「プレッシャーに弱い」を克服! 子どもの自信を引き出す心の鍛え方とは

原田隆史
2025.06.06 12:01 2025.06.11 11:50

外を見る中学生

「うちの子は、いつも本番になると実力を発揮できない…」そんな悩みを抱える親御さんはいませんか?それはもしかしたら、「準備力」「心の力」の差かもしれません。目標達成には、才能や根性だけでなく、心を整えて本番に向き合うための準備が非常に大切です。この記事では、大舞台で力を発揮するための秘訣や、日々の生活に取り入れやすい心の鍛え方を原田隆史さんの著書よりご紹介します。

※本記事は原田隆史著『中高生のための目標達成ノート』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集したものです。

目標達成の「確率」を上げる!準備力を鍛えよう

世の中の出来事は、すべて自分が期待したとおりに起こるわけではなく、予期せぬ出来事も当然起きます。でも、起きるかもしれない出来事や問題点を予測し、その範囲内で備えておくことはできます。
これが「準備力」です。準備力のある人は、起こる可能性のある問題を事前に予測し、それらが起こった場合の解決策も準備した上で、やるべきことを実行します。だから目標を達成する確率が高くなるのです。

「なんとなく不安」がなくなる!自力で対処できることへの準備を整える

思春期のイメージ

私が「原田メソッド」を確立するきっかけとなった中学校の陸上部は、大阪府の大会で12回連続男子総合優勝、5回連続の男女総合優勝、また通算13回の個人種目日本一、などの目覚ましい活躍を遂げていました。その秘訣の1つになったのは、「準備力」の高さです。

例えば、全国大会の決勝の前日などは、心配なことがたくさん出てきます。

「天気予報は晴れでも、大雨になったり、気温が下がったりしたらどうしよう」
「宿の朝食に嫌いなものが出て、思うように食べられなかったらどうしよう」
「他の選手の実力が、予想していたよりずっと高かったらどうしよう」
「試合の途中で靴ひもが切れてしまったらどうしよう」

そういう未来の心配事の中には、自分の力ではどうにもできないことがあります。例えば天気や他の選手の実力はいくら考えてもこちらで変えることはできません。これを、「自分ではコントロールできないこと」と言います。
でも、靴ひもは替えを用意できるし、朝食もあらかじめ宿の人と相談すれば希望のメニューを出してもらうことはできます。天気は変えられなくても、急な天候の変化に備えて、着替えや防寒着を用意することはできます。これらは「自分でコントロールできること」です。

自分ではどうすることもできない、コントロールできないこと(天気や相手の実力)は考えないことです。その代わりに、自分の力でどうにかできる、コントロールできることにこそ、準備力を発揮する。これが大事なのです。
コントロールできることと、できないことを区別できるようになると、「今何をがんばればいいのか、どこに力を向ければいいのか」がわかり、集中力が高まります。

だから陸上部員たちは、いつも山のような荷物を抱えて会場に向かっていました。替えの靴ひもから風邪薬、そして着替え、また、たとえ季節が夏でも、急に寒くなったときのためのカイロまで用意していたのですから当然です。
こうやって起こるかもしれないことに対する「できること」をしっかり準備しておけば、不安や焦りが消えていきます。そうやって平常心で試合に臨むことができたからこそ、試合に集中できて、ねらった結果を出すことができたのです。

準備力あってこその平常心。これはどんな場面でも活用できる考え方です。
大舞台でも平常心で臨める人のことを「プレッシャーに強い」と表現します。
「プレッシャーに強い」というのは、単に気持ちの問題ではありません。その秘訣は、どんな状況になっても平常心を保つための、準備力の高さにあるのです。

目標達成のカギとなる「奉仕活動」きれいで強い心をつくろう

掃除をする女の子と男の子

夢を実現させたい、目標を達成したいという人に、私は必ず、「自分ができる奉仕活動を決めて、それを毎日実践すること」をおすすめしています。

どんな夢や目標も自分一人では達成することはできません。受験一つとってみても、毎日食事を作ってくれたりして支えてくれる家族や、勉強を教えてくれる先生、悩みを聞いてくれる友達や、「がんばってね」と声をかけてくれる地域の人たちがいなければ、なかなかうまくはいかないでしょう。これは大人でも同じで、目標達成には周りの人の協力が不可欠なのです。

