「素直ないい子」は入試で埋もれる? これからの時代に求められる“問題児マインド“の正体
先生の言うことをよく聞き、空気を読んで行動する「素直でいい子」。一見すると理想的な生徒ですが、実はこれからの時代の大学入試や社会では、「無難すぎて埋もれてしまう」という危険性もはらんでいます。
今の社会で求められているのは、既存のルールに「それって本当?」と疑問を持ち、摩擦を恐れずに行動を起こせる「問題児」です。反抗する力が未来を切り拓く「問題児マインド」の育て方を、『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』より抜粋してお伝えします。
※本稿は、孫辰洋 (著)中山芳一(監修)『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』(ダイヤモンド社)より一部抜粋、編集したものです。
問題児マインド 違和感を恐れず、創造的に反抗する力
Q.子どもが大学受験半年前に、「留学に行きたい」と言ったら、快く送り出せますか?
突拍子もない質問ですが、もし仮にお子さんから「留学に行きたい」とお願いされたら、どうしますか。快く送り出せることが問題児マインドを育てる鍵となるのです。
問題児マインドとは?
「問題児」という言葉には否定的な響きがありますよね。でも、ここで言う問題児とは、「周囲と摩擦を生むことを恐れずに、自分の価値観を貫く創造的な存在」です。まさに、「創造のための反抗」とも言える姿勢です。
「場の空気」や「常識」とされるものに無批判に従うのではなく、あえてその違和感を表明し、行動を通じて周囲に変化を起こしていくマインドのことです。
日本社会には、目立たず従順な子どもが「いい子」とされがちな風潮があります。しかしそのなかで、あえて異議を唱え、自分の考えを口にし、周囲に合わせるのではなく、周囲を自分が変えていこうとする力を持つ子どもは、実は現代の社会や大学で最も評価される存在です。
なぜ問題児マインドが必要なのか?
今の時代は、単に正解をなぞるだけの人材ではなく、新しい問いを立て、変化を起こす人材が求められています。社会の変化が激しく、前例のない課題が次々に登場するなかで、既存の価値観やルールにただ従うのではなく、「それって本当に正しいのか?」「もっといい方法はないか?」と疑問を持ち、提案できる人が必要とされているのです。
また、進路選択や推薦入試でも、ただ「素直でいい子」では埋もれてしまいます。自分なりの視点を持ち、違和感を恐れず発信できる子は、大学でも社会でも強く評価されます。問題児マインドは、自分の頭で考え、自分の意見を持ち、それを言語化する力の起点になるのです。
大学の面接で、問題児マインドはこう問われる
・「学校生活で、納得がいかなかったルールや慣習はありますか?」
・「あなたが『これはおかしい』と思った社会課題について教えてください」
・「集団のなかで、少数派の意見を持った経験はありますか? どう行動しましたか?」
こうした質問では、「空気に合わせてうまくやってきた人」よりも、「違和感を感じたときに、行動した経験のある人」が強く印象に残ります。
「先生に反論した」「みんなと違う意見を出して白い目で見られた」「文化祭の企画にあえて異論を唱えた」といったエピソードが、自分の視点を持った人としての存在感につながるのです。
問題児マインドがある人の特徴
・周囲と違う意見を持っていても、それを口に出せる
・「なぜこうなっているのか?」という問いを自然に持つ
・ルールや慣習に対して、納得できなければ改善を考える
・自分の行動が周囲に影響を与えることを知っている
・他人の意見に流されず、違和感を大切にできる
問題児マインドがない人の特徴
・周囲の空気に合わせすぎて、自分の意見を表に出せない
・「変だと思っても、言っても無駄だから」と内にとどめてしまう
・「みんながそうしているから」が行動の基準になっている
・課題や矛盾に気づいても、行動に移さない
・面接などで「自分の意見」を問われたときに、言葉が詰まる
問題児マインドを育てる経験・育てかた
1.「少数意見」でいても安心できる環境を作る
「そんな考えかたもあるね」「それも大事な視点だね」と伝え、多様性の許容を意識的につくり出す。
2.「なんで?」を歓迎する
「なんでそれが必要なの?」「こうすればよくない?」という問いや提案に、「うるさい」と思わず、話し合いに変える。
3.理不尽なことに対して考えさせる機会を与える
校則や社会のニュースなどから、「これって正しいと思う?」「変えられるとしたらどうしたい?」と問いかけてみる。
4.異質な意見を称賛する習慣を持つ
学校で同級生が異なる視点を出したら「面白い視点だね」「それって気づけなかった」とポジティブにフィードバックする。
