絵本の読み聞かせは生後何ヶ月からが正解? 赤ちゃんの発達に合わせた月齢別の遊び方
例えば、目の前に赤ちゃんがいたらどんな遊びをしてあげたら喜ぶと思いますか?
子育て中のパパやママはもちろん、みんなが赤ちゃんのことを知っていれば、電車やバス、そして災害時の避難所で赤ちゃんと一緒になった時に「手助け」ができるかもしれません。
YouTubeで日本各地の中学生・高校生に「赤ちゃん学」の授業を配信している元・教師の著者が、赤ちゃんの接し方の初歩を分かりやすく伝えます。
※本稿は、水野正司(著)・間宮彩智(イラスト)『未来のために知っておきたい みんなの子育てスキル』(マイクロマガジン社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
水野正司
北海道教育大学函館校卒業後、北海道公立学校にて小学校教諭、中学校教頭、特別支援学級教諭を34年間にわたり歴任。現在、子育てクリエイターとして「子育てwin3計画」代表を務め、YouTube「学校Win3チャンネル」などを主宰。著書に『どの子も伸びる《ちょうどいい》叱り方』(学芸みらい社)など多数。
正しい遊びの順番は?
今回のテーマは「赤ちゃんの遊び」についてです。
次の3つの遊びを”どの順番”でするのが正しいでしょうか、という問題です。
A 絵本を読んであげること
B 「たかいたかい」をしてあげること
C ガラガラなどのおもちゃを持たせてあげること
【解説】
赤ちゃんの遊びには適した月齢があります。
3つの中で最後にする遊びはBの「たかいたかい」です。
「たかいたかい」は、赤ちゃんの首や腰がしっかりしてくるまで、してはいけない遊びです。やり方によっては、頭が前後や左右に大きく揺さぶられ、脳内出血を起こしてしまうことがあるからです。
赤ちゃんの首や腰がしっかりしてくるのが生後7カ月以降ですから、揺さぶらないように気をつけながらするとしても生後6カ月頃からです。
次に遅くするべきなのは、手におもちゃを持たせることです。
赤ちゃんが自分の手で物をつかめるようになるのは生後3カ月頃です。ですからCの「ガラガラ」を持って遊べるようになるのも、それぐらいです。
つまり、一番早くできる遊びはAの「読み聞かせ」です。絵本の読み聞かせは生後1カ月頃からできます。
生後1カ月の赤ちゃんの視力は0.2くらいですが、大人の視力検査のように≪距離を離して小さい記号を見る≫という調べ方はしません。赤ちゃんの目の動きから≪どんなものを集中して見ようとするか≫で調べるのです。
赤ちゃんがよく見る4つのもの
その結果、赤ちゃんが好んでよく見ようとするのは、次の4つであることがわかっています。
(1)顔(特にお母さんの顔)
(2)しま模様
(3)水玉模様
(4)動きのあるもの
「顔」が好きなのは≪自分を育ててくれる大切な人≫を認識するためだといわれています。
「しま模様」や「水玉模様」は、形やコントラスト(明暗)がはっきりするので認識しやすく、「動きのあるもの(モビールなどの吊り下げるおもちゃ)は注意を引き寄せるので集中が続きます。
0歳時に大人気の絵本があります。それは「Sassyのあかちゃんえほん」という絵本です。
この本には「しま模様」や「水玉模様」がたくさん出てきます。また、赤、黄、緑といった「赤ちゃんが好む色」もたくさん使われています。
赤ちゃんは「読み聞かせ」が大好きです。生後1カ月の時点で絵本が好きになります。どうして好きになるのでしょうか?
色や模様以外にも、大切な理由があります。
大好きな人がそばに来てくれるから
それがお母さんであれば≪お母さんの声やにおい≫でわかります。《温かさ》も感じます。
絵本の中身を理解しているかどうかではなく、絵本にある色や模様や記号や言葉といった刺激、それにプラスして、大好きな人が自分のそばに来てくれるという安心感――それらが「読み聞かせ」における大切な要素です。
というわけで、答えは次の順です。
A 読み聞かせ→C ガラガラ→B たかいたかい
『未来のために知っておきたい みんなの子育てスキル』(水野正司 (著)、間宮彩智 (イラスト)/マイクロマガジン社)
3千人以上の中高生に「赤ちゃん学」の授業をした著者が、いつか親になるかもしれない子どもたちに贈る子育ての大切な知識が詰まった一冊。もちろん、新米のパパ・ママにも役立つ情報が満載!