不登校は親が焦ると逆効果 心掛けたい「5つの接し方」は?

福田遼
2025.11.05 14:22 2025.11.11 19:00

イライラするお母さん

子どもが不登校になると、親として「どう対応すればいいのか」と悩むことも多いものです。状況が良くならないまま時間が過ぎていき、気持ちは焦るばかり……そんな保護者に、不登校の子どもたちをサポートする福田遼さんが伝えたい5つの心構えとは?

福田さんの著書より、不登校の子どもを支えるコツを抜粋・編集してお届けします。

※本稿は、福田遼著『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』(KADOKAWA)より一部抜粋、編集し たものです。

不登校サポートに向かう5つの心構え

これは、ふだん僕が、共に不登校の子どもたちを支える保護者のみなさんに、耳にタコができるくらいお伝えしている大事な心構えです。子育て全般を通して参考になる心構えでもあるので、ぜひみなさんに覚えてほしいと思います。

心構え1 スモールステップで

勉強する子ども

上る階段をつねに小さくするように意識してほしいと思います。

たとえば、小学生の子が「将来は英語が話せるようになりたい!」と言ったとき、最初の目標として「英検2級」を取ろうとするのは、ちょっとハードルが高すぎますよね。

いきなり高すぎるハードルに挑むと、なかなかクリアできずに、挫折してしまいやすいです。一気に大量のエネルギーを使って疲れ果ててしまうかもしれません。

そうではなく、まずは「英検5級」にチャレンジすることから始めるほうが良いですし、さらに手前に「5級の問題集で70点を取る」、その手前に「毎日1ページ英語のドリルをやる」というステップをつくることもできます。

そんなふうに、スモールステップで物事に取り組むと、「やったー!」という達成の喜びを味わえる回数がグンと増え、お子さんの中で「やってみよう」というポジティブな気持ちが継続するのです。

1日の中の5分だけ。100ページの中の1ページだけ。1文字だけだって、ひとつの「ステップ」を上ったことに変わりはありません。お子さんと一緒に、小さな一歩を喜んでいきましょう。

心構え2 好きなことから

立体工作をする子

何事も、好きなことからスタートすることを心がけましょう。得意なこと、できること、好きなことからやってみて、そこからすこしずつステップアップしていくのが、もっとも効率的なルートです。

なぜなら、好きなことや得意なことなら、物事を達成しやすいから。達成感は、「やりたい!」という前向きなやる気につながっていきます。

大人のみなさんでも、苦手なことにはなかなかモチベーションが湧きませんよね。たとえば、料理が苦手な人なら、料理を始めるまでに時間がかかったり、「どうせ上手くいかなさそうだから、やめておこうかな」と投げ出すことも多いと思います。

苦手なことにしぶしぶ取り組まされて、お子さんがすっかり無気力になってしまっては、元も子もありません。

いわゆる「好きなことだけさせましょう」というわけではなく、「まずは自分の好きなことからでOK 」が大切なスタンスです。そこで「やった!」と思える経験をくり返していけば、自然とみずから苦手なことにも挑戦してみようと思うときがやってきます。その先で、苦手を乗り越えることもできるんです。

心構え3 子どもが自分で決める

考える男の子

どんなときでも、お子さんの決断を尊重してあげることが大切です。大人のほうが「正解」をわかっていることは事実ですが、それでも、すべてを大人のみなさんが決定しないようにしてほしいんです。

多くの人に心当たりがあると思いますが、親から「学校に行きなさい」「宿題をしなさい」などと強制されると、子どもは反発し、かえって意欲を失ってしまうことがあります。

反対に「自分で決める」ことで、モチベーションは持続しやすくなるんです。たとえば、「今日はオンライン学習を1時間やろう」「明日は図書館で勉強しよう」など、自分で決めた内容ならがんばれたという子は多いものです。

そんなふうに自分で考えて選ぶ(決める)力は、これから変化の激しい世の中を生きていく中でも、とても重要な力になるはずです。

お子さんが自己決定する力を持ち、自分の選択に自信を持てるようになるためにも、いつもお子さんのペースを尊重する心構えを持つようにしましょう。

心構え4 生活習慣が最優先

寝ている子

子どもにとって、生活習慣を整えることはすごく重要です。

その理由は、生活習慣や睡眠は、子どもたちの脳の成長に大きく影響するから。規則正しい生活をくり返すと、五感から効率的に、たくさんの刺激を受けられるようになり、脳の根幹機能の発達につながっていきます。