問題児マインドを育てるための振り返り・コメントの方法
・「今の学校のルール、どう思う? 納得してる?」
・「そのとき、周りと違うことを言ったけど、どんな気持ちだった?」
・「『それって変じゃない?』って思うこと、最近あった?」
・「みんながやってることに、疑問を持ったことはある?」
・「それ、勇気いったよね。でもあなたらしくていいと思う」
・「勇気を出して言ったことで、どう変わった?」
子どもの「違和感」や「問い」を受け止め、批判や対立を恐れずに意見を発する経験を肯定することで、問題児マインドは育っていきます。大切なのは、“異物”として排除するのではなく、未来を変える原動力として認識するまなざしです。
問題児マインドを育てたケース
Kさんは高校3年生になるまで、これといった受験準備や特別な活動をしてこなかった。しかしある日突然、「フランスに留学したい」と思い立つ。受験勉強の真っただ中にもかかわらず、何の準備もせずに渡仏を決め、その姿は周囲から「あいつは大学受験を捨てたのか」と噂(うわさ)されるほどだった。
しかし、父親は全く動じなかった。「どんどん行け。別に浪人してもいいし、気にするな」と背中を押し、さらに「どんどん失敗しろ。積極的に失敗すればいい」と繰り返した。結果としてKさんは、周りの同級生が大学受験や卒業式のことでもちきりになっている間に、コスト負担の少ない高校生が参加できる留学制度を見つけ、フランスの片田舎に留学に行くことを決意した。
フランス滞在中には、高校生ながら大学のゼミに参加する機会を得た。本来は大学生を対象とした場だったが、Kさんのユニークな発想や積極性が評価され、「えっ、大学生じゃないの? でも君面白いね!」と驚きと好意をもって受け入れられた。この経験が大きな武器となり、帰国後、最終的に大学合格へとつながった。
Kさんの事例は、「型破りな行動」や「周囲の予想を裏切る選択」が、時に大きなチャンスや評価につながることを示している。そして、その背後には「失敗を肯定する」親の姿勢があった。
①この出来事で日本に帰ろうと思わないタフな精神が問題児マインドにつながっている
②留学先でのストライキを観察しようと思えるか
問題児マインドを育てるために親ができること
問題児マインドとは、既存の常識に流されず、自分の違和感を行動に変えて周囲に変化を起こす力です。今の時代、ただ「いい子」でいるだけでは埋もれてしまいます。むしろ、場の空気に合わせるよりも、「本当にそれでいいのか?」と問いを持ち、提案し、時に摩擦を恐れずに行動できる人が、大学でも社会でも評価されます。
Kさんのケースは、このマインドの象徴です。高校3年の受験期に突然「フランスに留学したい」と言い出し、準備もないまま渡仏。周囲から「受験を捨てた」と思われても、父親は「どんどん行け。浪人してもいい。失敗も積極的にしろ」と背中を押しました。結果、フランスでは高校生ながら大学のゼミに飛び込み、「高校生なのに面白い」と評価される経験を得ます。この行動が合格の大きな要因となりました。
このように、問題児マインドを育てるには、親が子どもの突飛な発想や型破りな行動を頭ごなしに否定せず、肯定し、時に「失敗してもいい」という挑戦できる環境を与えることが重要です。親が恐れて止めるのではなく、むしろ「やってみなさい」と後押しすることで、子どもは自分の意見を貫く勇気と行動力を伸ばすことができます。問題児マインドは、未来を変える原動力になり得るのです。
孫辰洋 (著)『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』(ダイヤモンド社)
「勉強が苦手」「学校に行きたくない」「塾にはもう行きたくない」
「勉強よりも好きなことがある」「中学受験にうまくいかなかった…」
こうした悩みを抱えていた子どもたちが、実は推薦入試で名門大学に進学していることをご存じでしょうか。
本書では、東大・京大・早稲田・慶應・旧帝大・GMARCHなどに推薦入試で合格した学生の1万件以上の志望理由書を分析。
その結果、彼らに共通する「子どもを伸ばす10の力」が明らかになりました。
12歳は、小学生から中学生へと環境も価値観も大きく変わる時期。この時期に差がつくのは、勉強の得意・不得意ではなく、自分で考え、選び、続けられる力です。
本書では、「自分の力で課題を見つけ、解決し、社会の中で生き抜いていける子」を「本当に頭のいい子」と定義します。
そして、推薦で名門大学へ進んだ子どもたちは、例外なく、この10の力を12歳ごろから育てていたのです。
本書では、その10の力をどのように家庭で育てていけるのかを、実際の体験談とともに、無理なく実践できる形でわかりやすく解説します。
「うちの子はこのままで大丈夫?」
そんな不安に寄り添いながら、子どもの将来の選択肢を広げるための一冊です。
