公立校出身の医学部生が学校生活を「幸せだった」と振り返る理由

吉澤恵理
2025.01.09 17:32 2025.01.09 17:30

外を眺める中学生(写真はイメージです)

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現代では、受験は早くから準備するものだという先入観を持つ人が多いかもしれません。しかし、決してそうではありません。

地方国公立医学部に通う都内出身のAさん(25歳)。医師だった父と専業主婦の母が離婚し、家庭環境が大きく変わる中で育ちました。私立小学校から公立小学校へ転校となり、以降はすべて公立校で過ごすことに。そんななか高校3年生で覚悟を決め、努力を重ねて医学部合格を勝ち取った一人です。

その波乱の道のりを、彼の言葉で振り返ります。(取材・文/吉澤恵理)

幼少期と転校の経験

1人で歩く小学生(写真はイメージです)

「僕はもともと、医師だった父と専業主婦の母の間に生まれて、幼い頃は何不自由なく暮らしていました。小学校受験もして、私立の一貫校に通っていました。でも、小学2年生のときに両親が離婚して、公立小学校に転校することになったんです」

転校の際には、周囲の大人たちの反応が印象に残っているそうです。

「私立の先生や友達のお母さんたちから、『かわいそうね』とか『残念ね』って言われたことを、今でも覚えています。でも、実際に公立に転校したら、そんなこと全然思わなかった。むしろ、公立の方が楽しかったですね。放課後に友達と遊んだり、お互いの家に行ったり。私立のときはみんな塾やお稽古事があって、そういう遊びがなかったんですよ。だから、放課後遊べるっていうだけで、本当に幸せでした」

生活環境が一変する中でも、公立での生活はAさんにとって新鮮で心から楽しいものだったようです。

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