不登校だった黒歴史を消したい 「まともになれない」と悩む子に先輩が伝えたいこと

石井しこう
2025.05.27 14:35 2025.06.04 11:50

男の子のイラスト

「ちゃんとした大人になれない気がする」…不登校を黒歴史だと感じ、将来に不安を抱える子どもたちへ、かつて同じ思いを抱えていた先輩が語る言葉とは?

不登校ジャーナリストの石井しこうさんの著書より紹介します。

※本稿は、石井しこう著『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること 』(大和書房)より一部抜粋、編集したものです。

まともな大人になれる気がしない、不登校だった「黒歴史」は消せませんよね?

「まともになれる気がしない」と私も悩んでいました。

不登校当時、起床時間はだいたい午前11時30分。夕方ごろに起きて朝に寝るという日もありました。きっかけはたいてい新作のゲームが発売されるか、ワールドカップの観戦によるもの。

ほとんどの学校の始業時間は8時半です。午前9時以降にしか起きられない当時の私は、どう転んでも「学校へまともに行けない体になっちまった」と驚いたものです。

ほかにも「私はまともじゃない」と思う要素は多々ありました。学校の先生を街で見かければ震えあがり、バイトをすればすぐに辞め、教科書や勉強道具は捨ててしまう。世間の10代が歩く道から、一歩、また一歩と確実に外れていく。少なくとも「ふつうの大人にはなれない」と将来を絶望視していました。

しかし、結果からいうと、黒歴史を送ったことが幸いしました。不登校中の生活に悩んでいた私は、取材を通していろんな大人に悩みをぶつけてみました。

「大人になるって?」「仕事ってなんですか?」「学校へ行かなくて本当に大丈夫?」と思いつくかぎりの疑問や不安を聞いてみたんです。おもしろかったのは、同じ質問でも人によって答えが異なること。ある人は「大学へ行ったほうが人生はラク」だと言いましたが、「やりたいことがあるならすぐに働いたほうがいい」と言う人も。そんな話を聞き、記事にまとめていくなかで、私は「不登校の専門家」という不思議な立場になっていました。望んではいませんでしたが、特殊な「枠」を世間からもらえた気がします。

この枠のおかげで、少ないながらも生活費はいただけてます。

私は「ほかの人とちがう」と孤独を感じていましたが、ほかの人とちがうからこそ「価値」がありました。

黒歴史はムダではなく「財産」に変わっていたんです。

あなたも黒歴史に救われるかもしれません。今あなたは、レアな経験をしているということ。レアキャラです。大切に扱ってあげてください。

しこうポイント!:「黒歴史」が財産になることもあるんです

石井しこう

1982年東京生まれ。不登校ジャーナリスト。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校に。同年、フリースクールへ入会。19歳からはNPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材を行なうほか、樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者にも不登校をテーマに取材を重ねてきた。
現在はNPOを退社し不登校ジャーナリストとして講演や取材、「不登校生動画甲子園」の開催などイベント運営などでも活動中。【Yahoo!ニュース 個人】月間MVAを二度受賞。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)、『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)など。

学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること

石井しこう著『学校に行かなかった僕が、あのころの自分に今なら言えること 』(大和書房)

ヨシタケシンスケ氏 推薦!

“ここに君の先輩がいる。
君と同じだった先輩は、たくさんいる。
先輩たちは、何が大事かを知っている。

学校に行っても行かなくても、するべきことは一つだけ。
大事なものを、大事にするだけ。“


「不登校の自分は、この先どうなるんだろう?」
経験者だからわかる事がある。

将来が不安でもやもやする日々、トンネルの中にいる君に届けたいメッセージ。