では、どういう人なら協力が得られるのでしょうか。
それは「心がきれいな人」です。
心がきれいな人には、特徴があります。まずはまじめで一生懸命。誰かを馬鹿にしたり、ましてやいじめたりなんて絶対にしません。誰かをよく助けたり手伝ったりしていて、ありがとうと言ったり言われたりしています。
「心がきれいだな」と周りに感じさせるような人柄や人格のことを「人間力」と言います。人間力が備わっているからこそ、周りの人が協力や理解もしてくれるのです。だから成果を上げることができるのです。

では、「心をきれい」にするには、いったい何をすればいいのでしょうか?
それが、地域や社会あるいは誰かのために行う「奉仕活動」です。
「心をきれいにする」奉仕活動には、社会貢献活動(ボランティア)やエコ活動(リサイクルやリユース)などさまざまなものが考えられます。その基本としてまず始めたいのが、生活にも取り入れやすい清掃活動です。

清掃活動で身の回りをきれいにすると、心の中の「すさみ」が除かれて、心がどんどん澄んでいきます。すさみとは、荒れている状態のことです。
困ったことにすさみは次のすさみを呼びます。ちらかった部屋にいると、気持ちが落ち着かず勉強が手につかないのも、すさみがやる気をそいでしまうからなのです。
反対に、心をきれいにして心が澄んでいれば、やる気が湧いてきて、気持ちも明るくなり、当然パフォーマンスも上がります。有名企業の経営者など、結果を出している人の多くが、会社のトイレ掃除を日課にしているのを知っていますか? まさにそれも、奉仕活動に取り組んで心をきれいにするためなのです。

心を強くする秘訣は、できることを毎日継続すること

夢の実現や目標達成には、「心の強さ」も欠かせません。「心が強い」とは「途中であきらめない心」です。へこたれない、折れない、という言い方もできます。
心は一気に強くすることはできません。できることを継続することでこそ強くなります。だから、奉仕活動は「毎日やる」ことが大事なのです。
「奉仕活動」に取り組むこと自体は決して難しいことではないですが、1日も休まず続けるのは簡単なことではありません。だからこそ、「毎日の奉仕活動の継続」で心は強くなるのです。

原田隆史

株式会社原田教育研究所 代表取締役社長。ビジネス・ブレークスルー大学グローバル経営学科教授。一般社団法人JAPANセルフマネジメント協会代表理事。埼玉県教育委員、三重県政策アドバイザー、奈良市生徒指導スーパーバイザー、高知市教育アドバイザーを歴任。大阪市生まれ。奈良教育大学卒業後、大阪市内の公立中学校で20年間勤務。保健体育指導、生活指導に注力。課題を抱える教育現場を次々と立て直し、「生活指導の神様」と呼ばれる。独自の育成手法「原田メソッド」により、勤務3校目で指導した陸上競技部では7年間で13回の日本一を誕生させる。大阪市教職員退職後、大学講師を経て起業。「原田メソッド」に多くの企業経営者が注目し、野村證券、キリンビール、三菱UFJ信託銀行、神戸マツダ、住友生命保険、ユニクロ、アステラス製薬、カネボウ化粧品、武田薬品工業などの人材育成研修を担当。これまでに約600社、15万人以上のビジネスパーソンを指導した実績をもつ。
オリンピック選手などアスリートのメンタルトレーニングにも携わる。現在も、企業・学校・家庭の人材育成教育、講演・研修活動、不登校児童生徒支援活動、テレビなどメディア出演、執筆活動と幅広い分野で活躍中。著書はこれまでに30冊、国内にとどまらず世界の25を超える国・地域で出版されている。
代表な著書は『一流の達成力』(フォレスト出版)、『カリスマ体育教師の常勝教育』『最高の教師がマンガで教える勝利のメンタル』(ともに日経BP社)、『成功の教科書』(小学館)。
株式会社原田教育研究所:
https://harada-educate.jp/

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