感動のあまり救急車を呼ばれそうに…昆虫ハンター・牧田習さんが忘れられない「レア昆虫」

nobico編集部
2024.09.03 17:24 2024.08.21 17:00

牧田習

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現役東大院生で昆虫研究者、タレントとして活躍する“昆虫ハンター”牧田 習さんによる著書『昆虫ハンター・牧田 習と親子で見つけるにほんの昆虫たち』が2023年7月に日東書院本社から発売されました。

本書は、日本国内で出会える昆虫の魅力や、その見つけ方を牧田さん独自の視点を交えながら、大迫力の写真とともにわかりやすく解説する「子どもも大人も楽しめる昆虫図鑑」となっています。

都内で行われた出版記念イベントでは、たくさんの昆虫好きの子どもたちが参加。登場する昆虫にまつわるクイズをはじめ、採集した時のエピソードなど、楽しく熱く語ってくれました。

まったく見つけられず、ついには夢にまで出てきた「オニホソコバネカミキリ」

オニホソコバネカミキリ ©MIchio Hino
オニホソコバネカミキリ ©MIchio Hino

これまで数多くの昆虫を採集してきた牧田さん。見つけた昆虫の中で1・2位を争うくらい感動したと語るのは、とあるカミキリムシなのだとか。

「オニホソコバネカミキリという種類です。ハチにそっくりな見た目ですがカミキリムシの仲間。採集したのは、二度と忘れることがないであろう『2013年6月30日の日曜日』。本に登場する昆虫の中でも一番珍しいんじゃないかと思っています。

このカミキリムシを知ったのは、中学二年生の頃に奈良で虫採りをしていた時のこと。無茶苦茶でかい網を持ったおじさんに、採集したこの虫をものすごい熱量で自慢されて。なんだかだんだんかっこよく見えてきたんですよね」

北海道から九州まで全国的に分布しているものの、現れる時期は6月から7月の1週間くらいなのだそう。翌年の採集シーズンはちょうど期末テストの時期だったと言います。が……。

「3日から4日間、毎日始発で見つけられそうなスポットへ行って夜まで探し、テストのある日はその後に探しに行っていました。ですが、見る影もない。次の年は1週間の期間を設けて、知り合いの昆虫好きな大学生の家に泊まりこんで、毎日朝から探し回りましたが採ることはできませんでした。その翌年もさらにその翌年も、6月の終わりくらいになると毎日この虫の夢を見ていましたね」

虫採り網を見るその瞬間まで、諦めていた

「高校二年生の時、その日は予備校の模試のために家を出ようとしたのですが、玄関に立てかけてあった虫採り網を見た瞬間『やっぱりダメだ。今日しかない』と感じて網を手に走りました。お昼を過ぎても見つからず諦めかけた時に金色の塊が視界を横切って……それが何かも分からず反射的に網を振っていたんです。

頭の整理が追いつかないまま体の震えが止まらず、その場に座り込んでいました。近くにいた方から痙攣を起こしていると思われて救急車を呼ばれそうになったほどです(笑)。その次に記憶が残っているのが、朝4時にケースの中にいるオニホソコバネカミキリを眺めていたところでしたね」

“この昆虫を自分の手で探し当てたい”という一心で、チャレンジを重ねついに実現した牧田さん。昆虫に対するひたむきな思いと行動力に、子どもたちは目を輝かせていました。

牧田習

牧田習

幼少の頃に出会ったミヤマクワガタに魅了され、昆虫好きの道へ。北海道大学理学部数学科に進学したのち、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程で学ぶ。昆虫研究者としても活躍し、新種も発表。子どもたち向けの昆虫教室などのイベントも開催し、タレント活動を通して昆虫の魅力を発信する。

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昆虫ハンター・牧田 習と 親子で見つけるにほんの昆虫たち

『昆虫ハンター・牧田 習と 親子で見つけるにほんの昆虫たち』(牧田習 著/日東書院本社  刊)

人気の昆虫ハンター・牧田 習さんが贈る、大人も子どもも楽しめる昆虫図鑑。
世界中を飛び回る昆虫ハンター・牧田習さんが、日本国内で出会える昆虫たちの魅力や見つけ方を、独自の視点も交え分かりやすく解説。親子でチャレンジできる、昆虫採集トラップの作り方も紹介しています。