思春期の友人関係、親はどこまで踏み込んでいい? 「子どもの友達の悪口を言う」が絶対NGな理由

親としてどうしても気になってしまうのが、子どもの交友関係。
つい色々聞いたり、口を出したくなってしまいますが、自分の世界を広げ始めた思春期の子どもにとっては、その一つひとつが「余計なお世話」になりがちです。
では、思春期の子どもの交友関係について、親はどこまで気にかければいいのでしょうか。程よいかかわり方と、絶対にやってはいけないことを、精神科認定看護師のこど看さんの著書よりご紹介します。
こど看著『児童精神科の看護師が伝える 10代のこわれやすいこころの包みかた』(KADOKAWA)
子どもの友だちの悪口を言わない

思春期の友人関係は、大人が想像する以上に複雑です。中学生にもなれば、学校のクラスメイトや担任の先生だけでなく、部活や塾、習い事、SNSなどを通して交友関係は一気に広がります。加えて、この時期の子どもたちは「自分ってなんなんだろう」と日々頭を抱えながら、自分探しの真っ最中ですので、人間関係においてもかなり忙しく、悩みやトラブルも尽きません。他者と比較して今の自分の立ち位置を確かめたり、他者と比較して自信を失っては取り戻す、を繰り返したりしています。
さて、この人間関係で悩みを抱えやすい時期の子どもに対して、保護者はどこまで踏み込めばよいのでしょうか。実際、思春期のわが子の人間関係はかなり気になることでしょう。「いじめにあってないかな」「好きな人は……もしかして彼氏とかいるの!?」「やんちゃな子と仲良くしてたりするのかな……」と、子どものことを思うあまり、友だちのことを根掘り葉掘り聞きたくなる気持ちになってしまうのは十二分に理解できます。
しかし、実はここでも基本は「でしゃばらない」を徹底してほしいのです。「あの子と遊ぶのはやめておいたほうがいいんじゃない?」「あの子のことが好きなの?」など、大人の経験則からの助言は、たいていの場合「よけいなお世話」になります。もちろん、反社会的な影が見える友だちであれば介入は必要ですが、基本的には子ども自身が自分の判断と責任で交友関係を広げ、深めていけるよう見守る姿勢が大切です。
とはいえ、交友関係に一切口を出さないとなると、「自分の友だちにあんまり興味ないのかな」と子どもに感じさせてしまう可能性もあるため、まずは「どんな子なの?」と、ふわっと聞く程度にとどめるのがおすすめです。大人の不安を出発点にした「その子、頭いいの?」「変な子じゃないよね?」といった深掘りの質問は控えるほうが無難でしょう。
さらに注意したいのが、「サトシくんは毎日勉強してるらしいよ」「エリコちゃんはキレイだね〜」といった友人との比較です。思春期の子どもは他者との比較に非常に敏感に反応しますので、友人との比較は遠回しのディスり(けなし)に聞こえるのです。
「(あなたと違って)サトシくんは毎日勉強してるみたいよ?」「(あなたと違って)エリコちゃんはキレイだね〜」といった感じです。どうでしょうか? こうした比較は思春期の子どもからすれば非常に「うざい」上に、「お前のこと誰が好きなん?」(注:霜降り明星の粗品さんが使う、最大限の皮肉を込めたツッコミ)と思わざるを得ない行為であることを理解していただけたでしょうか。
そして、もっとも注意してほしいことは、子どもがどんな友人と付き合っていたとしても、「友だちの悪口を言わない」ということ。その子がその友だちと付き合っている理由は必ずあるので、自分の友だちについて話したときに、「その友だちってどうなの?」というように、批判的に言うのは避けたほうがよいでしょう。友だちへの悪口を聞くと、「その友だちと交流している自分はダメなのかもしれない」「親は別の友だちをつくったほうがいいって思っているのかもしれない」と、友だちだけでなく、今の自分を否定されたと感じてしまうかもしれないのです。このような思いは、子どもの人間関係における主体性を奪いかねません。
友だちの話をされたときは、まずは苦言を呈さず、友だちについて語る子どもの話をひと通り聞いてほしいのです。友だちの話をするときに、毎回「その友だちってさあ……」と批判をされれば、当然「友だちの悪口を言われるから話したくない」という思いが出てきてしまいます。そうなると、思春期における大きな壁となる友人関係に関する相談を一切してこなくなるかもしれません。「その子とどんな話をするの?」とやんわり興味を示し、「うちに遊びに来てもいいからね」と自然に受け入れる姿勢を示してほしいのです。子どもがビクビクしながらも、手探りで広げ、深めている人間関係を頭ごなしに否定せず、肯定的なまなざしを向けて見守ることが大切です。
そしてもし、子どもから人間関係に関する相談があったときは、あなたの豊富な経験と知識を子どもの苦悩に役立ててあげてほしいのです。そのときもぜひ出しゃばらず、子どもの話を最後まで聞き、気持ちを受け止め、子どもと一緒に頭を抱えてもらいたいのです。「大人も人間関係の答えってすぐに出せないんだ」とその子が思えることも、大人の大切な役割だと私は思います。





























