夢中になりすぎて学校で禁止令も 子どもが読書にのめりこむ「最強王図鑑」の力

nobico編集部
2026.03.10 17:47 2026.03.16 11:50

最強王図鑑の編集者目黒哲也さん

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友達同士で勝敗を予想し合い、ときには本気のケンカにまで発展する……それほどまでに子どもたちを夢中にさせてきたのが、Gakkenの『最強王図鑑』シリーズです。

なぜこの本は、ここまで子どもたちを熱中させるのでしょうか。シリーズを手がける編集者・目黒哲也さんに、その原点にある本づくりの考え方を伺いました。

ケンカになるほど夢中になる子どもたち

最強王図鑑
『恐竜タッグ最強王図鑑』より

――シリーズが人気になっていった中で、印象的なエピソードはありますか?

人気が出はじめた頃、学校現場で禁止令のようなものが出たことがあったんです。本の貸し出し順をめぐってトラブルになってしまうことも多いようで。さらに、これはあまり想定していなかったのですが、友達同士でバトルの結果を予想しながら読んでいた結果、意見が割れてケンカに発展してしまうこともあったようです(笑)。

その結果、「ケンカになるなら学校に持ってくるのは禁止」というルールになった話をよく耳にしました。

とはいえ、子どもたちからの支持のおかげか、最近では、学校でも再び受け入れられてきていると聞いています。

ちょうど2月に「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(全国の小学生が「これまで読んだ中でいちばん好きな本」に投票する企画)があったのですが、そこで『ドラゴン最強王図鑑』が第5位に入りました。そうした結果を見ると、学校の図書室などでも広く読まれているのだろうなと感じます。

子どもの頃の自分に向けての本づくり

最強王図鑑
『水中最強王図鑑』より

――目黒さんは本を作るときに「子どもが面白いと思うかどうか」を軸にされているとのことですが、その「子ども」とは具体的にどんな存在なのでしょうか。

子どもの頃の自分です。
世の中にはさまざまな環境で育った子どもたちがいて、その子が何を好きになるのかは、正直よくわかりません。誰か一人の子どもに合わせて本をつくったところで、それが本当に面白いものになるか分からないですし、かといって漠然と「平均的に好かれそうなもの」を作っても、それが誰かにとって、本当に好きなものになるか分からない。

なので基本的には、「これは子どもの頃の自分が好きだったかもしれない」と思えるかどうかを、一つの目安にしています。

――子どもの頃は、やはり生き物がお好きだったのでしょうか?

生き物が特別好きというわけではなく、どちらかというと「戦い」が好きでした。いわゆるバトル漫画のような世界ですね。自分が実際に戦いたいというよりは、キャラクターなどを想像の中で戦わせるのが好きだったんです。トーナメント表作って、「どっちが勝つか」とあれこれ考えたりしていました。

「最強王図鑑」シリーズでいうと、 目次がトーナメント表になっているところが、その象徴だと思っています。本を読み始める前に、このページで「どれが勝つか」と自分なりに予想するところが、一番楽しく盛り上がるのではないだとうか、と。

読書は「想像しながら楽しむもの」

最強王図鑑
『ドラゴンタッグ最強王図鑑』より

――目黒さんは、子どもにとって読書はどのようなものであってほしいとお考えですか。

「想像しながら楽しむもの」でしょうか。

たとえば僕はミステリーが好きなのですが、読み進めるうちに必ず「謎」が出てきますよね。傍観者として眺めるだけでなく、探偵になったつもりで「犯人は誰だろう」と、自分の中で考えるところに面白さがあると思うんです。

これはミステリーに限った話ではありません。どんなジャンルの物語でも、登場人物が理不尽なことをすれば頭の中で怒ったり、「それはないだろ!」とツッコんだりする。

ただ受け身でストーリーを追うのではなく、想像をふくらませながら、自分も物語に参加するように読むこと。自分自身は、それが読書のいちばんの楽しさではないかと思っています。

たとえば「最強王図鑑」なら、最初に対戦カードが示されて、能力パラメータや説明などを読んで「どっちが勝つのかな」と読者自身が考えると思うんです。友達同士で予想し合って、ときにはケンカになることもある。この本は、いわゆる小説的な「物語」ではないけれど、そこには物語が生まれていて、読者も戦いに深く参加しているのではないかと思うんです。

最近は新刊を出すタイミングで、どの出場選手が優勝するか考える「予想クイズ」をYouTubeで行っているのですが、これがとても盛り上がるんです。

コメント欄には、予想だけでなく、その理由まで丁寧に書いてくれる子も多い。こちらが「そんな見方があったのか」と気づかされることもあって、とても参考になります。

読書は、ただ知識を得るためのものではなく、自分の頭で考え、本とやりとりする体験であってほしいです。それが読書の王道かどうかは分かりませんが、少なくとも一つの豊かな楽しみ方だと思っています。

nobico(のびこ)編集部

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ドラゴン タッグ最強王図鑑 (最強王図鑑シリーズ)

木下昌美 (監修), なんばきび (イラスト), 七海ルシア (イラスト)『ドラゴン タッグ最強王図鑑 (最強王図鑑シリーズ)』(Gakken)
超人気の「最強王図鑑」シリーズにおいて、もっとも人気の高い「ドラゴン」。そのドラゴンがタッグバトルで登場! 応龍、ファイヤー・ドレイク、ヴリトラ、レヴィアタンなど、ご存じ人気ドラゴンに加え、ついに初登場の、まだ見ぬドラゴンたちがベールを脱ぐ!