不登校の子からスマホを取り上げるのはNG? 登校意欲を取り戻す”デジタル制限の段階的アプローチ”

熱海康太
2025.11.18 23:39 2025.11.23 19:00

寝ながらスマホを触る男性

不登校の子どもの多くが、一日の多くをスマホやゲームに費やしています。中学生のスマホ利用時間は6年前の倍以上、1日7時間を超える層も2割近くに。スマホ依存が進むと登校意欲の回復がさらに難しくなります。

元公立学校教員で多数の教育書を執筆、現在は一般社団法人日本未来教育研究機構代表理事として活動する熱海康太さんが、デジタル制限と自己管理力の育て方を解説。脳科学的な影響、心の回復段階に応じた関わり方、ルールを一緒に作る5つのステップまで、子どもの自律を支える具体的な方法をご紹介します。

スマホ依存が脳に与える影響

スマホをいじる男の子

不登校の子どもたちの生活を観察すると、一日の多くをスマートフォンやゲームに費やしている例が少なくありません。中学生のスマホ利用時間は6年前の倍以上に増え、1日7時間を超える層も2割近くに達しています。

スマホ依存が進むと、睡眠不足や集中力の低下を招き、登校意欲や学習意欲の回復をさらに難しくしてしまいます。

東北大学の川島隆太教授の研究によれば、スマートフォンを長時間使用する子どもは、脳の発達、とくに「前頭前野」の働きが停滞することが確認されています。前頭前野は、計画性や感情のコントロール、我慢する力を司る領域です。

つまり、スマホの過剰使用は自己管理力を直接的に弱めてしまうのです。さらに、スマホを傍に置いて勉強すると、

熱海康太

熱海康太

大学卒業後、神奈川県の公立学校で教鞭を取る。 教育実践において厚木市教育委員会から表彰を受けるなど活躍。しかし、勘と根性に任せた指導法に限界を感じ、国立大学付属小学校で多くの教育論や教育実践を学ぶ。 学びを体系化することで、学級や学校は安定し、『先生の先生』を行うことも増えた。その後、教員や保護者、子どもたちのための本を執筆するようになる。 常に先端の教育理論や教育実践を研究している。

X:@jetatsumi