園のお迎えでなぜ逃げる? 「追いかけてほしい」子どもの心理と、逆効果にならない接し方

米澤好史

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「園のお迎えに行くと、子どもがわざと逃げ回る」「素直に帰ってくれなくて、ついイライラしてしまう……」。そんな経験はありませんか?

実はその行動、親への拒絶ではなく、むしろ「もっと自分を見てほしい」という切実なサインかもしれません。子どもの行動の裏に隠された本音と愛着障害の第一人者である米澤好史先生の著書より解説します。

※本稿は、米澤好史 (著)『愛着障害スペクトラム こどもの気持ち&支援スキル大全』(講談社)より一部抜粋、編集したものです。

親や先生から逃げる(お迎え逃避・放置子)

自分に目を向けてほしい。追いかけてほしい

これは私が「お迎え逃避」と呼んでいる行動で、親が怖くて逃げているわけではありません。迎えに来た親の注意を惹きたくてする行為なのです。

たとえばきょうだい児が生まれ、年長のこどもにそれまでと同じ時間かかわることができなくなると、こどもから見て親は、「いつも構ってくれるわけではない」存在になります。

お迎えのとき親は、こどもをちゃんと引き取るためにしっかり注目することになります。だから降園のタイミングは、こどもにとって、いつもは構ってくれない親が「しっかりかかわってくれる」数少ない機会となります。

ところが、親からかかわってもらえるのは快いことなのですが、素直に家路につくと、快いその時間があっという間に過ぎてしまうので、わざと逃げて親に「追いかけさせる」ことで引き延ばしているわけです。

追いかけるのは逆効果

同じような気持ちから生じる現象として、

・お迎えのとき、自分の親より他児の親にかかわりを求める
・公園などで他児の親や他の大人にかかわりを求める。あるいは他児の家までついていってしまう(放置子)

なども近年よく起こるようになっています。いずれも〈自分を見てほしい・追いかけてきてほしい〉という気持ちから生じているので、追いかけてしまうと愛着障害のこどもの思惑どおりになってしまい、行動がエスカレートしかねません。

「〈逃げると追いかけてくれる〉と誤学習するのだ」という説明をする専門家がいますが、そうではなく、期待どおり追いかけてくれると〈もっと追いかけてほしい〉という気持ちそのものが強まるのです。

かかわりを求める・他人の家についていくという放置子の行動も〈構ってほしい〉という気持ちからくるものであり、追いかけてほしいという気持ちと根は同じです。

主導権を確保して先手支援を行い、ポジティブな感情を持たせることで行動を予防するか、周囲との連携による支援で追わずに戻れるようにするのが賢明です。

 

愛着障害スペクトラム

米澤 好史 (著)『愛着障害スペクトラム こどもの気持ち&支援スキル大全』(講談社)

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