「できた!」の演出で勉強にハマる! 子どものやる気を引き出す“小さな成功体験”のつくり方

永島瑠美
2026.01.22 13:33 2026.01.22 11:50

勉強する子ども

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子どもが勉強に前向きになるために大切なのが、「できた」「頑張った」と感じられる小さな成功体験。それを大人がどう演出するかで、学習への印象は大きく変わります。

本記事では、勉強にハマる子を育てるための「小さな成功の演出」について、永島瑠美さんの著書より抜粋してご紹介します。

※本記事は永島瑠美(著)『東大でとことん教育を学んでわかった! 勉強にハマる子の育て方大全』(青春出版) より一部抜粋、編集したものです。

小さな「成功」の演出

勉強する親子

勉強を盛り上げる声かけ・演出としてご紹介するのは、「小さな成功の演出」です。

子どもは大きな目標に向かって一気に走り抜けるよりも、「できた!」「わかった!」という小さな達成感を繰り返し味わうことで意欲を高めていきます。

これは心理学で「強化理論」と呼ばれる考え方にもつながります。小さな成功体験を積み重ねることで、次の挑戦へのエネルギーが生まれるのです。

たとえば、ある小1男子。

計算ドリルに取り組むとき、最初は「全部やるのは長いし、嫌だ」と渋い顔をしていました。

そこで私は「1問解けたら第一関門クリア!」「次の5問を解けたらレベルアップ!」と小さく区切って、少しずつ「成功」を演出するように声をかけました。

すると彼の表情が一変。「よし、あとちょっとで次のレベル!」と楽しそうに取り組み、最後まで集中できるようになったのです。

このような「小さな成功」を強調する声かけは、実際に教育研究でも効果が報告されています。

アメリカの心理学者キャロル・ドゥエックの「成長マインドセット」研究では、子どもに対して「努力してできるようになったこと」を肯定的に認めると、自信と挑戦意欲が高まることが示されています。

行動分析学の分野でも、タスクを小分けにして小さな達成感を頻度よく味わわせる方法が、学習の持続に非常に有効であるとされています。

大げさに、即時に子どもを盛り上げよう

勉強する親子

実践のポイントは「大げさに」「即時に」成功を祝うことです。

子どもは大人が思う以上に「今この瞬間の承認」を欲しがります。問題が解けたときに「おぉ~! 第一ステージ突破!」と拍手したり、シールを1枚貼って「見える達成」にしたりするだけで、その瞬間が記憶に残る「楽しい体験」に変わります。

これが積み重なると、「楽しい!」「またやりたい!」と自然に思えるようになるのです。

私の教室でも「小さな成功」を意識的に演出するようにしています。

漢字練習で10回正しく書けたら「頑張ったスタンプ」を押す。テストで前回の自分より1点でも上がれば「自己ベスト更新プチ表彰状」を授与する。

最初は照れていた子も、やがて「先生、今日はスタンプ欲しいな」「自己ベスト更新ねらってるんだよね」と前向きに取り組むようになります。

ここでは「実際に成功したかどうか」が大切なのではなく「成功したという気持ちになれたかどうか」というところが大切です。

本当にそれは成功なのか、何を成功したのか、どれだけ成功したのか……。大人は成功の「内容」に目を向けがちですが、それはいったん置いておきましょう。

なんだっていいんです。成功したという気持ちになれていれば。

そして「結果の成功」でなく「過程の成功」に光を当てることを心がけてください。

たとえば、計算で間違えても「最後まであきらめなかったね!」と声をかければ、「あきらめなかった過程=成功」として記憶されます。

これにより、子どもは「あきらめずに挑戦すること自体に価値がある」と感じ、次の課題にも楽しく前向きになれるのです。

小さな成功の演出は、勉強を「苦しい」から「楽しい」に変える魔法の仕掛け。

親がちょっと大げさに喜び、達成をいっしょに祝うだけで、子どもは「勉強=できるようになる楽しい体験」とインプットしていきます。

永島瑠美

ナガシマ教育研究所代表。中学受験ラボ代表。一般社団法人勉強法アドバイザー機構代表理事。東京大学教育学部卒。教育学修士。 2015年から神奈川県横浜市金沢区で学習塾・学童保育を経営し、学習指導にあたる。これまでに指導した子どもたちは1000人以上。保育士、児童発達支援士、児童心理カウンセラー、勉強法アドバイザーの資格を持ち、教育学の研究者としても活動している。日本教育学会、日本教育心理学会等に所属。毎日子どもに向き合う実践的研究者として、最新の教育学研究の知見をわかりやすくお母さん・お父さんに伝えている。「学びを楽しめる社会をつくる」が生涯のテーマ。4児の母。

東大でとことん教育を学んでわかった! 勉強にハマる子の育て方大全

永島瑠美(著)『東大でとことん教育を学んでわかった! 勉強にハマる子の育て方大全』(青春出版)

「勉強しなさい!」
今日も、つい言ってしまった。
そして言ったあとで、ちょっと自己嫌悪。

・やる気がない
・集中力が続かない
・机に向かわせるだけで一苦労
・このままで大丈夫なのか、不安になる

周りの子と比べては、焦ってしまい、ネットで情報を探しては、余計に混乱する。──でも、もし。 勉強が“怒らなくても、勝手に始まるもの”に変わるとしたら?
「やらせるもの」だった勉強が、子どもにとって“最高の遊び”になるとしたら?

大丈夫。子どもは、勉強ができないわけでも、なまけているわけでもありません。
ただ、ハマり方を知らないだけ。
この本は、その「ハマり方」を誰でもできるかたちでまとめた一冊です。