絵本の読み聞かせ「冊数がノルマ」になると逆効果に? バイリンガル幼稚園が教える読み方と選び方

中内玲子
2025.01.22 14:55 2025.01.24 11:50

絵本を読む親子

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世界の先端企業が集まるアメリカのシリコンバレーで日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool創設した中内玲子さんは、子どもの「自分で考える力」を伸ばすたために、幼児期より積極的に絵本を読み聞かせることを推奨しています。具体的な読み聞かせの方法をお聞きました。

※本記事は中内玲子著『シリコンバレー式 世界一の子育て』(フローラル出版刊)より一部抜粋・編集したものです

読み聞かせのメリット

川辺に立つ女の子

私は子どもの教育において本への投資を優先しており、子どもが好きそうな本は惜しみなく与えています。また、子どもが0歳のうちから、読み聞かせを習慣にしています。小さいうちに読み聞かせを始めるメリットとしては、つぎのようなものが考えられます。

・語彙が増える
・想像力が養える
・ものごとへの興味や関心が持てる
・人の気持ちに対する理解が深まる
・自分とは違う視点を知ることができる

知性をもって考えるためには、語彙力や表現力、想像力も欠かせません。絵本は子どもをファンタジーの世界に連れて行ってくれ、その世界に没頭し、想像する機会を与えてくれます。言葉を覚えるためだけでなく、人の気持ちを理解する力を育むためにも、0歳のうちから読み聞かせをすることをおすすめします。

読み聞かせは生後6か月から始めるといい

絵本を読む親子

読み聞かせを始めたときの子どもの年齢と子どもの言語発達に関する研究は、各国で行われています。

それらの研究結果によると、生後6か月前後から読み聞かせを始める親がもっとも多く、ほとんどの場合、1歳3か月から2歳までには読み聞かせを始めています。また、多くの親が毎日、または週に5〜6日読み聞かせをしていることがわかりました。

いずれの研究でも、早いうちから読み聞かせを始めた子どものほうが、言語理解や音声認識(音韻能力)、概念の形成など、言語発達におけるメリットが見られ、小学校入学前の読書頻度が高いこともわかりました。

想像力や語彙力を育てるおすすめの絵本

0〜3歳くらいまでの小さなお子さんにおすすめなのは、文字が少なく、絵がシンプルで子どもが自由に想像力をはたらかせることができる絵本です。この時期の子どもに絵や文字がたくさんある本を見せると、注意力が散漫になり、お話に集中できなくなってしまいます。また、さまざまなタッチの絵が描かれた絵本を選ぶのもポイントです。

最初のうちは、シンプルな絵本をいくつか購入するか図書館で借りるなどして、どういう絵本が好きか、子どもの好みを探るのがよいと思います。子どもが自分で読みたい絵本を選べるようになったら、読みたい本を自由に選ばせてあげましょう。

また、動物や食べ物、乗り物、体の部位など、身の回りのものの言葉が学べる言葉図鑑もおすすめです。公園にお散歩に行ったり、電車に乗ったり、スーパーに行ったりと、普段の生活の中で子どもたちはさまざまな言葉に触れます。図鑑を読んであげると、そういった「もの」と「言葉」の結びつきが強化でき、語彙が増えていきます。

効果的な絵本の読み方

本を読む子ども

まずは絵本に書かれた文字をその通りに読みます。つぎに、子どもが感想を言える年齢になったら、絵本の内容についてどう思うかを聞いたり、子どもの想像力の赴くままにお話をふくらませたりします。

さらに、絵柄をもとに発展させることもできます。たとえば、いちごが出てくる絵本なら、「はい、どうぞ」と絵本の中のいちごをつまんで子どもの口元に手を持っていくふりをしたり、親もパクッと食べるふりをしたりすると、絵本の楽しみ方が広がります。

絵本は淡々と読むのではなく、強弱をつけて感情を込めて読みましょう。そうすることで子どもは喜怒哀楽の感情や人と人との関わり方を本を通して知ることができます。

また、絵本を読んだあとでお話を振り返ると、子どもの脳の中でさらにイメージがふくらみ、言葉のおさらいもすることができます。

絵本を好きになってもらうコツ

よく親御さんから「子どもに絵本に興味を持って、身近なものとして感じてもらうにはどうしたらよいか」という相談を受けることがありますが、いくつかコツがあります。

子どもが読みたいときにいつでも手に取れるところに置く

本を選ぶ・片付ける子ども

子どもの読む絵本は、子どもが読みたいときに自分で手に取れる場所に置くのがおすすめです。

わが家では、廊下一面に本の表紙を見せるように置けるラックを取りつけ、ハイハイをしている赤ちゃんのときでも手に取れる位置に本を置いています。

本棚に入れる場合でも下の棚に絵本を入れましょう。子どもがいつも遊んでいるスペースにバスケットを置き、その中に本をまとめて入れるのもおすすめです。

本を読むルーティンをつくる

あまり子どもが本に興味を示さず、本を読む習慣が定着しない場合は、ルーティン化するのがおすすめです。

うちの場合は、子どもが寝る前に2〜3冊、本を読むことにしています。ルーティンにすることで、子どもは「寝る前は本を読む時間なんだ」と認識して、本を読むことが毎日の習慣になります。

冊数や時間をノルマにしない

もう一つ注意する点として、子どもが乗り気でないときに無理やり読ませないことです。無理やり読ませると、子どもに「本は嫌なもの」という意識を刷り込ませることになり、その子の生涯の学びを大きく左右してしまいます。

ほかの遊びをする時間も大切なので、一日に何十冊などノルマを決めて読むのもおすすめしません。長くても30分くらいに留めましょう。

中内玲子

台湾生まれ、日本育ち、アメリカ在住のトリリンガル(日・英・中)。3人の子どもたちもトリリンガルに育てた、2男1女の母。グーグルなどシリコンバレーの企業に勤める親たちから人気の日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool創立者。AMIモンテッソーリ国際免許取得。

サンフランシスコ州立大学音楽学部を卒業後、モンテッソーリの幼稚園勤務を経て、2007年に自身の理想の教育を実現する教育施設をつくり、2011年にカリフォルニア州認可幼稚園を設立。

教育事業のアドバイスをするコンサルタントとしても活躍中。世界中の教育者が互いの思いやアイデアをシェアできる場をつくるために、教育現場を取材する活動を続けている。最先端企業が集まるシリコンバレーの視点をもとに、「自分の才能を伸ばし、国際社会で羽ばたける子」を育てる実践法を提唱。

シリコンバレー式 世界一の子育て(中内 玲子)

シリコンバレー式 世界一の子育て(中内玲子著、フローラル出版刊)

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