漢字愛が止まらない!祇園で一日楽しめる「漢字ミュージアム」は、まさに文字のテーマパークだった
観光地として人気の京都・祇園に、本気を出せば丸一日楽しめる文字のテーマパークがあるのをご存じでしょうか?
「漢検 漢字博物館・図書館」、通称「漢字ミュージアム」は、漢字をあらゆる角度から学ぶことができる学習施設。とはいえ、堅苦しさはまったくありません。時に笑い、時に体を動かし、遊びながら漢字と触れ合える「漢字ミュージアム」の魅力を、nobico編集部員がご紹介します。
祇園に立つ学びの施設
京都市バス「祇園」下車すぐ、観光ルートのど真ん中という立地にある漢字ミュージアム。訪れてみると、入口には「百鬼夜行」「魑魅魍魎」と書かれた大きな提灯が掲げられていました。これは期間限定の企画展、「妖怪漢字」にちなんだもののようです。通りすがりの観光客が、「え?魑魅魍魎?」「何だろう、ここ……」と声を漏らすのが聞こえてきました。
入り口ですでにワクワクが止まりません!
有名な書がここに!「今年の漢字」展示
入場してまず出迎えてくれるのが、年末恒例、清水寺で発表される「今年の漢字」。こんな所で実物に出会えるとは!
あらためて見ると、その筆の力強さとスケール感に圧倒。これだけでも立ち寄る価値ありです。
ちなみに、2024年は「金」でした。歴代の漢字、皆さまは覚えていますか?
漢字はどうやってできた?
1階のフロアでは、主に漢字の歴史が学べます。
まず目を引くのは、壁一面に広がる巨大な年表、「漢字の歴史絵巻」。漢字の誕生から現代までをイラストや写真を交えながら解説しており、本1冊分はありそうな情報量です。
漢字が「何に、どうやって」書かれてきたかをたどる展示も見どころのひとつ。
亀の甲羅に始まり、青銅器、木、絹、紙へと、文字を書く素材は時代とともに変化していきます。
見慣れた鉛筆が登場すると、思わず「おお!」と感動。そして展示の最後に現れる電子機器には、「すべては今ここにつながっているのだ……」と、しみじみ実感させられます。
占いも!「体験シート」で盛り上がる
ただ見るだけでなく、体験しながら学べるのがこの施設の魅力。入場時にもらえる「体験シート」には、様々な仕掛けがあります。
まずは漢字の原点である「甲骨文字」を使って、紀元前1300~1000年当時の占いを疑似体験。「体験シート」をコインでこすると、占いの結果が、甲骨文字と現代語の両方で浮かび上がります。
シートは複数のバリエーションがあるので、家族や友達と見せ合いながら楽しむのもおすすめです。
こちらのコーナーでは、万葉仮名で自分の名前をどう書くのかを知ることができます。
万葉仮名(まんようがな)とは、ひらがなやカタカナが生まれる前、奈良時代ごろの表記法。漢字を使って日本語の音を表記します。
自分の名前のひらがなが書かれたスタンプをシートに押していくと……
こんな仕上がりに。「び」は「鼻」なのか……。
さらに、カタカナ、ひらがなのもととなった漢字で、自分の名前を書くとどうなるのかも知ることができます。
見慣れた名前が新鮮に見えます。これは面白い!
「色の壁」で推し色を探す
こちらは「色の壁」と名づけられた展示コーナー。
ずらりと並んだ色の中から、気になるパネルをくるっと回すと、その色の由来の解説文と写真が現れます。小さなお子さんでも視覚的に楽しめそうです。
このコーナーで「色! 色だ!」と喜ぶ若い女性にも遭遇。
「推しの色」を探していたのでしょうか。思わず応援したくなりました。
圧巻の「漢字5万字タワー」
ミュージアムの中心にそびえたつのは、「漢字5万字タワー」。ぎっしり書かれた漢字に、同じものは2つとありません。「自分の名前を探してね」と吹き出しが書かれていますが、これは気軽に出題していい問題なのでしょうか? まじめに取り組んだら日が暮れそうな気もしますが、ぜひ血眼になって探してみてください。
……ここだけの話ですが、スタッフの方に聞けば、「1階か2階か」「どの面にあるか」など、だいたいのヒントを教えてくれるそうですよ。
筆者は早々に諦め、「この中で最初に目にとまった3文字が、今の私に必要な漢字かもしれない」と占い的な楽しみ方をしてみました。こちらもおすすめです(ちなみに「決」「毒」「羊」でした)。
体を使って漢字を作れ!
