子どもが初めてウソをついたとき「親がやってはいけないこと」

一般社団法人Raise

幼児など、子どもに対する犯罪のニュースを目にすることが増えています。親の目の離れたところで起るケースがほとんどのため、本人から言わなければ気づかずに終わってしまうことも。園や学校で起きる些細なできごとがきっかけで不登園や不登校になるケースも見られます。

日頃から子どもが本音を親に話せる環境を作っておくと、こうした事態も敏速に対応できるようです。『自分で決められる子になる育て方ベスト』(サンマーク出版)著者で医師の柳澤綾子先生にお話を聞きました。(聞き手・文/一般社団法人Raise)

子どもが本音を話せる環境づくりの基本 会話は親が1割子が9割

「今日ね、ゆりこちゃんがね、お砂場で作ったお城をね、僕がこわしちゃって、ケンカして、『えーんえーん』ってなっちゃったんだ」

幼稚園から帰ってきたお子さんがこんな話をした場合、あなたならどうしますか?

話を聞いて、「それはあなたがよくないよ!」と、つい言ってしまいそうですが、ここはグッとこらえてほしいところです。

小さな子ほど、話し方もしどろもどろになりますし、親が話しの要点を掴むのに時間がかかることもあり、夕食の支度など、何か忙しくしている時に話しかけられるとついついいらだった言葉でこちらが思うことをズバッと言ってしまうこともあります。

その気持ちもよく分かるのですが、こうして頭ごなしに親の意見を言われることが続いていくと、子どもは本音を言わなくなる可能性が増します。

子どもが本音を話すかどうかは、心理的安全性に関係します。子ども本人が「この人はちゃんと自分の話を聞いてくれる人」と安全に感じれば話してくれます。

ところが、この心理的安全性の担保が難しそうだぞと思った場合、子どもは本音を出さなくなっていきます。また、子どもは親が悲しむのが一番つらいことですから「こんなことを話したら、心配させちゃうかもしれない」と感じた時も話さなくなることが出てきます。

どんな場合でも、子どもの話を遮ることなく聞く姿勢を見せていると、子どもは自分から話してくれるようになります。この時、会話の黄金比率と言われているのが親が1割、子が9割というもの。

親がしゃべるのは極力抑え、子どもが話す割合をなるべく増やす方法です。「うちの親はどんな話しでも最後までちゃんときいてくれる」と子どもが思うようになることが肝心で、この積み重ねが信頼を生み、本音を話してくれる関係性を生むのです。

子どもが悪かったとしても、親はジャッジしてはいけない

しかしこの割合で実践を試みても、子どもの年齢、ステージによっては難しく感じることも。例えば、小学校低学年くらいになると、ちょっと生意気な子も出てきますよね。

減らず口をたたかれて、思わず言葉をかぶせたくなることもありますし、さらに高学年になると、会話も巧妙になってきて、ちょっとずつ話しを盛ったり、寄せたり、ウソをつくことだって出てきます。

難しいことも多々あるとは思うのですが、それでも、親が聞いてくれるだろうと子どもに思わせることが大切です。

冒頭の話のように、我が子が悪いと思ったとしても、まずは、ジャッジではなく聞く姿勢を示してください。これは大人の私たちのことを考えると少し分かりやすいかもしれません。

相談した相手が「そりゃああなたが悪い」「こうするべきだった」と、すぐさま決めつけてくるような人だったら、同じようなことが起きた時にもう一度相談しようと思うでしょうか?子どもも同じで、どうせ否定されると分かっている相手にはたとえそれが親子の間柄でも本音を話しにくいものなのです。

子どもが友達とケンカをしたと言ってきた時は、親にジャッジを求めているのではないのです。「こんなことがあったんだ」と、まずは自分の気持ち、言い分を親に聞いてもらいたいのです。

それなのに、いきなりジャッジされることが続くと、「きっと話しても叱られるだけだから」と諦めてしまいかねません。一旦この親子関係になってしまうと、そこから矯正するのはすごく大変です。最終的には子どもがウソをつくようになることもあります。

幼児がウソをついたとき、親はどうするのが正解?

“ウソ”と聞くと、大人は悪い印象を思い浮かべてしまいますが、幼児のころはウソつきになるオトシゴロがあります。

あるとき、一人っ子のお子さんが、おままごと遊びの中でお兄ちゃんがいるという設定で遊んでいました。出会った近所の人に「もうすぐお兄ちゃんが帰ってくるの」と話しはじめた我が子を見て、この子はなんてウソをつくのかと驚いたという親御さんがいました。

これは幼児期特有の現象です。幼児は現実と空想の世界の境界を上手につけることができません。「お兄ちゃんが帰ってくる」と話したお子さんも、本人にウソをついているという自覚はないのです。

いつかは空想と現実の世界の区別がつくようになりますから、幼児のうちの空想上手はそのままで大丈夫。むしろ、その時期にしかみられないことなので、空想世界に生きることを大切にしてあげてください。

子どもが意図的にウソをつきはじめるのは小学校入学後、しばらく経ってからだと思います。意図的にウソをつくには、現状を認識し、なおかつ現状と異なるということも認識した上でないとウソを語ることができません。

高度な脳内の働きがなければウソをつくことはできないのです。子どもがつじつまの合わないウソをつくのは、結果の予測ができないからです。大きくなるにつれて、ウソをついたことで起きるであろう結果を予測する力がつき、それを予想しながらウソをつけるようになっていきます。

つじつまの合うウソをつけるようになるのがだいたい小学校高学年あたりからだと言われていますが、この時点でも、それによって何が引き起こされるかの結果に対する想像力は弱い子が多いです。

幼児のうちのウソつきは、無自覚のウソですから、広い心で見守っていてください。もしもお子さんが何か重大なことでウソをついてしまった時も、親子の間で心理的安全性が築かれていれば、子どもはちゃんと話してくれます。本人の本音を引き出すことができれば、トラブル回避にも繋がります。