残暑をバテずに乗り切る鍵は「ヨーグルト」? 子どもの熱中症対策の新常識
残暑が厳しい日本。熱中症になるリスクが高い子どもたちは、まだまだ油断ができません。
しかし、こまめな水分補給をするだけでは、すぐに尿として排出されてしまうのだそう。
暑さを元気に乗り切るための、熱中症予防の新常識とは?
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部担当部長の谷口英喜先生のアドバイスと共にご紹介します。
室内でも油断禁物?熱中症のリスク
年々暑さが厳しくなる日本の夏。子どもを外で遊ばせるのもためらわれますよね。
しかし、日中を室内で過ごしていても油断は禁物です。
2024年は観測史上最も暑い夏となり、熱中症による救急搬送者は 97,578人。2008年の調査開始以来、過去最多を記録しました。
「屋外で起こる」というイメージが強い熱中症ですが、この年最も多かった発生場所は住居(全体の38%)。特に、熱帯夜にエアコンを使わず寝ることで起こる「睡眠中の熱中症」が目立っていました。
また、「時差熱中症」にも注意が必要です。日中に暑い場所で過ごした後、帰宅後や翌朝になってから症状が出るケースで、発見や対応が遅れやすいのが特徴です。
熱中症の進行と怖い後遺症
済生会横浜市東部病院の谷口英喜先生によると、熱中症の進行は以下のように段階があります。
①初期症状:脱水、体のだるさ、頭痛、吐き気
②中期症状:深部体温(体の奥の、体温計では測れない温度)が38℃を超え、脱水が悪化
③重度症状:深部体温が40℃を超え、臓器不全やショック状態に。心肺停止に至ることも
特に恐ろしいのが後遺症。熱によって障害を受けた臓器は元に戻らず、脳神経障害などが一生残ってしまう場合があります。
また、日本人の 10人に1人は「熱に弱い体質」 とされ、一度熱中症になると繰り返しやすいのも特徴です。
子どもが熱中症になりやすい理由
子どもは身長が低く、地面に近い場所で活動しているため、直接熱を受けやすい環境で日々生活しています。大人以上に熱中症になりやすく、特に乳幼児は要注意です。
子どもの体感温度は大人の+7℃と非常に高く、体の中でエネルギーを作り出す際に多くの水分を必要とするため、大人よりも水分の消費が激しく、脱水症状になりやすいという特徴があります。
また、体に十分な水分を蓄えられず、すぐに尿として体外に排出されてしまう傾向も。
こまめな水分補給だけでは心配な、子どもの熱中症。効果的な対策はあるのでしょうか。
「水分保持」にはヨーグルト!
実は私たちは、身体に必要な水分の大部分を、食事から摂り入れています。そのため、体内での水分吸収や保持を助ける効果の高い食品を食べることが、熱中症対策の鍵になります。
谷口先生のおすすめ食品は、「ヨーグルト」。
80%以上が水分になるので、食べるだけで水分補給になります。
さらに、ヨーグルトに含まれる乳たんぱく質は、糖質などの炭水化物と一緒に摂ると、血管内の水分を保持する「アルブミン」の合成が促進され、体内に水分をしっかりと留めることができます。
また、乳酸菌によって腸内環境が整うことで、水分の吸収がスムーズになるという効果も。
発汗で失われたのミネラル(ナトリウム・カリウム)も補給できるだけでなく、ビタミンB群やカルシウム、たんぱく質などの栄養素も含まれているため、食欲が落ちがちな暑い季節のおやつに最適なのだそうです。
効果的なヨーグルトの食べ方は?
谷口先生によると、ヨーグルトは1日1〜2パック(100g程度)を、朝と夜に分けて食べるのがおすすめなだそう。
朝食べることで日中の水分保持力がアップ、夜は就寝中の熱中症予防になります。
プールや海で遊ぶ前、外出や移動中、屋外での遊びやレジャー時など、水分が失われやすい場面の前後に食べるも効果的とのこと。
フルーツやはちみつを加えたり、凍らせてシャーベットにしたりなど、アレンジもしやすいヨーグルト。楽しみながら、暑さに負けない元気な体を目指してみてはいかがでしょうか。