漢字5万字タワーを横目に2階に上がると、そこには漢字にまつわるたくさんの遊びが!
まずは目に入ってきたのは「体で漢字」。
自分の体とマグネットを上手に使って、漢字を再現する遊びのようです。早速挑戦していきます。
制限時間中に、どの漢字をどのように再現するか考えます。スカートを履いてきてしまったことを後悔。
仕方なく「中」を再現しましたが、クオリティに満足はしていません。
皆さまはぜひ動きやすい服装で挑戦してください!
1人よりも、2~3人での協力プレイがおすすめです。
魚編の漢字を楽しむ
こちらは、フォトスポットにもなっている巨大な湯呑み。
よくお寿司屋さんで見かけるやつですね。魚編の漢字がずらっと並んでいます。
中に入ることができるので、筆者も写真撮影してきました。
湯呑の隣のあったのが、「漢字回転ずし」のコーナー。タブレット上で好きなネタ選ぶと、その魚の正しい漢字を当てるクイズが出題されます。正解すると、水槽モニターにネタのもとになった魚が登場するのですが、間違えると骨だけになるというちょっと切ない演出も……。
私のせいで「さより」が骨になってしまいました。
「方言漢字」って知ってる?
個人的に興味深かったのが、特定の地域だけで通用する「方言漢字」の紹介パネル。
大阪の「阪」など見慣れた漢字もちらほらありますが、大半が知らない漢字ばかり。
東京都民の筆者は、「砧」が方言漢字であることを、京都で知ることになりました。
期間限定の「かぶる漢字」
漢字ミュージアムで楽しめるのは、常設展示だけではありません。
こちらは25年9月28日(日)までの期間限定、「かぶる漢字」企画展。
漢字が書かれた帽子が、同じ訓読みごとに並んでいます。
どうやらベースボールシャツにふさわしいキャップを選ぶことで、漢字の使い分けを学ぶ…という展示のようです。
私も「会社」ベースボールシャツに合わせて、「勤める」キャップを装着してみました
漢字に合わせて、それらしいポーズをとってみても楽しそう。
「妖怪漢字」企画展も!
こちらも25年10月13日(月祝)までの期間限定、夏にぴったりの「妖怪漢字 魑魅魍魎 百鬼夜行」企画展です。
京都にゆかりのある妖怪のキャラクターを案内役に、妖怪にまつわる漢字の展示がずらり。
漢字だけでなく、妖怪にも詳しくなれそうです。
7月19日(土)~7月21日(月祝)の期間には、「妖怪漢字」にあわせて、妖怪アートフリマ「祇園物怪市」を開催予定とのこと。全国からあつまった妖怪作家さんによるグッズを販売するそうなので、タイミングが合う方はぜひ。7月19日は、ナイトミュージアムも開催予定です。
漢字への愛が盛りだくさん
ほかにも、漢字の魅力を動画で学ぶシアターや、数々の漢字クイズ、漢字辞典を制限時間付きで引いてみるコーナーなどなど、ここでは紹介しきれないほど、楽しい展示が盛りだくさんでした。
「観光の合間に少しだけ」のつもりで立ち寄ると、時間が全然足りないかもしれません。気がつけば閉館時間までいた、なんてこともありえそう。リピーターとして通いたくなるような、中身の濃い施設でした。
ちなみに筆者が訪れたのは平日の午前中。途中で課外学習の小学生の団体が訪れていましたが、全体的には混雑もなく、快適に楽しめました。
漢字への愛と遊び心がぎゅっと詰まった「漢字ミュージアム」、ぜひ一度、親子で訪れてみてください。
※営業時間や休館日が変動することが多いので、訪れる前に公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです!
漢検 漢字博物館・図書館 [漢字ミュージアム]
〒605-0074 京都府京都市東山区祇園町南側551番地 (京都市元弥栄中学校跡地)
TEL.075-757-8686 / FAX.075-531-0340
●開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
●入館料:小学生・中学生300円/高校生・大学生500円/大人800円
※当日は再入場可能です。ランチや観光をはさんでご見学いただけます
●休館日:月曜日(休館日が祝日の場合、翌平日に振り替え)
●公式ホームページ:https://www.kanjimuseum.kyoto/