大事なのは学力だけじゃない AI時代の子どもの一生支える「逆境に強い心」の育て方

高濱正伸
2025.12.26 11:57 2026.01.14 11:50

小学生の投稿下校のイメージ

急速にAI化が進み、予測困難な時代を生きる子どもたち。効率や正解が求められる世の中だからこそ、親として伝えておきたいこととは?

花まる学習会代表の高濱正伸さんが伝える、学力以上に、将来子どもを支える大きな力となる「心の持ち方」についてご紹介します。

※本稿は、高濱正伸著『AI時代を生き抜く人間力!伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春文庫)から一部を抜粋し、編集したものです。

逆境に強いのは、どんな状況でも楽しみきる子

人生には晴れもあれば雨もあります。選択できないこと、受け入れるしかないこともたくさんあります。

そんなときに愚痴や恨みつらみを言わず、そのなかでベストを尽くすこと、与えられたものを受け止めて楽しみきる子に育てることはとても大事です。

あるサマースクールで、3泊4日のスケジュールすべてが雨ということがありました。何となく曇った表情の子どもたちに向かって、私はこう言ったのです。

「4日間、全部雨だったね。残念な気持ちを持っている人もいるかもしれないけれど、こういうときって大事なんだよ」

ダメな大人の典型は、愚痴を言ったり他人をうらやんだりする人。こんなとき、「あーあ、雨だよ、つまんないなあ」「いいなあ、晴れの回だった人は」と言う。

だけど、みんなにはそういう人になってほしくない。だって天気は選べないし、どうしようもないことだから。

大事なのは、天気に限らず、「与えられた条件でベストを尽くす」「与えられた状況を楽しみきる」ということだと。

「実際、みんなも川で遊べたし、たくさん楽しめたよね。それはみんなの心がすばらしかったからなんだ。これからも、どんな状況でも満喫して楽しめる人になってください」

こう話し終えると、子どもたちの目がキラリと変わるのを感じました。私の言葉を真っすぐに受け止めてくれたことが伝わってきました。思い通りにならないとき、つらいときこそ最高のチャンスです。

なぜなら、成長して社会人になったとき、どうにもならないことや理不尽なこと、不運としかいえない状況に追い込まれたときに、その逆境を乗り越えることが大切だからです。そしてそれは、小さなことでもいろんなことを乗り越えた経験によってしか培われません。

天候などは最もシンプルな例でしょう。ちょっと意識を変えて、選べない条件なら楽しむしかないのです。

「うまくいかない理由づけ」をする大人も、現実にはたくさんいます。でも、子どもたちには雨だって楽しめる人に育ってほしいと思いませんか。

どんな状況でも楽しみきる。置かれたところでベストを尽くす―。これは、学力のみならず、将来子どもたちが生きていくうえで大きな力となるはずです。

高濱正伸

高濱正伸

1959年、熊本県生まれ。東京大学大学院修士課程卒業。93年に、「国語力」「数理的思考力」に加え「野外の体験教室」を指導の柱とする学習教室「花まる学習会」を設立。算数オリンピック問題作成委員・決勝大会総合解説員。

高濱正伸著『AI時代を生き抜く人間力!伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春出版社)

AIが答えを教えてくれて、「頭がいい」の常識が変わった今の時代に必要なのは、人としての魅力や心の強さ=人間力です。

“教育界のカリスマ”の超人気講演「母親だからできること」のポイントを1冊にまとめたシリーズ(単行本と文庫)累計12万部のベストセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』に、スマホとのつきあい方、不登校の問題、令和の母の新常識などの新情報を追加した増補新版。

わが子を「メシが食える大人」に育てるための88(ハハ=母)のメッセージがつまっています。