「やめたい」「いやだ」は成長の証? 親を悩ませる言葉に隠れた“可能性の芽”とは

丘山亜未

せっかく始めた習い事を途中で投げ出したり、小さなことでも言い返してくる子どもの行動に、親はつい「困った行動」と感じてしまうもの。しかしその裏には、自己理解と自己表現、信念といった大きな可能性の芽が隠れているのだそうです。

モンテッソーリ教師の丘山亜未さんの著書から、モンテッソーリ流・子育てのヒントをご紹介します。


※本稿は、『1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと』(丘山亜未/青春出版社)から一部抜粋・編集したものです。

「やめたい」と言える子は、切り替えが軽やかな子

せっかく習い事を始めても「もう行きたくない」「やめる!」と途中で投げ出してしまう。
そんな姿に大人は「根気がないのでは?」「最後まで続けてほしいのに」と感じるかもしれません。

「やめたい」と言えるのは、自分の心や体の声に気づけているということ。
続けなければいけないという重圧に耐えることより、「自分の気持ちに気づくこと」「その気持ちを言葉にできること」のほうが、発達の途中ではずっと大切。「やめたい」という言葉は、自己理解と自己表現の芽なのです。

また、熱しやすく冷めやすい気質は「飽きっぽい」と見られがちですが、興味を広げ、世界を柔軟に吸収していける力にもなります。

親としては「ここで頑張り抜いてほしい」と思うこともあるでしょう。
けれど一度「そうか、やめたいんだね」と受け止めてみてください。その瞬間子どもは“気持ちを正直に話しても大丈夫なんだ”と安心します。この安心体験が、心のしなやかさとなる大切な土台になります。

これからも「やっぱりやめたい」と言うことがあるかもしれません。そのときに「やめても愛される」と思えるか、「続けられない自分はダメだ」と感じるか。それは、子どもの幸せを大きく左右します。
正直な気持ちを受け止めてもらえた子は、自分を責めずに、また新しい挑戦へ踏 み出せます。

「やめたい」と言える気持ちを、安心で包んであげること。
それが、切り替える力と前へ進む勇気を、育てていきます。

反発ばかりの子は、信念を守れる子

「お片づけしようね」と言えば「まだ遊ぶ!」。
「お風呂に入ろう」と言えば「やだ!」。
小さなことでも「いや!」と逆らい、親が言えば言うほど言い返してくる。毎日のように続くやりとりに、「どうして素直にできないの?」といら立ってしまう――そんな日もありますよね。

けれど子どもの反発は、ただの反抗心ではありません。それは、「大人の言うことと自分の気持ちは違う」と気づきはじめた成長のサイン。自分の存在を確かめようとする、健やかな自我の芽なのです。

「いやだ!」という言葉の裏には、「自分で決めたい」「自分の考えを持ちたい」という思いが隠れています。この“反発”こそが、意志の力の始まり。

気質的にも、意志が強い子や感受性の豊かな子ほど、この時期に強く反応しやすい傾向があります。親から見れば「頑固」「扱いづらい」と思えるその姿も、裏を返せば「信念を守る力」。
流されずに自分を貫こうとするその姿勢は、やがて「自分の道を選び取る力」へと育っていきます。

とはいえ、毎日言い合いになれば、親もぐったりしてしまいます。
そんなときに大切なのは、反発に真っ向から立ち向かわないこと。言葉で押さえつけるよりも、いったん距離を取って、あとでスキンシップや読み聞かせなどで“関係を結び直す”時間を持ってみましょう。

親を困らせる反発の裏にあるのは、信念の芽。
その芽を折らずに見守ることが、やがて「自分を信じて生きる力」へとつながっていくのです。

1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと

1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと』(丘山亜未/青春出版社)

本書では「モンテッソーリ流・子育てのヒント」を100個紹介。
忙しい方でもできるように、最短10秒でできるような「簡単でシンプルなことだけ」を厳選してまとめました。
どこから読んでいただいても構いません。空いた時間に、1日たったひとつでいい。そのひとつで、子どもとの暮らしがガラリと変わります。
気になったものから、試してみてください。