ネットで調べるほど視野が狭くなる? スマホデビューしたら知っておきたい「アルゴリズム」の罠

安藤未希
2026.03.03 15:05 2026.03.10 11:50

スマホを触る女の子

「気になる情報」や「似たような意見」ばかりが目に入るインターネット。なぜ同じタイプの情報ばかり表示されがちなのでしょうか。そこには、利用者の興味や行動履歴をもとに情報を選び出す「アルゴリズム」という仕組みがあります。

これからスマホデビューする子どもはもちろん、大人も知っておきたい「アルゴリズム」の仕組みを、メディア情報リテラシーの専門家・安藤未希先生の著書よりご紹介します。

※本稿は安藤未希著『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

「アルゴリズム」のしくみ

インターネット

YouTubeで動画を見ていると、次から次へと気になる動画が出てきて、見るのをやめられなくなったことはありませんか?

YouTubeは、あなたがどのような動画をどれくらい見ていたか、すべて記録しています。そして、YouTube上であなたと同じような行動をしている人がよく見ている動画を、あなたのYouTube画面におすすめとして流すしくみになっています。

これは「アルゴリズム」と呼ばれる、たくさんの情報をどのような順番で並べるかを決めるためのしくみです。YouTubeだけでなく、検索サイトやSNSも、それぞれのアルゴリズムを使い、たくさんの情報を整理したうえでわたしたちに届けてくれています。あなたが好きそうな広告や投稿が表示されるしくみも、このアルゴリズムによるものです。

アルゴリズムは便利なしくみですが、「あなたが見たいと思っていない」とYouTubeのアルゴリズムに判断された動画は、あなたの画面に表示されづらくなるということでもあります。情報と上手に付き合うためには、アルゴリズムによって生まれるこのような現象をよく知っておくことが大切です。

似たような情報ばかり表示される「フィルターバブル」

インターネット

アルゴリズムについてよく知らないままインターネットを使い続けると、自分がかたよった情報や考え方ばかりに接していることに気がつかず、視野が狭くなってしまうかもしれません。

インターネットを使っていて「いつも同じような情報が表示される」と思ったことはありませんか?

これは「フィルターバブル」と呼ばれる現象です。インターネット上にはいろいろな種類の情報があるにもかかわらず、アルゴリズムによって同じ種類の情報ばかりが表示されることをいいます。

たとえば、あなたはネコが大好きで、インターネットを使ってネコのことばかり調べていたとします。すると、あなたが使った検索サイトやSNSのアルゴリズムは「この子はネコが好きなんだな」と判断して、あなたにネコの情報ばかり教えてくれるようになります。そのぶん、たとえばイヌやウサギなどのネコ以外の情報は、自分で検索しない限り表示されづらくなるのです。

フィルターバブルは、あなたがネコのことだけを知りたいときには便利です。いっぽうで、ネコ以外の情報に気づきにくくなったり、ほかのことを知るチャンスが少なくなってしまうという問題もあります。

みんな同じ意見だと錯覚する「エコーチェンバー」

インターネット

アルゴリズムによって「エコーチェンバー」という現象が起きることもあります。SNSで特定の考えの人をフォローすることで、同じ考えを持つ人の投稿ばかりが表示され、世の中にはそのような考え方しかないように錯覚することをいいます。

たとえば、「ネコが好き」と投稿している人ばかりをフォローすると、あなたの画面には同じように「ネコが好き」と考えている人の投稿がたくさん表示されるようになります。実際には「ネコが苦手」という人もたくさんいるのに、「ネコが好き」という意見以外は目に入りづらくなってしまうのです。

エコーチェンバーは、自分と同じ意見の人と出会い、安心して交流できるという長所があります。しかし、自分とはちがう意見に気がつきづらくなるため、考えが深まらなかったり、かたよってしまったり、その意見が少数派なのに多数派のように感じてしまう可能性もあるのです。

大切なのは、このような現象がインターネット上で起きていることを知っておくことです。知っているだけで、自分とはちがう意見や情報を自ら探すようにするなど、対策を立てることができます。

「アルゴリズムが情報を整理している」と覚えておこう

スマホをする人

アルゴリズムは、SNSや検索サイトを運営している人たちがつくっているしくみなので、わたしたちがつくり変えることはできません。詳しい内容も公開されていないので、なぜその情報が検索結果の一番上に出てくるのか、どのような動画や投稿がSNSにおすすめとして表示されやすいのか、具体的なルールをわたしたちが知ることはできません。

あなたは、インターネットを使って何かを検索して、一番上に表示された情報を詳しく見たとき、「ほしかった情報と少しちがうな」と感じたことはありませんか?

