり、お世話をしたり、必然的にある程度の時間や手間をかけているでしょう。
どうしても上の子はあと回しになりがちなので、上の子への関わりを、なるべく優先するようにと心がけてみましょう。
上の子は、いろいろな気持ちを持って、親に対してさまざまなメッセージを伝えてくれています。言葉だけでなく、行動、機嫌なども、1つの発信です。下の子のお世話に追われながら、上の子に対応していると、なかなかキャッチしきれませんが、あえて心がけて、上の子の表情や行動などに注目してみましょう。
親を困らせるような行動には、上の子の切ない思いが、きっと隠れているはずです。話を聞いたり可能なことは対応しましょう。
子どもの言動と心にギャップがあることも
子どもの言葉と心に、ギャップがあることもあります。
大人でもありますが、強がって見せる、また配慮して自分を出せないというようなことです。
特に上の子や、3人きょうだいの真ん中の子などは、その傾向が強いよう。親が下の子に手がかかっていると思うと、甘えたくても我慢してしまったり、寂しいのに妙にハイテンションで楽しそうにふるまったりすることもあります。
また、よくあるのが、園や学校ではすごくしっかり頑張っているのに、家では妙に甘ったれで、なかなか動いてくれないというケース。
これはとても健全に成長している証拠です。社会性が身についている、つまり園や学校という公の場では、周囲に気遣いながら行動できているということです。
そして、家では、思い切り甘えてバランスをとっているのです。親のほうは、「家でだってできるはず」「なんで、自分でできるのに甘えるの?」と思ってしまいますが、外で頑張っている証拠と思って、可能な範囲で対応しましょう。
ただし、子どもの要求がエスカレートする場合には、「○○はできるけれど、△△まではできない。そこは自分でやってね」など、ある程度線を引いて対応するといいでしょう。
関連書籍
こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て(かんき出版 )
メディアに話題になった『イラストでわかる 感情的にならない子育て』(2017年)の第2弾。
著者は、前作同様「どならない、たたかない子育て」を推進し、4万6000人のママとパパにアドバイスしてきた、子育てアドバイザーの高祖常子さん(育児情報誌miku元編集長)。
セーブ・ザ・チルドレンジャパンの2万人アンケートによると、約6割が子どもへのしつけとして体罰(叩くこと)を容認しているという結果が出ているとのこと。
「毎日イライラ」「たたきそうになった」「どなってばっかり」と自己嫌悪するママやパパに贈る、「子育ての困った」をまるっと解決してくれる1冊です。