今の小学生が学ぶ英単語は700語? 英語教育で生まれる「中1の壁」

宮本さおり

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2020年度から正式に始まった小学校での英語教育。実は小学校でかつての中学校レベルの英語教育が行われ、中学校の英語のレベルが高くなってしまっている現実もあるそうです。学校での英語教育の現状について、『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド』(笠間書院)著者、ジャーナリストの宮本さおりさんに聞きます。(聞き手・一般社団法人Raise/写真はすべてイメージです)

中学生の学習だった英語が小学校へと降りてきた

ここ数年、子どもの習い事ランキングで上位を占める英会話。ある会社が20歳から49歳の男女を対象に行った「自分が親の立場である場合に自分の子どもに通わせたい学習系の習い事」に関する調査では、72.4%の人が英会話を挙げていました。グローバル化の進む現代を生きる上で英語力が不可欠と考える人が多くなっていることが伺えます。

学校教育の現場でも英語教育が大きく変わりはじめています。昔は中学生からだった英語の学習が小学校へと降りてきました。

2020年度からは小学3・4年生で「外国語活動」が必修化され、5・6年生では教科として英語が正式に導入されています。これにより、早い段階から英語に触れ、コミュニケーション能力の基礎を養うことが期待されるようになりました。

つまり、親世代が中学校で受けていたような授業が小学校の段階で始まるようになっています。親世代の中には、中学校の授業に外国人の先生がやってきて英会話の授業を受けたことがあるという方もいるかもしれませんが、これはALTと呼ばれるものです。

ALTとは、アシスタントランゲージティーチャーの略語で、日本では英語を母語とする外国語指導助手のことを指す言葉として使われてきました。しかし現在は、英語教育に助手として入る日本人の先生にもこの言葉を使う地域も出ています。

小学生でかつての中学レベルを学び、習得済みの前提で中学校教育が始まる

以前は中学校の授業に多く用いられてきたALTですが、現在は小学校の授業に派遣されることが多くなっています。