「うちにはお金がない」と嘆く子に知ってほしい、“ないこと“が強みになるポジティブな考え方

安藤俊介

「うちには何でお金がないの」と子どもに聞かれたら、何と答えますか? もし子どもが「お金さえあれば人生がうまくいく」と考えているのであれば、実際はそうとは限らないことを教えてあげたいですよね。

アンガーマネジメントの専門家・安藤俊介先生の著書より、「持っていないこと」が強みになる考え方をご紹介します。

※本稿は、安藤俊介著『12歳から始めるイライラしない技術 』(秀和システム)から一部抜粋・編集したものです。

どうして自分の家はお金持ちじゃないの?

人生に不平等はつきものです。その不平等をいくらなげいたとしても、何もよいことはありません。

あなたをなぐさめるわけではありませんが、家がお金持ちだからといって、人生が何でもうまくいくとはかぎりません。逆に、家がお金持ちだったからこそ、人生がうまくいかなくなってしまうこともあります。

めぐまれた環境に生まれてしまうと、めぐまれていることが当たり前になってしまいます。

欲しいものが苦労なく買える、行きたいところにいつでも行ける、新幹線に乗るときはグリーン車に乗れるし、食べたいものが満腹になるまで食べられます。

多くの人ががんばったり、苦労したりしてやっと手に入れられるものを、家がお金持ちなだけで、いとも簡単に手に入れることができます。

こうしたことは、よいことばかりとは言えません。欲しいものを簡単に手に入れられることが当たり前の人にとって、欲しいものが手に入らないときにとても大きなストレスを感じます。

人生に不平等はつきものですから、欲しいものが手に入らないことは、だれにもやってくるのです。家がお金持ちであったとしても、欲しいものが手に入らないこと、行きたいところに行けないことはやってきます。

たとえば、2020年から世界的にコロナが大流行しました。
その数年間はお金があったとしても、外食もできなかったですし、旅行にも行けませんでした。お金があっても、したいことがあっても、どうやってもできない期間があったのです。

よく言いますが、お金は何かをするための道具でしかありません。

お金があれば何でもできるような気もしますが、コロナが流行ったときのようにお金があったとしても、何もできないこともあるのです。

さて、あなたには信じられないかもしれませんが、お金がなかったからこそ、うまくいった人もいます。

今では有名な経営者になった人たちの中に、こういうことを言う人が結構います。
「お金がなかったからアイデアで勝負するしかなかった」お金がないくやしさからがんばることができたと言うのです。

私も何社か会社を経営していたことがありますが、お金がないならないでやり方を工夫するものです。

そして、その工夫はお金では買えません。お金があるから大丈夫と思ったら、そこに油断が生まれ、会社がダメになってしまうことだってあるのです。

あなたは「お金があれば、やりたいことができるのに」と思っているかもしれません。
でも、あなたに足りないのはお金ではなく、お金がなくてもやりたいことをできるようにする気持ちや工夫です。

将来、会社で仕事をするとき「お金をいくらでも使っていいから、好きに何かをやっていいよ」と言われることは、まずありません。かぎられたお金の中ならまだしも、お金がない中で工夫して成果を上げるように言われます。

お金をかけずにやりたいことができるようになる工夫。今から練習をしていきましょう。

12歳から始めるイライラしない技術

12歳から始めるイライラしない技術 』(安藤俊介著/秀和システム)
「ムダに怒らない」「6秒で落ち着ける」「ストレスに強くなる」
ありそうでなかった、小学生が活字で読むアンガーマネジメント入門
本書は難しい漢字や専門用語を極力使わず、ルビを振って小学5年生以上の子どもが1人で読めるようになっています。自分で本を読んで、怒りの感情について解決できる1冊です。