「なんで怒るの?」がなくなる! イヤイヤ期がラクになる“ベビーサイン”の3つの効果
イヤイヤ期の子どもが何を考えているのか分からない…まだ言葉がうまく話せない子どもの“イヤイヤ”に悩む親御さんは多いでしょう。そんなときは、言葉を話す前から気持ちを伝え合える“ベビーサイン”が、イヤイヤ期をラクにしてくれるかもしれません。
ベビーサインがもたらす3つの効果とは? 日本のベビーサイン育児の先駆者、吉中みちるさんの『ベビーサイン図鑑』から紹介します。
※本稿は、『ベビーサイン図鑑: 簡単なジェスチャーだけで、2歳児以下とも双方向コミュニケーション!』(吉中みちる/Gakken)から一部抜粋・編集したものです。
ベビーサインがイヤイヤ期をラクにする理由
ベビーサインを取り入れている家庭では、イヤイヤ期を穏やかに過ごせることが多いのです。
なぜなら、ベビーサインを使ってきた赤ちゃんは、言葉を話す前から「伝えることの成功体験」を積んでいるから。
例えば、お手てをグーパーする【おっぱい】のベビーサインを使えば、泣いたりグズったりしなくてもおっぱいをもらえることを赤ちゃんは理解しています。片手で頭をポンポンとさわる【帽子】のベビーサインを使えば、お外に行きたい気持ちをママに伝えることができます。絵本の中で泣いているクマさんを見た時には、えんえんと泣く仕草のベビーサインを使って【悲しいね】とママに共感を求めることもできます。
こうして、ベビーサインを通じて「伝わった!」「わかってもらえた!」という経験を重ねることで、話せない時期のもどかしさが軽減されます。そして、「伝えることは楽しい!」というポジティブな感情が生まれるのです。
ベビーサインがもたらす効果として、次の3つがあります。
1)「イヤイヤ」の回数が減る……ベビーサインで意思を伝えられるため、話し言葉が未発達でも、泣いたり怒ったりすることが減る。
2)親子の信頼関係が深まる……「ちゃんと伝わった!」という体験が増えることで、親子のアイコンタクトや共感の時間が増える。
3)言葉の発達がスムーズに……ベビーサインで「言葉の概念」を早くから理解できるため、話し始めた後の語彙の伸びがスムーズに。
イヤイヤ期のベビーサインエピソード3選
イヤイヤ期を迎えると、「なんでこんなに怒るの?」「何を言っているのかわからない……」と、親も子もお互いにストレスを感じることが増えます。
しかしベビーサインを使えば、子どもの気持ちを理解しやすくなり、イヤイヤ期の爆発を防ぐことができます。例えばこんなことを体験した家庭がありました。
エピソード① ストローの色が違う!
コップのお茶を飲むためにストローを入れたら、息子が突然「いおりーいおりー!」と何かを叫びながら怒り出しました。泣きながら訴えるので、何を言っているのかわからず、私もイライラ……。
しかし、息子はふと泣き止み、【緑】のベビーサインを見せてくれました。「あっ、ストローの色が違うのね! 『いおり』は『みどり』のことなんだ」と気づいて、赤色のストローを緑に変えると、涙を拭う間もなく満足げにお茶を飲み始めました。その姿がなんともかわいらしく、私のイライラも一気に吹き飛びました〈体験者:野本ひさえ〉。
エピソード② 「お肉が食べたい!」
夕飯に魚料理を出した時、息子が【肉】【待って】のベビーサインをしました。「お肉を食べたい。待っているよ」という意味です。
「今日はお魚だよ」と伝えても、息子は顔を背けて【肉】のベビーサインをするだけで、一切食べようとしません。そこで、冷凍してあった鶏そぼろをひとつまみ解凍してごはんにかけてあげると、それで満足したようで、機嫌よく夕飯を食べてくれました〈後藤南〉。
エピソード③ 一人じゃなくて今日はママと
息子が一人でブランコに乗れるようになったある日、いつもなら手を出そうとすると怒るのに、この日は私の顔を見ながら【一緒に】とベビーサイン。「あ〜今日はママと一緒にブランコに乗りたいの?」と聞くと、満面の笑みが返ってきました。
自分一人でやりたいのかママと一緒がいいのか。そんな心の動きもわかってお互いのイライラが減りました〈南野直子〉。
今すぐ試せる! この記事に出てくるベビーサイン
【おっぱい】

片手でグーパー、にぎにぎする
毎日の授乳タイムがサインのチャンス! 「今からおっぱい・ミルクだよ〜」と優しく声をかけながらベビーサインを見せてみてください。
お腹が空いてきた時、自分からこのベビーサインで教えてくれたら、もう感動もの! お腹の空いたタイミングがわかって、ママもすごくラクになりますよ。
【帽子】

片手で頭をポンポンする
「【帽子】かぶるよ」と、お出かけの時に誘いましょう。
【悲しい】

涙がぽろぽろこぼれる感じに手を動かす
悲しみの表現には絵本が効果的です。「うさぎさん、えんえん泣いてるね」などと言いながら見せましょう。
【緑】

両手を交互に上下に動かす。
【肉】

親指と人差し指の付け根をつまむ。
【待って】

片手の甲をあごの下にあてる
子どもにちょっと待っててほしい時ってありますね。そんなタイミングで使ってみましょう。お出かけ先ではママがトイレに行く時などに「パパと一緒に【待って】てね」と伝えてみてください。
【一緒に】

両手の人差し指を中央に寄せる
最初は自分一人でできないかもしれないので、「ママと【一緒】がいい?」と一緒にチャレンジできるように誘ってあげましょう。
『ベビーサイン図鑑: 簡単なジェスチャーだけで、2歳児以下とも双方向コミュニケーション!』(吉中みちる/Gakken)
20周年を迎えた「ベビーサイン」が決定版となって、大幅にパワーアップして登場!
「ベビーサイン」とは、簡単なジェスチャーだけで、まだ言葉が話せない2歳くらいまでの子どもとも双方向コミュニケーションがとれる方法。
子どもは、言葉を話し始める前から、たくさんの気持ちや願いを抱えています。
「おしまいにしたい」「もっとやってみたい」「こわいよ」「うれしいな」「バスが来たよ」「リンゴが食べたい」――そんな思いを、言葉の代わりに“手の動き”で伝え合えるのが「ベビーサイン」です。
親子の心の距離をぐっと近づけてくれます。