“評価される世界”は小3から始まる 折れない心を育てる親のかかわり方
小学3、4年生になると、子どもは学校や周囲から「評価される」場面が増えてきます。そんな中で、親はつい子どもに努力や結果を求めてしまいがちですが、その関わりが子どもの意欲や気力を奪ってしまうことも。
子どもの挑戦する心をつぶさないための関わり方について、臨床心理士の吉田美智子先生の著書よりご紹介します。
※本稿は、吉田 美智子 (著)『すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する』(高橋書店)より一部抜粋、編集したものです。
3~4年生:評価される世界に立ち始める
小学3〜4年生になると、子どもは自分を客観的に見られるようになり、自分と周りを比較するようになってきます。
がんばっているのに授業が難しくてわからない。かけっこでいつもビリになる。字が下手と言われる。塾に通い始めると成績の順番がでる。子どもたちは少しずつ評価の世界に立ち始めます。
学校では、学習の到達度が評価され、いい成績だと褒められ、そうでなければ「努力が足りない」「もっとがんばりなさい」と言われます。家庭でも、親は子どもの努力を応援し、いい結果を望みます。
それは当然なことですが、自律神経の視点から見ると注意が必要です。というのも、評価には自律神経を脅かす性質があるからです。
ポリヴェーガル理論を提唱するポージェス博士は、「人間は社会的なつながりのなかで生きる存在であり、悪い評価を受けることは居場所の喪失を予感させるため自律神経の脅威になる」と述べています。さらに博士は、「人は安全だと感じていないとき、社会的つながりと安心をつくる神経である腹側迷走神経は機能しない」と強調します。
ですから、わたしたち大人は、子どもを評価することに慎重でなければなりません。
できなくてがっかりしている子や劣等感や無力感を抱えている子に対して、「努力が足りない」と責めたり、「◯◯ちゃんはできてるのに」と比較したり、「このままだと置いていかれるよ」と脅したりするのは、できるだけ控えるようにしましょう。
なぜなら、こうした言葉は子どもの心身を凍りつかせ、ますます自信を失わせ、挑戦する意欲を弱めてしまうからです。
「大人になれば厳しい評価にさらされるのだから、子どものうちからその厳しさを知っておくことや、厳しさに負けない精神力を養うことが大切だ」と考える人もいるでしょう。しかし、この考えには2つの問題があります。
ひとつは、評価にさらされて脅威を感じるのは意志や根性ではなく、自律神経であり、そこを鍛えることはできないという点。
もうひとつは、子どものうちからその脅威にさらすことは慢性的な脅威体験となり、鍛えるどころかリスクのほうが多いことです。
リスクを具体的に言うと、自律神経の失調、不安や過敏さの増大、睡眠の乱れ、腹痛・頭痛などの身体症状、学習・対人場面の回避、自己否定の強化といった不適応が起きやすくなることです。
逆に、子ども時代を通して安心・安全・信頼感を十分に育ててもらえた人は、成人したとき、評価や比較の場面で感じる脅威に自分で耐えられるようになります。
たとえ緊張や不安を感じても、呼吸を整え、視線や声の調子をゆるめ、冷静さを保つことができます。あるいは、信頼できる人とのつながりを通して、安心を取り戻しながら再び前に進む力を持てるのです。これは、こころが落ち着ける範囲である耐性の窓のなかで、柔軟に自分を調整できている状態です。
子どもの成長に必要なのは、結果を評価されることより、安心して挑戦できる体験を積み重ねることです。
失敗しても受けとめてもらえる安全な環境があると、脳と自律神経は「挑戦しても大丈夫」と理解し、行動する力が育ちます。
挑戦がうまくいったら一緒に喜ぶ。うまくいかなければ、おだやかに寄り添う。
この一貫した関わりが、子どもの「またやってみよう」を育てます。そして、ストレスに強く、評価に折れない力であるレジリエンスがついてくるのです。
吉田 美智子 (著)『すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する』(高橋書店)
「すぐ泣いて手がつけられない」「何度叱っても効果なし」「落ち着きがない」、じつは、これらは子どもの「わがまま」や「性格」が原因ではありません。
自律神経が未発達なため、脳が危険モードに入っているだけなのです。
【本書は、こんなお悩みのある保護者におすすめです】
・子どものかんしゃくが頻繁で困っている
・イライラ怒りっぽい子どもの反応にびくびくしながら接している
・落ち着きがなく、うちの子だけウロウロしている
・学校、保育園、幼稚園に行きしぶる
・引っ込み思案で挑戦できない
・人前に立って発表するのが苦手
臨床心理士・公認心理師の著者は、18年間で2000組以上の親子のお悩みに向きってきました。
そして、上記のようなお悩みの解決方法として行き着いたのが、自律神経を育む子育てです。
本書は、自律神経の最新理論である「ポリヴェーガル理論」をベースに、子育てのお悩みを解きほぐしていきます。
