“ベビーサイン”と“選択肢”で落ち着く! イヤイヤ期のかんしゃくに振り回されない3つのコツ

毎日のように続く「イヤ!」「やだ!」の連発。思い通りにならないと泣き叫ぶイヤイヤ期のわが子に、ついイライラしてしまう親御さんは多いでしょう。
子どもの気持ちを伝える“ベビーサイン”と、自分で選んだ満足感を育てる“選択肢”で、子どもの「できた!」と親の「ゆとり」を同時に叶える3つのコツを、ベビーサインの専門家、吉中みちるさんの著書よりご紹介します。
※本稿は、『ベビーサイン図鑑: 簡単なジェスチャーだけで、2歳児以下とも双方向コミュニケーション!』(吉中みちる/Gakken)から一部抜粋・編集したものです。
イヤイヤ期におすすめのベビーサイン① 【やって】両手のひらを胸のあたりでトントンします

イヤイヤ期に突入した後でも、ベビーサインを取り入れることで、親子のコミュニケーションがスムーズになります。特におすすめなのが、【やって】のベビーサイン。
「もうイヤイヤ期が辛くてたまらない!」という方へ。余力がないなら、まずはこの【やって】のベビーサイン一択で!
教え方のコツとしては、子どもが一人で何かにチャレンジしているけれど、ちょっと難しそうな時に使います。
例えば、おやつの袋を自分で開けたくても上手に開けられない時。いきなり袋を取り上げて開けてしまうと、ギャン泣きされるかもしれません。そこで、「ママが【やって】あげようか?」とベビーサインを添えて聞いてみます。十分に頑張った後で「もう無理だ〜!」と思ったタイミングなら、きっと素直におやつの袋をこちらに渡してくれるでしょう。
このように、ちょっと手伝ってあげるべき場面で都度「お伺いを立てる」ためのベビーサインが【やって】です。
ベビーサインを理解し始めると、赤ちゃんは自分でやってみて「もう無理!」と思った時に、かんしゃくを起こす前に【やって】のベビーサインで伝えてくれるようになります。
「子どもが、かんしゃくを起こす前に……」と先回りしすぎると、逆にイヤイヤが爆発することもあります。ベビーサインがあれば適切なタイミングが見えてくるので、「どうしたらいいのかわからない!」という親のイライラも減り、穏やかに関わることができるようになります。
イヤイヤ期におすすめのベビーサイン② 【おしまい】両手のひらを上に向けて、すぼめながら下げます

もう一つは【おしまい】のベビーサイン。
イヤイヤ期のお子さんは、今やっていることを一旦終えて次の行動に移るのが苦手な時期です。公園や児童館で「もう帰る時間なのに、なかなか帰れない」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか? そんな時に無理に連れて帰ろうとすると、激しく泣いて抵抗されてしまいますよね。
これを避けるためには、「そろそろ帰る時間だな」というタイミングで、事前にお子さんに伝えておくことが大切です。
例えば、「あと10分で【おしまいね】。おうちに帰るよ。タイマーをセットするね」と言いながら、タイマーを見せて一緒に確認します。時間になってタイマーが鳴ったら、「ほら、時間だよ。【おしまいね】」と声をかけて帰宅を促します。こうすることで、子どもは「突然終わらされる」のではなく心の準備ができるので、納得しやすくなります。
もちろん、すぐに受け入れられないお子さんもいるかもしれませんが、ここは親が冷静に対応しましょう。我が家では、「あと5分」などと伝える余裕がない時は、「あと10数えたらおしまいね!」とカウントダウンをして切り替えを促していました。10、9、8……と数が減るにつれて、子どもたちは少し焦りながらも、次の行動への準備をしていました。その様子がとてもかわいらしかったのを覚えています。
さらに、我が家には、人の言葉をある程度理解できる賢い大型犬がいたのですが、私がカウントを始めると「ほらほら、時間だよ!」と言わんばかりに子どもたちの周りをぐるぐる回っていました(正直、ちょっと邪魔でしたが……笑)。そんな家族の習慣が、今では懐かしい思い出です。
ベビーサインを使って「物事の区切り」を伝えることで、子どもは次の行動への切り替えがしやすくなります。イヤイヤ期のお子さんとの日常に、ぜひ取り入れてみてください!
選択肢を考える

もう一つ、イヤイヤ期を乗り越えるために役立つポイントがあります。「赤ちゃんに選択肢を与える」ことです。
お着替えを嫌がる、靴を履きたがらない、ごはんを食べない……。そんな時、つい「もう知らない……。勝手にしなさい!」と言いたくなることもありますよね。
しかし、そこで突き放してしまうと、子どもは「どうしたらいいのかわからない」という不安から、さらに激しく泣いてしまいます。そうなると、親も余計にイライラしてしまい、負のループに陥ってしまいます。
そんな時は、「どちらを選んでもOKな選択肢を2つ用意して、子どもに選ばせる」のがポイントです。
例えば、お着替えを嫌がる場合。天気や気温を考えて、すでに「これを着てほしい」と思う服がある程度決まっていることが多いですよね。そこで、どの組み合わせになっても問題のないシャツとズボン(またはスカート)を2枚ずつ用意し、子どもに選んでもらいます。選択肢が多すぎると迷ってしまうので、2択にするのがポイントです。
まずは、子どもの「イヤ」という気持ちを尊重し、一旦受け止めましょう。
「お着替えイヤなんだね〜」と共感したうえで、「じゃあ、シャツはどっちがいい?」と聞いてみると、子どもは「自分で選んだ!」という満足感を得られ、意外とスムーズにお着替えが進むことが多いのです。
時には、ベビーサインで「【星】のついたシャツがいい!」とか「【パトカー】のついた靴下がいい!」とリクエストがあるかもしれません。その場合は、できるだけその希望を優先してあげると、子どもも納得しやすくなります。
また、ごはんをなかなか食べてくれない時も、選択肢を与えることで解決することがあります。「ごはん、【ボール】みたいにする? それとも【おにぎり】がいい?」と聞いてみると、「自分で決めた!」という気持ちから、自然と食べる意欲がわいてくることもあります。
こうした対応は一見手間がかかるように思えますが、イヤイヤ期はずっと続くわけではありません。この時期特有の成長のプロセスだと思って、子どもの意思を尊重しながら、 少し気楽に付き合ってみてくださいね。
今すぐ試せる! この記事に出てくるベビーサイン
【星】

両手または片手をクルクル動かす。
【パトカー】

片手で敬礼ポーズをする。
【ボール】

ボールを持った両手を軽く振る
丸くてコロンとしたボールが好きな子どもも多いので、教えてみましょう。
【おにぎり】

両手でおにぎりを作っている仕草。
『ベビーサイン図鑑: 簡単なジェスチャーだけで、2歳児以下とも双方向コミュニケーション!』(吉中みちる/Gakken)
20周年を迎えた「ベビーサイン」が決定版となって、大幅にパワーアップして登場!
「ベビーサイン」とは、簡単なジェスチャーだけで、まだ言葉が話せない2歳くらいまでの子どもとも双方向コミュニケーションがとれる方法。
子どもは、言葉を話し始める前から、たくさんの気持ちや願いを抱えています。
「おしまいにしたい」「もっとやってみたい」「こわいよ」「うれしいな」「バスが来たよ」「リンゴが食べたい」――そんな思いを、言葉の代わりに“手の動き”で伝え合えるのが「ベビーサイン」です。
親子の心の距離をぐっと近づけてくれます。































