思春期の子の文章に作家はどうアドバイスする? 中高生の創作力を伸ばす「親の姿勢」
早ければ10歳から始まる思春期。口数が少なくなり親とのコミュニケーションが減っていく時期でもあります。自立心が育っていく過程はうれしい反面、子どもの気持ちや状況が把握しづらく、親としても心配も募ります。
ショートショート作家の田丸雅智さんは子どもから大人まで幅広い層向けて文章講座を行っていますが、相手が中高生となるとやはり「思春期特有のハードル」があると感じています。田丸さんは思春期の学生を相手に、どんなコミュニケーションを取りながら創作のアドバイスをしているのでしょうか? 教えていただきました。
怒られないか、笑われないか、恥ずかしい…思春期特有の感情が創作にブレーキをかける
こんにちは、田丸雅智と申します。ぼくは普段、「ショートショート作家」として活動をしています。ショートショートとは、簡単に言うと「短くて不思議な物語」。そんなショートショートに特化した小説家をしています。
小説家ということで、活動の基本はもちろん作品の執筆なわけなのですが、執筆と並行して、長く力を入れている活動があります。それが、2013年から10年以上にわたって全国各地で開催してきた、ショートショートの書き方講座です。
講座の対象は、小学1年生くらいからシニアまで。学校や図書館、老人ホーム、少年院、さらには企業などでも多数開催しており、参加者はのべ2万人以上にのぼります。講座の内容は小学4年生の国語教科書(教育出版)に採用されたりもしています。
そんな書き方講座ですが、小学生や中学生、高校生など、思春期の方に向けて開催させていただく機会も多くあります。そういったとき、思春期特有のハードルを感じることも少なくありません。
特にぼくの講座では基本的に不思議なお話を書いていただくということもあり、たとえば、「こんなことを書いたら変だと思われるんじゃないか」「笑われたり怒られたりしたらどうしよう」「恥ずかしい」「みんなに合わせないと」……などなど、エンジンがかかるまでに時間がかかったり、自分で自分にブレーキをかけて想像力を委縮させてしまったり、アイデアやお話を考えたはいいものの発表するのを避けたがったりといった場面をよく見かけます。
こういった反応は、思春期ゆえに仕方のないことだと思っています。その上で、肝心なのはハードルをどう超えていくかということです。
想像力のブレーキとならないためにいちばん大切にしていること