子どもの海遊びデビューに必要なものとは? おすすめ絵本3冊と事前に教えておきたいこと
まるで本能的にそれらを知っているかのように、家や園などのプールで水遊びを楽しむ2歳ごろの子どもたち。そんな子どもと接しながら、今年こそは、子どもと一緒に「海へおでかけしたい」と考えているご家庭も多いのではないでしょうか。
これから始まる子どもたちの長い人生の中で、初めてとなる海デビューを、素敵な出会いにしてあげたい――。福岡県・芦屋町で小さな子どもたちの海あそび・自然体験プログラムを開催している「海あそび舎」の八木澤潮音さんに、そのためのポイントを伺いました。(取材・文/nobico編集部)
波や砂浜に慣れるためには? 慎重派のモチベーションUPに絵本が効果的
水遊びが好きな子どもでも、はじめての海はいつもの暮らしと別世界です。打ち寄せてくる波、ふだん嗅いだことのない潮の香り…。何よりも見たこともない広さにビックリして、中には泣き出しちゃう感受性の強い子も。また、そもそも室内あそびが好きで、外に出て遊ぶことをイヤがる子どもたちもいます。
そんな子どもたちが、ワクワクとはじめての海体験を待ち望めるよう親子で楽しんでほしいのが、海あそびの絵本。
八木澤潮音さん「『なつ』などの概念がまだない小さな子どもたちには、とにかく『暑くなってくると、冷たい水は気持ちいいね』から始めてほしいと思います。『水で遊ぶのは気持ちいい』が、水遊びの原点。 まだ見たこともない『うみ』については、まず絵本などで『こういう場所なんだよ、楽しいね、行ってみたいね』と、子どもと一緒に楽しんでもらうのが良いのではないでしょうか」
たとえば、『うみ ざざざ』(作ひがしなおこ/絵きうちたつろう/くもん出版) は、歌うようなことばで子どもたちがはじめて出会う海を描いた、季節のおでかけ絵本。ことばを覚えてたての子どもたちにおすすめです。
また、もりのこぐまたちが、バスにのってはじめての海にでかけた一日を描いた『こぐまたちのうみのいちにち』(作サクマユウコ/つむぐ舎)も、はじめて海あそびを楽しむ子どもたちにぴったりの絵本。
『こぐまたちのうみのいちにち』(サクマユウコ作、つむぐ舎刊)より。
大きな海をはじめて目にした時のこぐまたちの表情や、近づいてくる波に足をひたして「なんだかくすぐったい」と思うこぐまたちは、まさに海にはじめて出会う子どもたちのよう。
海の中でからだがプカプカとうかぶ感覚や、磯遊びの楽しみ、夕日の美しさによって海や空の色が昼間と違うことなど、子どもたちが体験するワクワクをおうちの中で一緒に楽しむことができます。
さらに、『ねずみのかいすいよく』(作山下明生、絵いわむらかずお、ひさかたチャイルド)では、海あそびの楽しみとともに、海の危険性も描きながら家族の絆を感じることができる作品になっています。
八木澤さん「お出かけする前に、こういった海あそびの絵本に親しんでいると、はじめてのことに慎重な気質のお子さんも、すんなりと楽しんでいける傾向があるようです」
小さな子どもへの「危ないこと」の伝え方は?
『こぐまたちのうみのいちにち』(サクマユウコ作、つむぐ舎刊)
いつもは、森であそんでいる こぐまたち。 今日は、バスにのって おでかけです。こぐまたちの目の前に広がるのは――。
砂浜が熱いことや、カニが横歩きすること、朝と夕方の空の色が違うことなど、こぐまたちが海で体験する「はじめて」を通して、小さな子どもたちも海に出かけた気分をワクワクと味わえます。
横浜の動物園ポスターなどで人気のサクマユウコさんが描く動物たちがとにかく愛らしく、リズミカルで心地よい文章が読み聞かせにもおすすめ。
はじめての海へのおでかけや、子どもと過ごす夏が楽しくなる絵本です。