思春期の子はなぜ親に反抗する? 悩む親に知ってほしい「子どもの本当の気持ち」
イライラした態度をとったり、反抗的になる子が多い思春期の時期。今では親となっている自分たちにもそういう経験があったはずです。しかし、親になるとすっかり忘れてしまいます。最近は子どもの反抗期と、親の更年期が重なることもあるため、イライラした雰囲気が家に充満しがちという家庭も多くなってきました。
イライラ空気が流れがちの反抗期ですが、関わり方を知っておけば、イライラ空気を軽減できるそうです。「親を楽しむサロン」主宰で『見えない学力が身につく勉強よりもお手伝い』(セルバ出版)の著者・粂井優子さんに反抗期を乗り切るコツを教えてもらいました。
自分の『推し』を否定された少女が抱いた感情
ある中学校に講師として呼ばれた時のこと。「皆さんはどんな時に悲しいと感じますか?」と質問すると、ある生徒が「自分の『推し』を否定されると悲しいかな」と答えてくれました。
自分がイイと思っていることを否定されるのは、大人でもいやな気持ちになります。しかし大人は自分の気持ちをオブラートに包む方法を知っているので、いやな気持ちをそのまま相手にぶつけることは少ないのです。
そして、これをそのまま出してしまう人のことを「大人げない」と言うのです。
思春期の時期の子どもは感情がむき出しの状態です。むき出しですから、同じように思春期を迎えている友達ともトラブルになりやすく、家族ともぶつかりがちになるのです。
かくいうわが家もそうでした。次女などは、こちらが「おはよう」と声を掛けても基本は無視。こちらがめげずに「おはよう」と声をかけ続けると「ウザす」なんて挨拶が返ってくることもありました。
今はすっかり優しい大人になって、あの反抗的な態度はどこへやらで、まもなく母親になろうとしています。
思春期とは、こうやってあちらこちらにぶつかりながら、大人になっていく時期です。この時に自分の好みや意見を否定されると、普段以上に悲しくなります。そして、その悲しい気持ちの表現が反抗的になってしまうことがあるのです。
先ほど紹介した女子生徒のように、アイドルやアニメの推しを見つけて楽しむ子もいれば、おしゃれに目覚めて服装や髪型に力を入れる子もいます。また、ゲームが好きという子もいます。
好きなことはアイデンティティを確立するのにも大切な要素ですから、大事にしてあげたいとは思うものの、好きなことに対して割く時間があまり多いと、親はどうしても口を出したくなってきます。
しかし、頭ごなしに否定するのはさけたほうがよいです。これをしてしまうと、子どもはどんどん反抗的な態度となり、親のイライラも止まらなくなるからです。
子どものやる気を削ぐ声かけ
「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」
と強い口調で言ってしまいます。しかしこのような言い方で言われても、子どもの方は「自分を否定された」という気持ちしか残らず、勉強をやろうという気にはなりません。
また、こうした否定口調のやりとりが続くと、子どもは親を信頼しなくなります。「どうせ否定される」という思いが強くなるため、親子関係にヒビが入ることも少なくありません。親子の会話も減ってしまいますから、ますます親は子どものことが分からなくなり、イライラが募ってしまいます。
こういうときは、子どもの「ゲームをやりたい」という気持ちを一旦受け止めてみてください。「へ~、そのゲーム、今流行ってるの?」と、まずは子どもが好きなことに関心を示します。
すると子どもは「自分の好きなことを親は分かってくれようとしている」と思います。このように子どもの気持ちを一旦受け入れた後、こちらの意見を伝えると子どもは聞く耳を持ってくれやすくなります。
勉強もお手伝いもそうなのですが、結局、本人がやろうと思わない限り、するようにはなりません。まずはぜひ、こんな声かけを子どもに試してみてください。
例えば、テストで、70点取った場合、「なんで、3割も間違ったの?」という親と、「わあ、7割も取れたんだ。朝から勉強頑張ってたもんね」と、出来ているところ、頑張った過程に注目してあげて褒める、認める声かけでは、どちらが子どものやる気をアップさせると思いますか?答えはもちろん後者です。
出来ないことを一番気にしているのは本人。そこを指摘したり、誰かと比較するのではなく、本人の「過去と今」を比較して、出来るようになったこと、頑張った過程をしっかり見守って、認めてあげましょう。きっと、モチベーションも、親への信頼も増します。
過干渉な親とぶつかる反抗期少年
否定から入る言葉掛けで育った子は、他者に対しての共感力が弱くなる傾向があるといわれています。多様性が求められている今の時代、他者の気持ちをくみ取れる共感力は社会で生きる上で非常に大切な力となります。
家庭ではなるべく否定から入る声かけを避けるようにしてください。一方、自分の気持ちや意見を受け止められて育った子は自己肯定感が強くなり、他人と自分を比べることも減るようです。
思春期の時期を超え、高校生になった息子はあるとき、とあるサマーキャンプに参加しました。そのキャンプは世界中から高校生や大学生、社会人が参加するものでした。
ある日の雑談で「みんなはどんな人が嫌い?」ということが話題となったそうです。息子が「嫌いな人はいないな」と話すと、いたく驚かれました。
なぜ嫌いな人がいないのかと周りに尋ねられた息子は「たとえ意見が違っても、『ふーん、キミはそう思うんだね』と思うことができるから」と伝えたとのこと。ありのままの自分を受け止められて育ったことで自分とは違う意見や価値観の他人を受け止め、受け入れる姿勢が身についたのではないかと自分を分析していました。
講座をしていると、我が子のためを思い、いろいろと手を焼く親御さんをよく見かけます。ある時、中学生や高校生になっても手取り足取りテストの準備をしようとする親御さんがいました。
親がよかれと思うことを与えていれば、おとなしく敷かれたレールを走っていたお子さんも、反抗期になるとそうはいきません。このご家庭の子は親をとても煙たがり始めていたのですが、残念ながらこの方はそのまま過干渉ママとして突き進んでしまいました。
反抗期は悪いことばかりではありません。勉強も友達との付き合いも、自分の意見ややり方、歩き方を模索して自立しようとする時期です。そのため、自分と違う親の意見に対しての反抗が起こるのです。
しかし、この過干渉ママのもと「ママの言うとおりにしておけば間違いないから!」と言われて育ってしまったお子さんは、成績はよかったものの、自分の意見を言えないまま、いつしか心のバランスを崩してしまいました。
この親御さんは子どものためを思って必死に我が子を守ってきたと思っていたため、やるせない気持ちだったことと思います。こうなっては残念です。反抗期は大人の力で押さえつけるのではなく、『親と子は別人間、考えも、やりたいことも違って当たり前』と、親のして欲しいことではなく、子どもの想いを大切に、したいことを応援するほうが、親子の信頼関係を深め、子どもの自立を促すことに繋がります。