「こんなに小さなことで」と思うことに、子どもが暴れたり、めげたりすることはありませんか。
その理由について考えてみましょう。

 

 

 

なぜ「ガマンできない子」が増えているの?

 

人間は本来、自己抑制力をもっています。そのガマンする気持ちは、毎日の生活の中で小さなガマンを少しずつしていくことから育っていきます。私たちの生活の中には、やりたくないけれどやらなくてはならないこと、やりたいけれどやってはいけないことがたくさんあります。やりたくないけれどがんばってやる、やりたいけれど一生懸命ガマンする、この繰り返しです。つまり、しつけというのは、罰を与えることではなく、自分の中にきがってくる欲望や衝動を、いかに上手にコントロールするか、その仕方を身につけさせることなのです。


最近、些細なこともガマンできない子が増えてきているようですが、それには考えられる理由がいくつかあります。ここではその中から3点挙げてみたいと思います。

 

理由1

物が豊かになりすぎている

 

長い人類の歴史は飢えとの戦いでした。私たち日本人が飢えから解放されたのは、ほんの数十年前です。世の中が貧しかった時代には、ガマンのしつけは簡単にできました。しかし、物があふれている今、ガマンをしつけるのは難しくなってきました。だからこそ、親は意識してガマンすることを教えていかなければならないのです。
小さいときには小さいガマンが必要です。「もっと遊んでいたいけれど、寝る時間だから遊びをやめよう」「おもちゃを買ってもらいたいけれど、お誕生日(クリスマス)まで待っていよう」「おかしが食べたいけれど、おやつの時間までガマンしよう」。こうしたことの積み重ねによって、子どもは「したいけれど、してはいけないからやめよう」という行動がとれるようになっていくのです。欲望と抑制のバランスを上手にとれるようになることが大切です。

 

理由2

親のガマンが足りなくなっている

 

子どもがお店で「おもちゃ、買って〜!」と大騒ぎしたとします。はじめは、「今日は買いませんよ」と言っていたお母さんも、子どもが床にころがって、大声で泣きさけんだりすると、周りの人の目が気になり、恥ずかしいし、どうしていいかわからなくなって「しょうがない子ね。今日だけよ」などと、子どもに根負けしてしまうことはないでしょうか。

一度、「今日だけよ」と言ったら、それは「明日もいいわ」「いつでもいいわ」ということになってしまいます。

小さい子どものほしがるものは、たかが知れています。子どもの要求を受け入れたほうが、そのときは親も楽でしょう。でも、そこで負けてはいけないのです。子どもにもガマンを教えるには、親が「ダメなものはダメ」と貫きとおさなければならないのです。親にも忍耐力が必要です。

 

理由3

指示・命令ばかりで自分で考える習慣がない

 

お子さんに、指示したり命令したりすることが多くありませんか。指示ばかりされている子は、自主性が育たず、自分で考えたり、判断したりすることが苦手になってしまいます。
子どもには2、3歳のころ、なんでも「イヤ」という時期があります。そんなときは「着替えなさい!」と命令するのではなく、2、3枚の洋服を出して、「今日はどれを着る?」と聞いてみるのです。自分で選べると思うと、子どもは喜んで着替えます。小さいときから、自分で選んで決めるということをどんどんさせてほしいのです。ただし、親が決めるべきことと、子どもに決めさせてもいいことの区別はきちんとしなければなりません。
子どもは「あれをしてはいけません」「こうしなさい」と言われ続けると、反発します。自分で考えて判断できるように育てられた子は、「自分は親に認められている、信頼されている」と実感できていますから、ガマンする心も育つのです。

 


 

波多野ミキ  はたのみき
 

(財)波多野ファミリスクール副理事長・カウンセラー
 

早稲田大学文学部仏文専修、東洋大学文学部教育学科卒業。
「母親は子どもにとって最初の先生」という立場から、子育て・しつけを提唱。講演をはじめ、若い親のサポートを精力的に行なっている。

著書に『男の子はなぜ言うことを聞かないの?』(現代書林)ほか。

 


 

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『PHPのびのび子育て』は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌です。