おすすめは「1円玉で渡す」 子どもの“数の力”伸ばすお小遣い活用術
子どもにあげるお小遣い。せっかく渡すなら、子どもの「数字の力」や「考える力」を伸ばす遊び心をくわえてみてはいかがでしょうか?
卒園児のIQが毎年平均120を超えることで知られる東京いずみ幼稚園の園長・小泉敏男先生が、自宅で実践していた「1円玉お小遣い」のユニークな工夫を、著書からご紹介します。
※本稿は、小泉敏男著『自分で考えて動く力がつく 最高の育て方事典』(講談社)より一部抜粋、編集したものです。
大量の1円玉でお小遣いをあげた日
息子が5歳のとき、私はこんな方法で「お小遣い」をあげたことがあります。
まず銀行へ行って紙幣を両替して、1円硬貨を大量に用意しました。5000枚はあったと記憶していますが、その1円玉を贈答用のクッキーが入っていた缶(30㎝四方×高さ5㎝くらいの大きさのもの)に入れて、息子にこう言いました。
「この1円玉の束を缶のなかにあけて数えてごらん。数えたぶんだけ自分のお小遣いにしていいよ」
5歳にもなれば、子どもだって「お金とは何か」がわかっています。
すでに駄菓子屋でお菓子を買うようになっていた息子は、「お小遣い」と聞くや喜んで数えはじめました。
子どもが何枚数えられたか、いまとなっては忘れましたが、この「1円玉お小遣い」を家で何度か試してみたのは、いまでもよく覚えています。
「両替」「貯金」を体験するチャンスに
お金のなかでも1円玉は、枚数と金額が一致しており(1枚=1円)、「おはじき」よりも安価で、かつ子どもでも扱える大きさなので、数概念や計算を教えるにはもってこいの“教材“だと言えます。
だから私は子どもに1円玉を与えたのですが、頑張って数えれば得する(お小遣いが増える)とわかっているから、子どもも俄然(がぜん)、やる気になりました。
もちろん“お金をあげて終わり“なんて芸のないことはしません。あわせて、次のような工夫もしてみました。
1.両替を体験させる
数えた1円玉を子どもに10枚ずつの山にしてもらったり、子どもから要望があったときは10円玉や100円玉に換えてあげました。
この「山にする」「両替」という活動を通じて、子どもは自然に十進法の仕組みや単位を理解していったようです。
2.貯金する
お小遣いを親が預かるのではなく、子ども専用の貯金箱を用意してそこに貯めてもらいました。貯蓄する感覚を養ってほしかったからです。
いまになって振り返ってみると、早くからお金に触れさせ、2の貯金するところまでを後押ししたことが、結果として健全な経済感覚の育成にもつながっていました。
実物のお金以上に優れた金銭教育の教材はないようです。ちょっと手間はかかりますが、このような現金を教材に使った教育も「あり」ではないでしょうか。
その後わかったことですが、現金を教育に使っていたという家族は、ほかにもありました。ある家庭では、ただお金を貯めるだけでなく、
•お小遣いをもらうたびにいくらもらったかノートに記録する
•貯金箱からお金を出して使ったら、収支を計算して記録する
といった「銀行遊び」までしていたそうです。こういった方法も楽しみながら試してみるといいかもしれません。きっと金銭管理の習慣が身に付くでしょう。
こんな時代だからこそ早期に金銭教育を
日本人はお金について語るのを憚(はばか)る傾向があります。
ここまで書いたことを読んで、子どもにお金を触らせるなんて……と、眉をひそめた方がいるかもしれません。
しかし、親であれば、いつかは子どもに金銭教育をしなければいけないのです。学校のカリキュラムには「算数」「数学」があります。また、高校の家庭科には「金融教育」が盛り込まれました。ところが、その基礎となる「お金の扱い方」を教える科目はありません。
近年は小学生がネットゲームにお金をつぎこむ「ゲーム課金トラブル」も増えています。そう考えると、就学前からの金銭教育はむしろ「適時教育」と言えるのではないでしょうか。
ただし、夢中になった子どもの力を侮らないようにしてください。もしかしたら、すぐ「1万」「2万」あたりまで数えられるようになるかもしれません。
成長は嬉しい、でも懐は寂しい……なんてことにならないよう祈ります。
小泉敏男(著)『自分で考えて動く力がつく 最高の育て方事典』(講談社)
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