「やめたい」「いやだ」は成長の証? 親を悩ませる言葉に隠れた“可能性の芽”とは

丘山亜未
2025.12.10 13:29 2025.12.30 11:50

頬をつく子ども

せっかく始めた習い事を途中で投げ出したり、小さなことでも言い返してくる子どもの行動に、親はつい「困った行動」と感じてしまうもの。しかしその裏には、自己理解と自己表現、信念といった大きな可能性の芽が隠れているのだそうです。

モンテッソーリ教師の丘山亜未さんの著書から、モンテッソーリ流・子育てのヒントをご紹介します。


※本稿は、『1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと』(丘山亜未/青春出版社)から一部抜粋・編集したものです。

「やめたい」と言える子は、切り替えが軽やかな子

せっかく習い事を始めても「もう行きたくない」「やめる!」と途中で投げ出してしまう。
そんな姿に大人は「根気がないのでは?」「最後まで続けてほしいのに」と感じるかもしれません。

「やめたい」と言えるのは、自分の心や体の声に気づけているということ。
続けなければいけないという重圧に耐えることより、「自分の気持ちに気づくこと」「その気持ちを言葉にできること」のほうが、発達の途中ではずっと大切。「やめたい」という言葉は、自己理解と自己表現の芽なのです。

また、熱しやすく冷めやすい気質は「飽きっぽい」と見られがちですが、興味を広げ、世界を柔軟に吸収していける力にもなります。

親としては「ここで頑張り抜いてほしい」と思うこともあるでしょう。
けれど一度「そうか、やめたいんだね」と受け止めてみてください。その瞬間子どもは“気持ちを正直に話しても大丈夫なんだ”と安心します。この安心体験が、心のしなやかさとなる大切な土台になります。

これからも「やっぱりやめたい」と言うことがあるかもしれません。そのときに「やめても愛される」と思えるか、「続けられない自分はダメだ」と感じるか。それは、子どもの幸せを大きく左右します。
正直な気持ちを受け止めてもらえた子は、自分を責めずに、また新しい挑戦へ踏 み出せます。

「やめたい」と言える気持ちを、安心で包んであげること。
それが、切り替える力と前へ進む勇気を、育てていきます。

反発ばかりの子は、信念を守れる子

砂遊びする3歳の園児

「お片づけしようね」と言えば「まだ遊ぶ!」。
「お風呂に入ろう」と言えば「やだ!」。
小さなことでも「いや!」と逆らい、親が言えば言うほど言い返してくる。毎日のように続くやりとりに、「どうして素直にできないの?」といら立ってしまう――そんな日もありますよね。

けれど子どもの反発は、ただの反抗心ではありません。それは、「大人の言うことと自分の気持ちは違う」と気づきはじめた成長のサイン。自分の存在を確かめようとする、健やかな自我の芽なのです。

「いやだ!」という言葉の裏には、「自分で決めたい」「自分の考えを持ちたい」という思いが隠れています。この“反発”こそが、意志の力の始まり。

気質的にも、意志が強い子や感受性の豊かな子ほど、この時期に強く反応しやすい傾向があります。親から見れば「頑固」「扱いづらい」と思えるその姿も、裏を返せば「信念を守る力」。
流されずに自分を貫こうとするその姿勢は、やがて「自分の道を選び取る力」へと育っていきます。

とはいえ、毎日言い合いになれば、親もぐったりしてしまいます。
そんなときに大切なのは、反発に真っ向から立ち向かわないこと。言葉で押さえつけるよりも、いったん距離を取って、あとでスキンシップや読み聞かせなどで“関係を結び直す”時間を持ってみましょう。

親を困らせる反発の裏にあるのは、信念の芽。
その芽を折らずに見守ることが、やがて「自分を信じて生きる力」へとつながっていくのです。

丘山亜未

株式会社kototo代表。モンテッソーリ教師。
モンテッソーリ幼児教室「ちいさないす」および、モンテッソーリの学びを広げる教育事業「kototo Montessori Life」を主宰。
会社員として15年ほど勤務し結婚・出産。娘の入院生活をきっかけに、乳幼児の発達や育ちについて学びはじめる。知識が増えるごとに子育てがラクになったことから、学びのシェア会を開催。次第に問い合わせが増え、乳幼児教室をオープン。どうすれば親子が幸せに暮らせるかを模索する中、モンテッソーリの「平和は教育でしかなし得ない」という言葉に出会い、モンテッソーリ教師となる。
子どもの“好き”や“才能の芽”を丁寧に育て、親が自分らしいまなざしで子どもと向き合えるようになるための教育・支援を行っている。モンテッソーリ教育と心理学の視点を組み合わせ、子どもの安心と成長を支える独自のプログラムや講座を展開。これまでに25,000組の親子を支援し、幼児教室・オンラインセミナー共に常に満席となる。

Instagram:@amiokayama

1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと

1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと』(丘山亜未/青春出版社)

本書では「モンテッソーリ流・子育てのヒント」を100個紹介。
忙しい方でもできるように、最短10秒でできるような「簡単でシンプルなことだけ」を厳選してまとめました。
どこから読んでいただいても構いません。空いた時間に、1日たったひとつでいい。そのひとつで、子どもとの暮らしがガラリと変わります。
気になったものから、試してみてください。