110cmの柵を乗り越える2歳児・・・子どもの転落事故を防ぐためにできることは?
ベランダや窓からの子どもの転落事故は、春と秋に増えることをご存じですか?
実際の事例やヒヤッとした体験を取り上げつつ、事故を防ぐためのポイントを紹介します。
「過ごしやすい季節」に転落事故は起きる
行動範囲が広がり始める小さな子どもは、思わぬ事故に遭いやすいもの。
ベランダや窓の開け閉めが増える気候の良い季節には、転落事故が繰り返し発生しています。
ベランダ転落事故は5月に最も多く、次いで10月に多く発生しています。特に1〜5歳の子どもに集中していることから、東京都は注意を呼びかけています。
■実際の事例
・自宅の2階のベランダで台に乗って遊んでいたところ、ベランダの柵を飛び越えて転落した。(2歳)
・親が外出中に、2階のベランダを乗り越えベランダの柵にぶら下がった後、足から落ちた。(6歳)
■ヒヤっとした体験をしたことがある人も多数
・夫と息子が2人でリビングにいて、夫がスマホを見ている間に息子が一人でベランダに出て椅子にのぼり身を乗り出して外の車を見ていたことがあり、ヒヤリとした。
・子どもが施錠されていないベランダのドアを開けて、子ども用の軽いイスを持ち出し、そこに立ってのぼろうとしていた。すぐに気づいて、部屋に連れ戻した。
「子どもにはできない」の思い込みが事故を招く
事故が起きてしまう背景には、「ベランダで遊ばせていた」「ほんの数分だけ子どもを部屋に一人にしていた」といった状況が挙げられています。
子どもはベランダの柵に興味を引かれ、よじ登ることがあります。
東京都がおこなった実験では、6歳の子どもはほぼ全員、4歳の子どもは約7割が、それぞれ高さ110cmの柵を自力で数秒で乗り越える姿が確認されました。
また、足がかりを使用すると、2歳の子どもでも高さ110cmの柵を登ることが確認されました。
大人が思う以上に、子どもは高い場所まで登れてしまうのです。
さらに、「鍵はかけてあるから大丈夫」と思っていても、子どもが自分で鍵を開けてベランダに出てしまうパターンもあります。ほんの少しの油断が、大きな事故につながる可能性があるのです。
事故を防ぐポイントは?
事故を防ぐためには、「環境の見直し」と「保護者の見守り・子どもへの教育」の両面からアプローチする必要があります。
■ベランダ周辺環境の見直し
・ベランダの柵の近くにプランター、椅子、テーブルなど子どもの踏み台になるような物を置かない。
・ベランダにエアコン室外機を設置する場合には、柵から60cm以上離すか、上から吊るすなど、設置場所に注意する。
・ベランダの出入口に、子どもの手の届かない位置に補助錠を設置し、しっかりと施錠する。
■保護者の見守りや子どもへの教育
・ベランダのある部屋に、短時間でも子どもを一人にしない。
・子どもだけ家に残して外出しない。
・子どもだけでベランダに出さない、遊ばせない。
・子どもにベランダからの転落の危険性について日頃から教える。
子どもの安全を守るために
ベランダからの転落事故は、ほんの一瞬の出来事から起こります。
「きっとうちの子は大丈夫」と思っていても、好奇心いっぱいの子どもは思いがけない行動をするものです。
環境を整えたり、少し目を配ったりすることで、事故は防ぐことができます。毎日のちょっとした工夫で、子どもの安全と家族の安心を守っていきましょう。