実は、思春期の子どもの心を傷つけている「親の4つのNG行動」
思春期の子どものうつ病が増加傾向にあります。そんな中で、抑うつ・不安が強い子を守るために、親が普段の会話で気を付けるべきポイントとは? 児童精神科医の舩渡川智之さん監修の書籍『思春期の子の「うつ」がわかる本 SOSサインの見極め方と適切な接し方』より解説します。
※本稿は、舩渡川智之著『思春期の子の「うつ」がわかる本 SOSサインの見極め方と適切な接し方』(大和出版)の一部を再編集したものです。
日常的な会話のやりとりはありますか?
・ポジティブな言葉で関係性を変える
思春期は、親に対して距離を置きたがる時期です。でも、親がコミュニケーションを諦めてはいけません。子どもに無関心になったり、無視したりしたくなる気持ちは分かりますが、ポジティブな表現を心がけつつ声掛けを続けるようにしましょう。
・直接対話以外の声掛けも検討
直接の会話が減りがちなら、LINEなどを通じて声掛けをしてみるのもよい。親子の会話のチャンネルが増える。子どもにとってはかえって話しやすいことも。
ポジティブ声掛けリスト
家族でポジティブなひと言! 声掛けで家庭環境もよくなります。
・日常の声掛け
「おはよう」「いってらっしゃい」「気をつけて」「今日は~な日だね」「いってきます」「おかえり」「お疲れさま」「待っていたよ」「お茶いれたよ」「ごはん食べよう」「お風呂わいたよ」 など
・感謝の声掛け
「ありがとう」「うれしい」「楽しいね」「助かったよ」「いてくれるから安心だよ」など
・ほめの声掛け
「すごいね」「やったね」「さすがだね」「がんばったね」「上手だね」「あなたならではだね」「もうかなわないな」「うまくなったね」「えらいね」 など
親御さん自身が不平不満・不安を抱えていませんか?
・否定的な言動には注意
子どもが周囲とうまくいかなかったり問題を抱えたりすると、親御さんもつい周囲に批判的になりがちです。子どもの目線を理解することは大切ですが、親御さんが学校や友だちを値踏みしたり、一緒に不平不満を言ったりするのはやめましょう。ネガティブな影響しかありません。
・親御さん自身の心のケアが大事
子どもにとって家庭はストレスを癒やし、安心して過ごせる場でなくてはなりません。親御さんがお子さんに同調したり、感情的になったりすると、ストレスを与えてしまいます。
親御さんはケアをする側です。ケアするご自身の心の安定が大切です。趣味や外出などで上手に気分転換することを心がけてください。また、心配ごとは家族だけで解決しようとせず、相談できるサポーターをつくっておきましょう。
――子どもの前でこんなことは避けて!――
●子どもの前で親自身が不平不満ばかり言っている
親のネガティブな言動を日常的に見せられると、自然と模倣し、ものごとをネガティブに捉えやすくなる。家庭内の雰囲気もわるくなり、緊張し、不安を抱きやすくなる。
●先生の批判ばかりしている
批判することは大切。だが、学校はサービス産業ではない。消費者的な視点でクレームをつけていると、子どもも学校に不信感を抱くようになる。学校生活や学習への態度が消極的になる。
●友だちや友だちの家庭を値踏みしている
思春期の子どもにとって、同世代の友だちは重要な存在。友だちや友だちの家庭にランクをつけて値踏みし、誰とつき合うべきかを選別するのは、子どもを傷つける行為。また子ども自身が差別的に人を値踏みするようになる恐れも。
●友だちをつくることを過度に促している
子どもは社交的であることに不必要なプレッシャーを感じる。孤立感を強めたり、無理に友だちをつくろうとしたりしてストレスを感じる。また、内向的な性格の子にとっては、自己否定の気持ちが強まってしまう。