ネットの嘘を見抜くには? スマホデビュー前に教えたい「事実」と「意見」の見分け方

安藤未希

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私たちの周りには情報があふれていますが、その中には誰が言っても変わらない「事実」と、人によって言うことが異なる「意見」が入り混じっています。これを区別できるようにしないと、まちがった情報を事実と信じてしまったり、人の意見をウソだと決めつけてしまうことにもなりかねません。

どんどん流れ込んでくる情報を整理し、否定していいもの・いけないものを見分けるポイントは? これからスマホデビューする子どもに伝えたい情報との向き合い方を、メディア情報リテラシーの専門家・安藤未希先生の著書よりご紹介します。

※本稿は安藤未希著『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

賛成できない意見でも、「まちがい」ではない

あなたは、情報にも種類があることを知っていますか?

情報は「事実」と「意見」に分けることができます。事実は誰が言っても変わらないもので、意見は誰が言うかによって変わるものです。意見はその人の考えですから、正しい・まちがっている、ということはありません。そもそも正解がないため、「正確かどうか」の確認もできません。ウソやまちがいかどうか調べる必要があるのは事実について述べているときだけです。

あなたが誰かの意見に賛成できないことはあるかもしれませんが、あなたが賛成できないからといって、その意見がまちがった意見や悪い意見であるということにはならないのです。

自分とはちがう意見に出合ったときは、相手の意見を尊重しながら、お互いに意見交換ができたらすてきですね。 

情報を見たら、「事実」か「意見」かをチェック

「事実」と「意見」を見分けるのは、意外とむずかしいものです。確認のヒントになるのは、文末です。

「~べきである」「~だと思う」「~かもしれない」「~のはずだ」などで終わる文章や発言は、すべて意見です。自分の気持ちやまだはっきりわからないことを言っているので、ウソでも本当でもありません。

いっぽう、事実についての文末は「~だ」「~だった」「~である」とはっきり言いきることが多いです。

そのため、「誰が確認しても同じようにわかること」や「調べたらわかること」をはっきりと言いきっている文章や発言に触れたときに、「これはなんだかおかしい」と感じたら注意が必要です。

ただ、このように言いきっていても意見について話していることもあります。状況や内容を見て、自分で考えて判断できるようにしておきましょう。


「一次情報」の確認が大事だけど、「わからない」も大事

情報がウソか本当か確認することを「ファクトチェック」といいます。

ファクトチェックを行うには、ここまで説明したように、情報を「事実」と「意見」に分けます。そして、「事実」に分類した情報について、正確かどうかをひとつずつ確認していきます。繰り返しになりますが、「意見」に対してはウソか本当かという判断はできないので、ファクトチェックはできません。

情報には一次情報と二次情報があります。できる限り一次情報(それ以上さかのぼることができないオリジナルの情報)を探して確認しましょう。

たとえば、おうちの人が「明日は午後から雨だから学校には傘を持っていってね」とあなたに言ったとします。このとき、おうちの人はなぜ明日の午後から雨が降ることを知っていたのでしょうか?

おそらく、天気を予想する人が天気のデータを使ってまとめた天気予報が、テレビの天気予報コーナーで放送され、それをおうちの人が見たことで、あなたに教えてくれたのでしょう。このとき、一番正確で詳しい情報は「天気のデータ」です。つまり「天気のデータ」が一次情報ということになります。

ただ、一次情報が見つからない、専門知識が必要で自分ではウソか本当か判断できないこともあります。その場合は、「わからない」という状態にして心にとどめておくようにしましょう。

ウソか本当か白黒はっきりさせたほうが、気持ちがすっきりするかもしれません。でも、あいまいな情報を「本当」もしくは「ウソ」と決めつけてしまうと、判断をまちがえ、結果的に自分自身や周りの人に迷惑をかけてしまう可能性があるので注意が必要です。

生成AIの回答も、正しいとは限らない

わたしたちは生成AIを使って文章や画像、動画などを簡単につくることができるようになりました。ちょっとした疑問や調べものも、生成AIに聞く人が増えてきていますね。

しかし、生成AIの回答が正確かどうかわからないときはどうしたらいいのでしょうか?

これも、ほかの情報を確認するときと同じ手順でファクトチェックをしてみましょう。「事実」と「意見」を区別したあと、「事実」に分類した情報については根拠が書いてあるサイト(出典元)を自分で確認し、信頼できるサイトだったときは、その情報を正確だと判断することができます。

生成AIは、あなたの質問に対して人間のように何かを考えて返事をしているわけではありません。たくさんの情報を学習して、言葉のつながり方や一緒に使われる言葉を覚え、次にどんな言葉が来るかを予想しながら回答をつくっています。そのため、ハルシネーション(事実のように見えるが、事実ではないことを答えてしまう)が起きるのです。このことを理解したうえで、情報が正確かどうかを慎重に確認しながら生成AIを利用しましょう。

「これ、本当かな」を確認する習慣をつけよう

なぜこのように「事実」と「意見」を区別し、ファクトチェックをして、「誤りのない事実」を知ることが大切なのでしょうか?

それは意見は事実をもとにつくられるからです。

話し合いをするときには、話し合いに参加する人の「意見」が必要ですよね。しかし、その「意見」のもととなる「誤りのない事実」をみんなが知っていないと、話し合いがかみ合わないものになってしまいます。

たとえば、友だちとケンカをしてしまったとき、「誰が何を言ったのか」「誰がどのような行動をとったのか」という事実をお互いに確認してからでないと、仲直りの話し合いが成立しないことは想像ができるでしょう。

毎日の生活では、「誤りのない事実」を知ることを意識して過ごしましょう。友だちとケンカやすれちがいをしてしまったときの話し合いに役立ちますし、毎日触れる情報が「誤りのない事実」でなければ、あなたの意見や、意見のもととなる考え方が、ウソやまちがいによってつくられたことになってしまいます。それが自分や周りの人にとってよくないことは、もうわかりますね。それを避けるためにも、「誤りのない事実」を確認する習慣を身につけられると理想的です。

スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方

安藤未希 (著)『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)

・生成AIにウソをつかれた
・気になる動画がどんどん流れてきてYouTubeをやめられない
・ふざけて送ったメッセージで友だちを怒らせてしまった…
・テレビとSNSで言ってることがちがう?

こんなインターネットの「なぜ?」やトラブルの原因がわかり、スマホやタブレットを上手に使いこなせるようになる本ができあがりました。

インターネットは特別なものではなく、勉強や習い事などと同じように、練習を積み重ねることで上手に付き合うことができるようになるものです。
全国の学校を回り、子どもたちに「メディア情報リテラシー」の授業を行う著者が、そんなインターネットと情報に接するときの土台になる考え方をわかりやすくお伝えします。

中身はイラスト満載!
ルビも振られているので、親子で一緒に楽しめます。
もちろん、お子さんがひとりで読むこともできます。

これからを生きていく子どもたちは、インターネットを避けて通ることができません。
混乱に巻き込まれないためには、インターネットについての知識を身につけ、自分自身で情報を判断する力が必要です。

また、情報との付き合い方を考えることは、周りの友だちや大人との付き合い方を考えることにもつながります。
インターネットの世界を上手に使いながら、素敵な現実世界をつくっていきましょう。