フィクションとノンフィクション、子どもの学力につながる本は? 専門家が解説

堀田秀吾

フィクションとノンフィクション、子どもの学力を育てるのはどちらなのでしょうか。
空想の物語であるフィクションは、「単なるエンタメ」と見られがちですが、実は学びにつながる力も秘めています。

『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』より、堀田秀吾さんの解説をご紹介します。

※本稿は、堀田秀吾 (著)『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。

「フィクション」VS「ノンフィクション」学力に役立つのはどっち?

近年の教育研究を調べると、フィクションを読むことは学力向上や認知・社会性の発達に良い影響を与える可能性があるとされています。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のジェリムとモスの研究によれば、PISAの読解力テストにおいて、小説や物語を頻繁に読む中高生はそうでない同世代よりも高得点を取る傾向がありました。フィクションの読書頻度が1段階増えると点数が最大17点上昇するデータがあるほど強く関連していたのです。その一方で、これは意外に思われるかもしれませんが、ノンフィクションを読む頻度は同様のテストスコアと明確な相関は見られなかったと報告されています。

読解力以外にも、登場人物の心情や状況を想像することを必要とする文学作品は共感力も鍛えられます。米プリンストン大学のダイアナらの研究では小説を読むと「他者心を読む力(心の理論)」に関連する脳ネットワークが活性化され、社会認知能力が高まる可能性が示されています 。

またハーバード大学のキッドとフィレンツェ大学のカスターノは、文学的フィクションを読むと感情認識テストの成績が向上し、ノンフィクションを読むよりも優れた結果になると報告しています。

彼らによると複雑な人物像や伏線が盛り込まれている上質な小説を読むとき、自分の頭で想像したり、内容について自分なりに考えを深めたりする必要があるので、考える力が全体的に育つというのです。

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知識を広げたり深めたりするにはノンフィクション

もちろんノンフィクションにも大きな価値があります。

科学や歴史のノンフィクションを読むと、専門知識や時事問題への理解が深まり学習意欲が湧くことも多いようです。実際、多くの子どもは自分の興味でフィクションとノンフィクションを自由に選び、ノンフィクションに興味を持つこと読書習慣につながるという指摘もあります(クイーンズ大学の報告)。

ノンフィクションは読解力への即効性は低いかもしれませんが、子どもにとって自分の知らない世界を知ること、そして知識が増えていく楽しさを体験できる意義は計り知れません。そして知識が増えることで批判的判断力(言われたことをそのまま信じるのではなく、本当に正しいかどうか自分の頭で考えて判断する力)が養われるでしょうし、勉強したい科目への興味も高まるかもしれません。

フィクションとノンフィクション。その両者をうまく組み合わせることで「知識+想像力」のバランスが取れた学びができます。強制は厳禁ですが、もしお子さんの読書がどちらかに偏っているなら、さりげなく両方を取り入れてみてはいかがでしょうか。

【POINT!】脳を総合的に鍛えたいなら「フィクション」。知識重視なら「ノンフィクション」

いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方

堀田秀吾 (著)『いまの科学でいちばん正しい 子どもの読書 読み方、ハマらせ方』(Gakken)

「読書すると学歴が高くなるってホント?」
「本好きの子にするためにすべきことは?」
「親が読書家だと、子どもも本好きになる?」
「電子と紙の本、効果は同じ?」
「読書をしている子はグレにくい?」
――ハーバード大、MITなどの最先端研究から、子どもにとって「最高の読書法」がわかる!

「子どもに読書習慣をつけさせたい」親は多い。
しかし、小学生の読書量は30年前(親世代)と比べ3分の1に減少。高校生にいたっては2人に1人が「読書ゼロ」の状況だ(学研教育総研調べ)。
誰もが「読書はよいもの」とうっすら感じているが、じっさいのところ読書はメリットだらけ。
最新研究でも、読書の効果は、「語彙」や「学力」だけでなく、「創造力」「共感力」「メンタルヘルス」にも影響することがわかってきた。
本書では、年間数千本の論文を読む「科学論文オタク」の言語学者が、「いまの科学でいちばん正しい、最高の読書法」を教える。