SNSで心をすり減らす10代 不安や劣等感に振り回されない方法は?
コミュニケーションツールとして生活に欠かせないSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)。便利な一方で、「既読が付かない」「友人と比べてしまう」といったストレスを感じることも……。
10代がSNSと上手に付き合うためのコツを解説します。
※本稿は、 松丸未来監修 『思春期の心理を知ろう!』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
表情や仕草を確かめられない
思春期は、自分と友達のちがいに不安を感じる時期です。ですから、友達と価値観を共有し、お互いの信頼感を高めるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)がない毎日を想像できない人もいるでしょう。
しかし、SNSは、自分をつらくさせることもあります。返信がなければ、不安がつのります。画面に映る投稿者の容姿や持ち物に、劣等感をいだきます。「いいね!」が多い投稿に嫉妬し、自分がいないグループで友達が楽しんでいることを知れば、強烈な疎外(仲間はずれ)感におそわれます。
SNSによる不安は、対面よりも高まりやすいと考えられています。これはSNSで得られる情報量が対面のそれより圧倒的に少ないうえ、対面より自分の承認欲求が満たされにくいからです。
対面の人間関係は、互いの言葉と言葉以外の表情や仕草、雰囲気を確かめながら成り立っています。しかし、SNSでは、言葉以外の表情や仕草、雰囲気を確かめられないために、対面よりも不安を感じやすくなるのです。「いいね!」やコメントが少ないと自己評価は低くなります。
誤解をさける、相手を責めない、自分を守る
SNSで相手の誤解をさけるには、「自分の気持ちをきちんと伝える努力」をおこたってはいけません。そのために、以下の点に気をつけるようにしましょう。
・瞬間的な怒りや不安にまかせて返信しない。つらくなったときこそ、まず落ち着き、時間をかけて考えたコメントを返信する。
・伝えたいことは面倒くさがらず、ていねいに、言葉を出しおしみせずに伝える。伝えきれない場合は、対面で説明したいと伝える。
・コメントは、相手の状況や気持ちを想像しながらまとめる。
・「既読」がつかなくても返信がなくても、相手の事情や思いを察して、相手を責めない。
・誤字・脱字を確かめてから投稿する(例=正:関係ないしね 誤:関係ない死ね)。
部活や勉強で疲れ、SNSに時間をさきたくないときは、思い切ってSNSをやめる(アプリを削除する、相手を非表示にするなど)か、SNSからはなれること(起床時と就寝前は見ないなど)を試してみましょう。
SNSで疲れたり、気分が落ち込んだりしたら、家族や学校の先生、心理の専門家に相談してください。相手にどう見えるかではなく、「自分の心と身体」を優先しましょう。
・考え方のくせを直せば、心はもっと軽くなる!
自意識や同調圧力が高まる思春期では、考え方(認知)のくせから不安、落ちこみ、イライラ、怒りなどの心の不調が生じ、つらい気持ちになることがよくあります。本書では、認知と行動が感情につながっていると考え、認知や行動を変えることで心の不調を治す認知行動療法の考え方と、自分でできる実践法を紹介します。