大人であっても、生活習慣の乱れが、メンタルの不調を加速させるケースはよくありますよね。小児科医で文教大学教育学部教授でもある成田奈緒子先生によると(※1)、子どもの場合は、生活習慣の乱れや睡眠不足によって、落ち着きがなくなったり、攻撃性が増したり、ミスや忘れ物が多くなるといった支障をきたすことがよくあるそう。

発達特性にも似た傾向ですが、そんな子が、しっかりと睡眠時間を確保するようになった途端、すっかり落ち着くことも多いといいます。それほど、生活習慣を整えることは、お子さんの成長や生活にとって、大切なことなのです。

勉強より、コミュニケーションより、まずは生活習慣。 この大原則を心に留めておいてくださいね。

心構え5 チャレンジそのものに価値を置く

勉強をする男の子

なにかに取り組むとき、つい「どんな結果だったか」だけを評価してしまうものですよね。周囲の人からの注目も、結果にばかり注がれるもの。

子ども自身もそうで、「できた」「できなかった」だけで物事を判断しがちです。チャレンジした結果「できなかった」とき、自らに「失敗」のレッテルを貼り、自信を失っていきます。次第に、失敗を極端に恐れるようになっていく子も多いです。

だからこそ、みなさんにはお子さんがなにかに取り組んだ過程(チャレンジ)そのものを、大切に見てあげてほしいと思います。

たとえば、「テスト良い点だったね!」と評価するよりも、「毎日勉強してたもんね!」「こういう計画を立てていたんだね!」などと、お子さんがテストをがんばろうと思ったこと自体に着目してあげるんです。そうやって、チャレンジそのものを評価するようになると、やる気が持続し、次なる困難に立ち向かう勇気が湧いてきます。

不登校のお子さんに伴走する親御さんが、一刻も早く結果を求めたくなる気持ちもよくわかります。難しいお願いだと重々承知していますが、結果に振り回されないでほしいと思います。そうではなく、お子さんがどんなふうに日々を過ごし、どんなチャレンジをして、どんな工夫をしているのかに目を向けてあげましょう。

心構え1 スモールステップで
心構え2 好きなことから
心構え3 子どもが自分で決める
心構え4 生活習慣が最優先
心構え5 チャレンジそのものに価値を置く

並べてみると当たり前のことばかりに思えますが、せわしない子育ての日常の中では、どれも意外と忘れがちになってしまうもの。毎日くり返し読むくらいの気持ちで、じっくりみなさんの心に定着させてほしいと思います。この心構えがあれば、それだけでお子さんとの接し方や関係性は大きく変わるはずですから。

※1 『「発達障害」と間違われる子どもたち』成田奈緒子著・青春出版社

福田遼

福田遼

1995年福岡県生まれ。九州大学教育学部卒業後、5年間の小学校教諭を経て退職。その後8カ月にわたり世界各地の教育施設を訪問。 2023年4月に旧友・秋山とともに始めた『子育てのラジオ「Teacher Teacher」』ではMCを務める。24年に株式会社Teacher Teacherを組織し、無料オンラインフリースクール「コンコン」をスタート。

不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方
福田遼著『不登校をチャンスに変える一生モノの自信の育て方』(KADOKAWA)

不登校の児童は増え続け、いまや全国で30万人を突破。
「原因がわからない」「どう支援すればいいのかが見えない」
現代の“令和型不登校”は、従来とは異なる複雑さを抱えています。
それなのに、「親のせい」「育て方が悪い」という空気や発言がいまだに見られることも事実です。

本書の著者・福田遼さんは、元小学校教諭。憧れだった教員に​なって、「不登校問題」に直面しました。
学校に行けない子どもたちを救うことができなかったと、自分の無力さを痛感。
大好きだった教員を辞め、不登校問題をなんとか解決できないか、新しい仕組みを学びたいと、世界18カ国の教育現場を回りました。
そして、注力していた不登校支援を実践するべく、無料のオンラインフリースクール「コンコン」を立ち上げたのです。
子どもが自分の進みたい方向を見つけ、一歩踏み出す自信と力をつけられるように、日々子どもたちに向き合っています。

この本では、福田さんがこれまで培ってきた知識・経験・実績を総動員し、「不登校は親のせいでも子どものせいでもない」という前提のもと、
子どもが自信を取り戻し、将来幸せに生きていくためのメソッドを具体的にお話していきます。

どうにかまた学校に行ってほしくて、あれこれ子どもに働きかけている方。
いろいろやり尽くして、子どもの再登校はもう諦めたという方。
「学校に行きたくない」と訴える朝が増えて、不登校を間近に感じている方。

そんな方に、ぜひ読んでいただきたい内容になっています。

子どもの未来を諦めないすべての方へ。
不登校という状況を、自信を取り戻すチャンスに変えるための1冊です。