発達障害と「先取り学習」の相性が良い理由とは? 麻布中学合格を実現した親のサポート
元テレビ東京アナウンサーで『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』の著者・赤平大さん。発達障害のわが子の自己肯定感を高めるため、どのような学習支援と声がけを実践してきたのか、具体的な方法を聞いた。
先取り学習が自己肯定感を支える理由
「特性の影響で学校の授業についていけない可能性が高い場合、家庭で先取り学習をしてみると良いかもしれません」と赤平さんは説明する。
例えば、発達障害の特性として、先生が黒板に書いた文字を自分のノートに書き写すことが難しい場合がある。
「ノートがぐちゃぐちゃになって先生に怒られ、家に帰っても親に怒られる。テストの成績が悪く、通信簿も悪い。そうすると自己肯定感が下がっていってしまう。これを防ぎたかったんです」
全ての発達障害に効果があるわけではないが、先取り学習によって授業内容を事前に理解しておくことで、授業中に気が散っても内容を把握しやすくなり自己肯定感の向上につながるという。
この取り組みの結果、息子さんは小学3年生で中学3年生までの数学の内容を終了。
「発達障害の子供は学習で苦労するケースが多いのですが、息子はずっと、授業を楽しんで受けています。学校を嫌がらずに通える様子を見るとホッとします」
発達障害の特性に合わせた「叱り方」と「ほめ方」
※写真はイメージです
叱り方について赤平さんは、息子さんが論理的な話だと理解しやすい特性を理解した上で、感情的にならず説明することを重視している。
「本人の中で何で怒られたんだろうって腹落ちをさせなければいけない。突発的に親の感情で怒られると、なんで怒られたんだろうってなってしまい意味がありません」
ほめ方については、課題解決能力を発揮したときを特に重視する。例えば、最近の出来事として、朝の勉強時に眠気と闘う息子の工夫を挙げた。
「眠いから自分で勉強するために起きなきゃと思って、スクワットを始めたんです。お父さんが言った『スクワットすると血流が良くなって頭が冴える』という話を思い出してやったんですね。
できないところを理解して、課題解決の方法を自分で見つけて実践するというステージまで行っていたので、これは本当にすごいと思ってほめました」
細かな指示出しと理解しやすい伝え方の工夫
発達障害の特性として、物事の段取りを組むことが苦手な場合がある。例えば「学校に行くから準備して」という一般的な指示では対応が難しい。
「まず靴下を履いて、次に上着を着て、というように一つずつ指示を出していく必要があります。見通しの苦手さという発達障害の一つの特徴なので、『あれをするにはこれが必要だよね』、という段取りを細かく示すことが大切です。
このとき親がイライラして指示を出したりするのは逆効果です。また、子供が細かく指示されることにイラ立つ様子が見えたら、指示の幅を広げる工夫も大切です」
と赤平さんは説明する。そして最後に、「支援制度を整えることも大切ですが、それ以上に社会全体の理解を深めていくことが重要です」と語った。
「LGBT/Qの認識が変わってきたように、発達障害も特性や特徴として理解される社会になってほしい」と期待を寄せている。
たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。
発達障害のわが子を中学受験成功、麻布中学に合格に導いた元テレ東アナが、子どもに伝えた具体的な勉強法や生活のルール作り、伝え方までもわかりやすく解説します。生きづらさを抱える子どもの学習&生活支援に悩むすべてのパパ&ママに!