子どもへの進路アドバイスは不要? 東大生の親が絶対にしないこと

西岡壱誠
2025.05.21 13:28 2025.06.04 11:50

勉強で叱られる男の子

「ついつい子どもに勉強しなさいと言ってしまう」「子どもの進路にどこまでアドバイスすべきだろうか」など、悩みを抱える受験生の親も多いかもしれません。
偏差値35から2回の浪人を経て、東京大学に逆転合格した東大生作家の西岡壱誠さんが受験生の親に伝えたい「親の受験への関わり方」とは? 悩める受験生を上手に導く親になるためのヒントをご紹介します。

※本稿は、西岡壱誠著『逆転合格東大生の受験お悩み相談』(星海社新書/講談社)から一部抜粋・編集したものです。

子供の進路に親はどこまで意見を言っていいか

勉強する中学生 高校生の女の子
Q.子供の進路相談って、どこまで親が口出ししていいんでしょうか。
子供から受験校に関して相談を受けて、「こういう大学がいいんじゃないか」「こんな学部だったらこんな勉強ができるよ」などと伝えたんですが、子供には「自分の大学選択を否定された」と感じられたらしく、最近あまり相談してくれなくなってしまいました。
そんなつもりじゃなかったのですが、うるさく口を出しすぎてしまったのかもしれません。 [高校1年生女子の子供を持つお母様]

A.これ、よくあるご相談です。子供が親に進路の相談をして、うまくいかないパターンはたくさんあって、いろんな人からアドバイスを求められます。悩んでいるのは質問者さんだけじゃないですよ。

はっきり言って、10代の子供が親に相談すると、ほぼすべて「否定」されているように聞こえてしまうんですよね。
例えば、「親に進路のことを相談したら、反対された」と言ってくる子供って多くて、「うーん、君のところのお母さんってそんな人だったっけ?」と思ってお母さんと直接お話ししたら、「反対なんてしてませんよ、進路は子供が決めるべきだと思っています。
でも、少し考えが甘いところがあったから、『もうちょっと考えたら?』とは言いましたけど」と言っていました。
これはまあ、よくある「行き違い」ですね。親は軽く言ったつもりでも、子供は反対されたと感じた、と。

もう少し具体的に考えていくと、例えば子供が「〇〇大学を志望したいんだけど」と相談したとして、親としては子供の将来を心配して、「本当にそこでいいの?」「合格できるかどうかはどれくらいの確率なの?」「その大学に行って、将来はどういう道に進もうと思っているの?」などと聞きたくなるでしょう。

しかし、子供にはその質問のすべてが、「否定」のように聞こえてしまうんです。親としてはただ質問しているつもりでも、子供としては「その進路じゃダメなんじゃないの?」と言われているように感じてしまうのです。そりゃ、相談しにくくなりますよね。

我々は東大生の親の習慣も調べていますが、その結果、東大生の家庭には「進路に関しては絶対に否定しない」というルールがあることが多いということがわかりました。

どんなに親として受け入れがたい進路でも、まずは「良く考えたんだね」と言ってあげる。肯定した上で、「どうすればその道に行けるのか?」「その道に進むと仮定した上で、どうすればいいのか?」と、どうすればその進路を進めるのかを一緒に考えるのです。

もしその進路に進む上で問題があるのであれば、本人自身が気付けるように誘導してあげる。決して親の方から子供に「その道は無理なんじゃない?」とは言わず、子供が「ああ、これだと難しいから、こうした方がいいのか」と自分で気付けるように誘導してあげる。東大生の親御さんはそういう人が多いです。

質問に対するお答えとしては、「相談」というよりも相手の報告を受け入れる気持ちで聞くのがいいと思います。そして、詳細をもう少し詰めてもらうために報告に対して「質問」をするイメージですね。
だから、一旦今は待ちましょう。そして、子供が報告してくれるタイミングが来たらそれを受け取りましょう。

西岡壱誠

西岡壱誠

東大生作家。1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも2浪し、3年目から勉強法を見直して偏差値70、東大模試で全国4位となり東大合格を果たす。東大入学後、『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場「ドラゴン桜」の脚本監修を担当。2020年には株式会社カルペ・ディエムを設立し、全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施して高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師への指導法のコンサルティングを行っている。

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逆転合格東大生の受験お悩み相談

西岡壱誠著『逆転合格東大生の受験お悩み相談』(星海社新書/講談社)
全国の学校や予備校で勉強法を教える著者が、学生さんや親御さん、浪人生の方への受験相談に答えた本書。偏差値35から逆転合格した経験をもとに、勉強の意義から勉強習慣の作り方、保護者の受験への関わり方まで、幅広い悩みを解決します。
大学入試のシステムも変わり、通信制高校によるオンライン教育の変化なども見られる現代。悩み多き受験生や受験生の親へのヒントがつまった一冊です。