子どもの不安や恐怖心を取り除くには? 不登校や行きしぶりに効く親の言葉
思春期の子どもが学校に行けなくなる――そんなとき、親はどんな言葉をかければよいのでしょうか?悩みや不安で心がいっぱいの子どもに、親のひと言が大きな力になることもあれば、逆に傷つけてしまうことも。
心理カウンセラーであり不登校経験のある息子を持つ富永愛梨さんの著書『息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』より、親から子への「毒になる言葉」「薬になる言葉」についての解説をご紹介します。
※ 本稿は、富永愛梨著『息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』(青春出版社)から一部抜粋・編集したものです。
「お友達が仲間外れにする」「勉強が遅れてしまったから受験できない」などと思春期の葛藤に悩んでいる
【毒になる言葉】
「あなたに何か問題があるんでしょ?」
【薬になる言葉】
「今、身体と同じように心も成長しているんだね。今はしんどいけど必ず乗り越えられるよ」
お友達関係や進学のことなど、思春期の葛藤に悩み、苦しんでいる子どもの姿を見ることはとてもつらいですよね。
何かアドバイスをしたくなりますが、求められていないアドバイスは雑音になりますし、良かれと思って言ったひと言が、傷ついている子どもの心の傷に塩を塗ってしまいかねません。
「今、心も成長しているんだな。身体と同じように心も成長痛を感じているんだな」
「心も成長期なんだね。スクスク大きく育っているよ」
こんなふうにイメージをすると、子どもの話を聞いていてもハラハラ・ソワソワせずに、ドンと構えて聞くことができるようになります。
子どもが再登校をすると、親も子どもに「もっともっと」と期待をするようになります。「遅刻しないで学校に行けるようになればいいのに」「勉強が遅れているんだから、もっと勉強して遅れを早く取り戻さないと!」「全部の教科の授業に出られるようにならないと」「受験勉強させないと大変なことになっちゃう」……。このように、少し子どもの状態が前向きになると、親の欲がムクムクと湧いてきます。
しかし、親の期待や欲は子どもにとって大きなプレッシャーとなり、少しでもプレッシャーを感じると「期待に応えなければならない」と子どもの心の大きな負担になります。
不登校や行きしぶりをする子の多くは、とても感受性が豊かで、親のわずかな表情の変化や声のトーンや雰囲気から親の心を読み取るのに長(た)けています。
そして、親の欲を感じ取ると、面白いほど動きがピタリと止まってしまいます。
親の望んでいるように、親の思い通りに子どもを動かそうとすると、せっかく開いた心のシャッターをガラガラと閉めてしまい、信頼関係が切れてしまうこともあります。
子どもは親の欲にとても敏感です。かなり敏感な親の欲センサーが搭載されているので、子どもの動きが悪いなと思ったときは、たいてい親の欲が出ているときです。
親の欲を感じさせずに、「本当にそう思っているんだよ」と伝えていくためには、声や表情、態度にまで気をつける必要があります。
これほどまでに敏感な子どもたちに、親の欲や期待、イライラ、不安を感じさせてストレスを増やしてエネルギーを奪わないように、子どもの見方を変えていきましょう。
『息子が不登校だった心理カウンセラーが伝えたい 不登校の子が元気になる言葉 つらくなる言葉』(富永愛梨著/青春出版社)
本書は、子どもの不登校や「行きしぶり」に悩む親に向けて、親は子どもにどんな言葉をかけるのがよいかをわかりやすく説明します。
息子の不登校・行きしぶりをきっかけに学んだNLP心理学に基づくコミュニケーション・スキルをあますことなく公開。
「わが子の心身の状態を親自身の力で救い出してあげたい」と思ったら本書を見てください。