「ぜんぜん本を読まない子」が変わる 子どもが読書にハマる3つのポイント
「子どもにはたくさん本を読んでほしい」と願うのは、親として自然なこと。しかし、放っておいても本にハマる子がいる一方で、なかなか本を読もうとしない子も…。
「生粋の本好き」でなくても、子どもが自然と本にハマる3つのポイントとは?『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』より抜粋してご紹介します。
※本稿は、堀田秀吾 (著)『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
子どもが本に「ハマる」3つのポイント
親がなにも意識しなくても、幼少時から活字ばかり追う子どもや、本ばかり読む子どもはいます。しかし、子どもが読書好きになるかどうかは先天的な要因だけで決まるわけではありません。家庭環境や親の関わり方、ちょっとした工夫で、本の世界にどっぷりと「ハマらせる」ことはできるのです。人間の意思決定は自分たちが考えている以上に「環境」に左右されます。子どもたちが本を読むような、そして読みたくなるような「仕組み」を生活の中に作っていくことが大切です。
ここでは本に夢中になる子どもを育てるための3つのポイントを紹介します。
①本がすぐ手に取れる「環境」
まず大切なのは、本が身近にある環境を作ることです。これはどんな子育て本でも再三言われていることですが、実際にさまざまな研究でエビデンスが提示されているからこそ定説となっているのです。
家の一角に小さな読書コーナーを設けるだけでも、子どもはごく自然に本に親しむようになります。お気に入りの絵本や物語が自然に目に入り、なおかつ手に取りやすい場所に置いておくと、子どもは自分のペースで読書を楽しむきっかけをつかみます。たとえば興味を引くために、本の背ではなく「表紙が見えるような置き方」も効果的です。子どもが大きくなって自室を用意してあげるときも、まっさきに「本棚」は用意してあげましょう。
さらに本との接点を増やすという意味では、図書館や書店、ブックバザーに出かけてみるのも良いアイデアです。本がたくさん並ぶ場所に足を運ぶと子どもはその雰囲気にわくわくし、自然と読書への興味が湧きます。興味を引いた本があれば積極的に手に取って「どんなお話かな?」と話し合うことで、本との出合いがより特別なものになるでしょう。
②「読書=楽しいこと」という記憶を定着
本好きになってもらうためには、読書という行為自体をポジティブな記憶として定着させることが欠かせません。
そのひとつの手段として有効性が実証されているのが、小さな子どもに対する寝る前の読み聞かせです。おやすみ前に一緒に本を読む時間は親子の特別なコミュニケーションの場になるだけではなく、本に対する親近感を生み、なおかつ「本の読み方」を自然と学ぶ絶好の機会にもなります。
できれば物語の感想を聞いたり、内容について語り合ったりする「対話を重視した読み聞かせ」をするとさらに効果が期待できるとノートルダムオーストラリア大学のレノックスは述べています。ちなみにパドヴァ大学のセラらの研究によると、寝る前のポジティブな内容の読書は、睡眠の質を高めるそうです。
本に対するポジティブな印象を高めるには誕生日やクリスマスなど特別な日に本をプレゼントする方法もあります。「特別な日には新しい本がもらえる」という記憶は、読書に対する前向きな気持ちを育みます。
③親がうまく伴走する
子どもが本を読むことに苦手意識があるなら、親が適度に介入して子どもの読書をうまくサポートする努力が必要です。
読書のサポートは実際に大きな効果を生むことがわかっています。静岡大学の研究では親が積極的に読書の手伝いをする家庭では、子どもが本を読む時間が平均30分以上増加したという報告があります。30分の差はかなり大きいです。また、メリーランド大学のクローダとウィグフィールドの報告によると、親の読書サポートを受けた子どもの70%が読書を楽しんでいると言います。
親自身が読書を楽しんでいる姿を見せることも重要です。ブリガムヤング大学のプライスとシカゴ大学のカリルの研究によると親が積極的に本を読む家庭では、子どもが読書を楽しむ割合が約30%も高くなることがわかっています。
ニューサウスウェールズ大学のミューランの研究でも、親自身が30分以上本を読んでいる家庭の若者は、親が本を読んでいない若者よりも、平均して読書時間が大幅に長くなるとのこと。
リビングのソファなどで静かに本を開いている親の姿は、子どもにとって何よりのお手本です。「ママがあんなに集中して読んでいる。何を読んでいるんだろう? 本ってそんなに面白いの?」と感じてもらえれば、子どもも本に対して関心が高まるはずです。
しかも読書は単なる「勉強時間の延長」ではありません。本の力は偉大です。本を通じて得られるものは学力の向上にとどまらず、新しい言葉や考え方に触れ、想像力や共感力を養います。そして読書は学力だけでなく、いま注目されている「非認知能力」にも分類されるコミュニケーション力や社会性の育成にもつながっていきます。
「環境」
「喜び」
「親のサポート」
この3つをキーワードに、子どもを読書の世界に誘ってください!

堀田秀吾 (著)『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』(Gakken)
「読書すると学歴が高くなるってホント?」
「本好きの子にするためにすべきことは?」
「親が読書家だと、子どもも本好きになる?」
「電子と紙の本、効果は同じ?」
「読書をしている子はグレにくい?」
――ハーバード大、MITなどの最先端研究から、子どもにとって「最高の読書法」がわかる!
「子どもに読書習慣をつけさせたい」親は多い。
しかし、小学生の読書量は30年前(親世代)と比べ3分の1に減少。高校生にいたっては2人に1人が「読書ゼロ」の状況だ(学研教育総研調べ)。
誰もが「読書はよいもの」とうっすら感じているが、じっさいのところ読書はメリットだらけ。
最新研究でも、読書の効果は、「語彙」や「学力」だけでなく、「創造力」「共感力」「メンタルヘルス」にも影響することがわかってきた。
本書では、年間数千本の論文を読む「科学論文オタク」の言語学者が、「いまの科学でいちばん正しい、最高の読書法」を教える。