養育費は「払うのが当然の時代」に 26年4月から“取り決めなしでも月2万円”の新ルール

こども家庭庁(監修)
2026.03.31 15:05 2026.03.31 15:00

手をつなぐ親子

離婚後の子育てにおいて、大きな課題のひとつが「養育費」。
実際には、取り決めがされなかったり、支払いが止まってしまったりと、十分に受け取れていないケースが少なくありません。

こうした現状を受けて、2026年4月の民法改正にあわせ、養育費の支払いを確保するための新しい仕組みが導入されます。
一体、何がどう変わるのでしょうか。

なぜ養育費は支払われないのか

悩む女性

厚生労働省の調査(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査)によると、養育費を実際に受け取れている割合は、母子世帯で28.1%、父子世帯で8.7%と、少ない割合になっています。
養育費の回収が難しい背景には、いくつかの壁があります。

■取り決めができていない
離婚した時点で、養育費の話し合いが十分にできていないケースが少なくありません。
厚生労働省の調査(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査)によると、養育費の取り決めをしている割合は、母子世帯:46.7%、父子世帯:28.3%。半数以上が取り決めすらできていないのが現状です。
しかし、そもそもの取り決めがないと、養育費の支払いを請求できません。

■「債務名義」がないと差し押さえできない
養育費を強制的に回収するには、
・調停調書
・審判書
・一定の公正証書等の文書
といった「債務名義」と呼ばれる書類が必要です。
これがないと、養育費が未払いでも、給与の差し押さえ(民事執行)ができない状態になります。

■手続きのハードルが高い
仮に取り決めができていて、書類がそろっていたとしても、民事執行の手続きはとても手間がかかります。実際には手続きまで至らす、回収に踏み出せない人も多くいました。
こうした要因が、養育費の未払い問題や子どもの貧困につながっていると指摘されています。

何が変わる?新しい養育費制度のポイント

野球ボールで父親とキャッチボールする未就学児の男の子

今回の改正では、次の通り見直しが行われます。

■取り決め前でも「暫定的な養育費」を請求できる
まず、大きなポイントがこちら。離婚後、両親の間で養育費の取り決めができていない間でも、子1人につき月額2万円の暫定的な養育費を請求できる仕組みが導入されます。
これにより、「話し合いがまとまらないから養育費を払ってもらえない」という状態の改善が期待されます。

■債務名義がなくても差し押さえできるケースができる
未払いの養育費を回収できない大きな理由だったのが、債務名義の入手。
新制度では、父母の間で養育費を取り決めた文書があれば、子ども1人につき 月額8万円までであれば、債務名義がなくても民事執行(差し押さえ)が可能になります。
「債務名義がないから何もできない」という状況が大きく改善されます。

■手続きがシンプルに 「ワンストップ」で回収へ
これまで手間がかかり負担が大きかった、民事執行の手続きも見直されます。
新制度では、相手の財産の調査や給料の差し押さえなどを、1回の申し立てでまとめて行える仕組みが導入されます。
これにより、「手続きに手間がかかるので諦める」というケースを減らすことが期待されています。

養育費は「払うのが当然」のものに

6歳の男の子の草原を走る後ろ姿

養育費の未払いは、単なる「親同士の問題」ではありません。
子どもの生活水準の低下や教育機会の制約といった形で、子ども自身に直接影響します。そもそも、養育費は子どもの大切な権利であり、子どものために適切に請求する必要があるものです。

今回の制度改正は、こうした背景を踏まえたものでもあり、両親の離婚によって子どもにしわ寄せがいかないようにすることを目指しています。養育費が「払うのが当然」のものへ変わる大きな転換ともいえます。

子どもの生活を支える大切なお金だからこそ、制度の変化を知っておくことが、いざというときの備えになります。
離婚後の子どもが安心して過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてください。

こども家庭庁のホームページでは、より詳しい情報やQ&Aが紹介されています。離婚後の子育てに不安がある場合は、参考にしてみてください。

nobico(のびこ)編集部

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