「何のために選挙に行くの?」子どもに聞かれてあせらない、政治のそもそもの話
政治や選挙は難しいものと思われがちですが、実はとてもシンプル。政治とは、みんなが出し合ったお金をどう使えば、社会全体が安心して暮らせるかを考えること。そして選挙は、その考えを託す代表を選ぶための仕組みです。
子どもにもわかる、選挙と政治の「そもそも」の話を、宇野重規先生監修の児童書より抜粋してご紹介します。
※本稿は、宇野重規 (監修)『選挙、誰に入れる? ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておきたいこと』(Gakken)より一部抜粋、編集したものです。
選挙に行くのは何のため?
政治をちょっとでも良くするために選挙がある。
日本では、政治の決定権は国民にあります。これを「国民主権」と言います。しかし、国民全員で話し合うのは難しいので、私たち国民の代表者が政治を行います。
その“私たちの代表者”を選ぶのが「選挙」です。
日本の政治は、立法権をもつ国会、行政権をもつ内閣、司法権をもつ裁判所の、3つの機関を中心に行われています。国政選挙の場合、私たちは国会議員を選び、そして、国会で定めた法律に基づいて内閣や裁判所が動きます。つまり、政治を形づくるのが選挙であるといえるでしょう。このしくみは、地方選挙でも同じです。
このように、選挙は、政治を自分たちの手でつくり、そして、政治をちょっとでも良くつくり変えていくためにあるのです。
そもそも、政治って何?
政治とは、お金の使い方を決めること。
私たちはみな、多かれ少なかれ税金を納めています。また、大人は、医療保険や年金保険などにかかる社会保険料というお金も納めています。これらのお金は、社会保障をふくむ公共サービスの提供などに使われます。その使いみちは、国民の代表者である国会議員が話し合いをして決めています。政治とは、簡単に言うと「みんなが納めたお金をどのように使ったら、みんなが豊かに暮らせるか」を考えることです。
つまり、選挙に行くことは、「お金をこう使ってほしい」「こういう使い方はしてほしくない」などと注文をつけることだといえるでしょう。
政治とは、お金の使い方を決めること。この原則をおさえておけば、政治がぐっと身近なものに思えてきませんか?
社会保障って何?
社会全体で「困った」を支え合うしくみ。
政治を考える上で知っておきたいのが「社会保障」です。社会保障とは、弱い立場におかれた人たちもふくめて社会全体で支え合うためのしくみです。日本の社会保障制度は
「社会保険」「公的扶助」「社会福祉」「公衆衛生」の4つが基本的な柱となっています。
このうち社会保険は、病気やけが、老後、失業など、生活に困ったときへの備えです。医療保険、年金保険、介護保険などが代表的です。税金とは別に毎月「社会保険料」をみんなで出し合って、病気や高齢の人を支えているのです。
これらのしくみを守るためにも、
・保険料を納める人と保障を受ける人のバランスは適切か。
・必要としている人に社会保障が行き届いているか。
などの視点で政治を見ていくことが大切です。
投票したい候補者がいない場合はどうすればいいの?
投票は「ベストを選ぶ」ことではない。
「この人に入れたい」「この政策がいい」というたしかな思いをもって選挙に行けるのが理想ですが、現実にはすべての意見や政策があなたと一致する人や政党は、なかなかありませんよね。そんなときは、必ずしも「ベストな人や政党を選ぶ!」と意気ごむ必要はありません。
候補者の中からしか選べないのですから、「どちらかといったらこの人だな」「A党の政策とB党の政策を比べたら、A党のほうがマシだな」など、さまざまな観点で、よりマシなほうを選択する姿勢が重要になります。その際、「若者目線で政治をしてほしいから若者に入れる」「女性議員が少ないから女性に入れる」といった、政策に直接関係ない観点で投票してもいいのです。また、特定の政党を批判する意味で、違う政党に投票する、いわゆる「批判票」という考え方もあります。投票に唯一の正解はありません。
「投票しない」という選択はダメ?
投票しない人が多いと、一部の人たちだけで政治が決まってしまうかも!
1つの選挙区から1人を選ぶ場合を考えます。有権者(選挙権がある人)100人の中で投票する人が50人しかいない場合、26人以上の支持を得ることで、確実に当選できます。全体の3割に満たない一部の支持者の意見で政治が決まる状況は、本当に民主的と言えるでしょうか?候補者が3人以上いる場合は、さらに少ない数の意見で政治が決まることになります。
このような低い投票率の状況から、これまで投票を棄権していた人が投票し始めると、結果が大きく変わる可能性があります。近年の日本の国政選挙の投票率は50%台なので、先ほどの例と大きく変わりません。
「たかが自分の一票で」と思うこともあるかもしれませんが、その一票は、政治に大きな影響を与える可能性があるのです。
宇野重規 (監修)『選挙、誰に入れる? ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておきたいこと』(Gakken)
「選挙、誰に入れる?」
子どもにそう尋ねられたとき、あなたは自信をもって答えられますか?
政治が暮らしと密接に結びついているのはわかっていても、なんだか難しく感じる人も少なくないでしょう。
この本は、税金、社会保障、給与、エネルギー、多様性、選挙のあり方など、ちょっとでも良い未来を「選ぶ」ために知っておいてほしい様々なテーマを、豊富なデータと図解でわかりやすく解説しています。
この本を読めば、あなたもちょっとだけ自信をもって投票できるようになるかもしれません。
