ほめたつもりの「やばいね」、相手はどう受け取る? SNSデビュー前に知っておきたい発信の基本
誰もがインターネットで自由に情報を「発信」できる昨今。自分では何かを発信している意識がなくても、実はSNSでの「いいね」や「拡散」も、立派な情報発信の一つです。
情報の受け取り方は人それぞれ。何かを発信するときには、誤解を招かないよう、相手がどう受け取るかを考えることが重要になります。
これからスマホデビューする子どもに伝えたい、情報発信との向き合い方を、メディア報リテラシーの専門家・安藤未希先生の著書よりご紹介します。
※本稿は安藤未希著『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
「いいね」もひとつの発信の仕方
あなたは普段、インターネット上で情報を発信していますか?
「発信していない」と答える人もいるでしょう。では「SNSでいいねや拡散をしていますか?」と聞くと「はい」と答える人が多くいるはずです。
SNSでいいねや拡散をすることは、情報を発信することと同じです。発信とは必ずしも自分で文章を書いたり、写真や画像、動画を投稿することではないのです。いいねをすれば、あなたがこの情報を見ていたということ、この情報に興味があるということを周りの人に知らせることになります。また、情報を拡散すれば、その情報を肯定していると思われるかもしれません。
自分が意思や意見を表明しているつもりではなくても、いいねや拡散をすることは、自分の興味関心について「発信」しているのと同じことだと考えるようにしましょう。
これは、いいねや拡散をしてはいけないということではありません。場合によっては、あえていいねや拡散をすることで、自分の意思や意見を伝えるという方法もあります。いずれにしても、いいねや拡散をする前に、周りにどのような影響があるか、一度立ち止まって考えることが大切です。
「やばい」っていい意味? 悪い意味?
いいねや拡散を含めた「情報発信」をするとき、わたしたちは何に気をつければいいのでしょうか?
まず、自分はなぜそれを発信するのか(理由)、そして相手にどのように思ってもらいたいか(意図)を考えることが大切です。それがはっきりしたら、「どのように伝えると相手にかんちがいされずに正確に伝わるか」を考えて発信しましょう。そうすることで、誤解を招く言葉づかいを避けたり、より正確に伝えるために写真や動画をつけるといった工夫が生まれてきます。
情報の受けとり方は人によってちがうので、情報を受けとった人が、発信者であるあなたが伝えたいと思っていること以外のメッセージを受けとってしまう可能性があります。たとえば、あなたが友だちがつくった作品を、「すごく上手だ」という意味で「やばい」と表現したとします。でも友だちは「やばい」の意味を「ひどく悪い」と捉えるかもしれません。このようなすれちがいを完全に防ぐことはできません。発信するときに工夫することで、その可能性を下げることができます。自分の発信したい情報をいかにわかりやすく正確に伝えるか。情報発信の際にはそれをよく考えることが大切です。
あなたの発信はあなたにしかできない
「情報の受けとり方が人によってちがう」ということは、「あなたが情報を発信する意味がある」ということでもあります。
あなたが情報を発信するということは、あなたに見えている世界を発信するということです。それはもちろん、あなたにしかできません。
あなたと誰かがまったく同じ世界を見ているということはありません。言いかえれば、「あなたが見ている世界はおかしい」と周りの人に言われたとしても、それを気にする必要はないのです。
あなたと周りの人とでは、今まで経験してきたことがちがいます。周りの人は、あくまでその人の経験や価値観にもとづいて「あなたの世界がおかしい」と感じているにすぎません。あなた以外のほかの人があなたの見ている世界を評価することはできないのです。
自分にしかできない発信をすることは、周りの人に「ほかの考え方」を教えるということでもあります。あなたの発信を受けとった人は、新しいものの見方や、価値観に接することができます。発信するということは、自分だけでなく、「情報の向こう側にいる人」の生活まで豊かにする可能性があるのです。
相手の意見は尊重し、むやみに決めつけない
わたしたちは、どのようなことでも、自由に発信していいのでしょうか?
日本では憲法によって表現の自由が保障されているので、基本的には誰でも自由に情報を発信することができます。あなたが何かを言うことも、ほかの人が何かを言うことも、人を傷つけたり迷惑をかけたりしなければ、すべて自由です。
そのため、インターネットをはじめとするさまざまなメディアを通じて、自分とはまったくちがう意見や、賛成できない意見に出会うこともあるかもしれません。
しかしそのようなときには、自分の意見を相手に押しつけたり、相手の意見を正しい・正しくないと一方的に決めつけたりしないようにしましょう。
意見に「まちがい」はありません。そのため、自分とはちがう意見をもつ人に出会ったときには、その人の意見や考えを尊重し、お互いの意見をよく聞き合うことが大切です。その結果、もしその人の意見に賛成できなかったとしても、気にする必要はありません。意見を聞き合う中で、新しい考え方や情報に気がつき、自分の世界を広げるきっかけにできるといいですね。
自分の意見をもち、それを発信することはすてきなことです。ただ、そのときには誹謗中傷にならないように気をつける必要があります。
誹謗中傷とは、悪口などをインターネット上に書きこむなどして、相手の名誉や人格を傷つけることを言います。内容によっては、名誉棄損罪や侮辱罪などの罪に問われることもあります。わざと誹謗中傷することは許されません。
「批判的な意見」を発信するときは、落ち着いて伝えること、言われた人がどのように感じるかを発信する前に想像することが大切です。
判断に迷ったときは、自分の発信内容は相手を尊重しているか、自分は相手に思いやりを持てているかを考えるといいでしょう。
安藤未希 (著)『スマホを持つ前に知っておきたい 情報との上手な付き合い方』(かんき出版)
・生成AIにウソをつかれた
・気になる動画がどんどん流れてきてYouTubeをやめられない
・ふざけて送ったメッセージで友だちを怒らせてしまった…
・テレビとSNSで言ってることがちがう?
こんなインターネットの「なぜ?」やトラブルの原因がわかり、スマホやタブレットを上手に使いこなせるようになる本ができあがりました。
インターネットは特別なものではなく、勉強や習い事などと同じように、練習を積み重ねることで上手に付き合うことができるようになるものです。
全国の学校を回り、子どもたちに「メディア情報リテラシー」の授業を行う著者が、そんなインターネットと情報に接するときの土台になる考え方をわかりやすくお伝えします。
中身はイラスト満載!
ルビも振られているので、親子で一緒に楽しめます。
もちろん、お子さんがひとりで読むこともできます。
これからを生きていく子どもたちは、インターネットを避けて通ることができません。
混乱に巻き込まれないためには、インターネットについての知識を身につけ、自分自身で情報を判断する力が必要です。
また、情報との付き合い方を考えることは、周りの友だちや大人との付き合い方を考えることにもつながります。
インターネットの世界を上手に使いながら、素敵な現実世界をつくっていきましょう。