インターネット上に数え切れないほどある情報をアルゴリズムが整理してくれているおかげで、わたしたちは簡単に情報を得られるようになっています。しかし、最初に出てくる情報やおすすめに流れてくる情報が、正確で、あなたが探している情報とは限りません。アルゴリズムがあなたが本当にほしいと思っている情報を見つけにくくしている可能性もあります。

このようなアルゴリズムの大まかな特徴は、しっかり覚えておきましょう。そして、こういった特徴に気をつけながらインターネットを利用することで、より安全で便利に情報を手に入れることができます。

情報を正確かどうか判断するポイントは

スマホを持つ手

インターネット上では、まちがった情報やウソの情報も検索結果の上のほうに表示されたり、SNSのおすすめ欄に流れてくることがあります。これまで説明してきた「アルゴリズム」は、少なくとも今現在は、情報が正確であるかどうかを判断することができないからです。

「Googleに聞けばなんでも教えてくれる」という意味で「Google先生」という言葉が使われることがありますが、検索ツールは先生ではなく、あくまでもわたしたちの助手(サポーター)です。目の前にある情報が正しい情報かどうかは、誰も教えてくれないので、自分で気がつき確認する必要があります。ちゃんと「検索」してちゃんと「選ぶ」人になり、手に入れた情報は慎重に扱うことが大切です。

ちゃんと「検索」するために確認しよう

●最適な言葉で検索していますか?
●いくつかの言葉を組み合わせて検索していますか?
●演算子を使ってほしい情報のしぼりこみができていますか?

ちゃんと「選ぶ」ために確認しよう

●いつ発信された情報ですか?
●情報を発信(サイトを運営)しているのはどのような人・組織ですか?
●同じ情報について、ほかのサイトではどのように書かれていますか?
●発信した人はなぜこの情報を発信したと思いますか?

安藤未希

獨協大学経済学部経済学科卒。2021年よりメディア情報リテラシーを広めるための個人活動を開始し、2022年4月、株式会社インフォハントを設立。同年6月、日本初のファクトチェック専門メディアを運営する一般社団法人リトマスを設立。小学生から大人まで、学校での授業や教員研修、企業研修で幅広くメディア情報リテラシーを伝えている。

スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方

安藤未希 (著)『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)

・生成AIにウソをつかれた
・気になる動画がどんどん流れてきてYouTubeをやめられない
・ふざけて送ったメッセージで友だちを怒らせてしまった…
・テレビとSNSで言ってることがちがう?

こんなインターネットの「なぜ?」やトラブルの原因がわかり、スマホやタブレットを上手に使いこなせるようになる本ができあがりました。

インターネットは特別なものではなく、勉強や習い事などと同じように、練習を積み重ねることで上手に付き合うことができるようになるものです。
全国の学校を回り、子どもたちに「メディア情報リテラシー」の授業を行う著者が、そんなインターネットと情報に接するときの土台になる考え方をわかりやすくお伝えします。

中身はイラスト満載!
ルビも振られているので、親子で一緒に楽しめます。
もちろん、お子さんがひとりで読むこともできます。

これからを生きていく子どもたちは、インターネットを避けて通ることができません。
混乱に巻き込まれないためには、インターネットについての知識を身につけ、自分自身で情報を判断する力が必要です。

また、情報との付き合い方を考えることは、周りの友だちや大人との付き合い方を考えることにもつながります。
インターネットの世界を上手に使いながら、素敵な現実世界をつくっていきましょう。