“また同じミス”にイライラしない! 中学生は「何度目でも初めて」でうまくいく
中学生の子どもがテストで同じミスをくり返すと、つい「何度言ったらわかるの」と叱ってしまう…そんな親御さんは多いでしょう。しかし子どもが完全に理解するまでには、想像以上に“何度も”言わないとわからないのだそうです。
子どもへの伝え方が穏やかになる「何度目でも初めて」の接し方とは? 建部洋平著『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』から紹介します。
※本稿は、『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)から一部抜粋・編集したものです。
「何度言ったら」という言葉、実際に何回言っている?
「また英単語のスペルミスをしている!」
「また字が汚くて、マイナス点になっている!」
「また文章をよく読まず、うっかりミスしている!」
前に注意したにもかかわらず、子どもが同じミスをくり返すと、「何度言ったらわかるんだ!」となりますよね。
ですが、この「何度言ったら」という言葉、実際にその数を数えたことはありますか? 「2、3回は言っているはず。いや、もっと!」という親御さんも多いでしょう。
でも、実際に数えてみると、意外とそれほど言えていないことが多いのです。
532回言わないと人はわからない
著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称“ビリギャル”)でおなじみの坪田信貴(つぼたのぶたか)さんが独自調査した結果によると、何かを相手に伝えるには532回言わないとわからないのだそうです。
この数字を聞いてクラクラしませんか? そのくらい大人の言う「何度言ったら」と、子どもが実際に完全に理解できるようになるまでには大きな感覚の差があるのです。まさに絶望的……。
では、どうしたらよいでしょうか?
大人は当たり前のように「前も言ったでしょ?」という言葉を多用します。とくに親子間は、「このくらいのことは、言わなくてもわかるよね?」という思考に陥りやすいのです。
しかし、実際は532回言わないと、わからないのです。
そこで、発想の転換をおすすめします。
「何回も言う」ではなく、「毎回初めてのように接する」のです。
たとえば、学校のテスト。
親御さんからすれば、前回のテストで注意したことは、次のテストでは当然改善されるものと思っています。だから、同じミスがあったら叱る。
でも、子どもにとっては、1学期の中間テストも、期末テストもすべてが初めての経験です。たとえば、5月の中間テストは、4月、5月に学習したことが範囲として出題されますが、6月末の期末テストは、5月の途中から6月末までに学習したことに加え、その前の中間テストの内容も含まれてきます。つまり、同じテストでも、出題される範囲が増え、その中身も難しくなっているのです。
また、親世代とは勉強の中身や学びのスタイルが大きく変わっているのです。
子どもは何度目でも「初めて」
それを知らずに、大人の感覚で「何回言ったらわかるんだ!」と叱ってみたところで、改善はしません。むしろ、子どもからしたら「うちの親はいつもガミガミうるさいなぁ」と嫌気がさすか、「何度もミスする自分は、頭が悪いんだ」と自己肯定感を下げてしまうことも。
この世に生まれてからまだわずか13〜15年しか生きていない中学生にとっては、目の前のことはすべてが初めて。
大人からすれば「同じテスト」も、子どもからすれば、履修内容がどんどん難しくなるなかでの「初めて」のチャレンジなのです。つまり、「何度目でも初めて」です。それを大人が理解すると、子どもにかける言葉が変わってきます。
今までは「くり返し言っているのに」と思っていたことが「初めてなんだ」と思えると、伝え方も表情も心もきっと穏やかになるでしょう。
『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平/飛鳥新社)
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