小学三年生の男子です。あるゲーム機をクラスのみんなが持っていると言ってゲームを欲しがります。

 

ごちゃごちゃ言わず、買ってやれば良いことなのですが、みんなが持っているからと言って、買ってやるのはどこかおかしい気がします。ゲーム機はそれ自体は良いこともあります。

 

しかし、以前毎日ゲームをさせていた時期があり、そのときには落ち着きがない、またはソワソワするなど良くない面が見えたので、ゲームは週に一度一時間と決めました。子供もそれは守っています。


このことは子供の問題というよりもむしろ親自身の問題のような気もするのです。その場限りの問題解決は、子供にとっても良くないように思うのです。いつかしわ寄せがくるのではないでしょうか。何かに対して毅然とした態度を取りたいと思うのですが、その理由も見えません。自分の直感を頼りにしている感じです。

 

(38歳、女性、主婦)

 

 

◎孝子先生からのアドバイス◎ 

 

「ゲーム脳の恐怖」森 昭雄 著(NHK出版)という書籍があります。この書籍の著者である森先生は、ゲームが脳の司令塔と言われる前頭前野にどのような影響を与えているのかを脳波で測定されました。幼児から大人まで300人ほどにゲームをやってもらい、ゲーム前・最中・終了後の前頭前野の脳波(α波=安静、β波=活動している時)はどうなるかを調べたのです。

 

森先生とはインタビューもさせていただいて、その時の様子を詳しく教えていただいたのですが、結果を一言で言うならば、「ゲームをやりすぎると、痴呆症の方と同じ脳波になる」とのことです。

 

詳しく申し上げますと、ゲームばかりしている「ゲーム脳タイプ」は、前頭前野の機能が低下するのです。先述しましたように、前頭前野は脳の指令塔です。この前頭前野が物事を「考え」「判断し」脳の必要な部分に命令をだすのですから、人間であるためには、ここがきちんと活動していなくてはいけません。
 

しかし、ゲームをしている時は、前頭前野に情報がいかず、反射的に指が動いているということです。さらに、指を早く動かすには、無駄な神経回路を通らず、ゲームに適した回路が働くようになり、そこには前頭前野の活動が入ってこないのです。目と手を動かす神経回路だけがしっかりしすぎてしまうために、他に信号がいかないのだそうです。

 

さて、前頭前野の機能が低下してしまうゲーム脳になると、どうなってしまうのでしょう。
 

  判断力がない

  やる気がない

  キレル

  複雑なことを面倒がる

  忘れっぽい

  部屋の片付けができない

 

などが挙げられます。脳の科学的な見地からもゲームのやりすぎによる危険性は、実証されているのです。

 

最後に、ゲーム脳タイプのお子さんが改善された研究データもあります。昔よく遊んでいた「お手玉」も効果的だそうです。また、脳の血の流れる量から何をしている時に前頭前野がよく動いているかを研究されている東北大学未来科学研究所の川島隆太先生は、前頭前野を活発に動かすには、簡単な「読み・書き・計算」であるとおっしゃいます。そして、人と話すこと、コミュニケーションをとることが何よりも大切だということも併せて話しておられます。
 

上記のような話をわかりやすくお子さんに話してあげてください。お母さんが、直感を頼りにお考えになっていたことは正しく、科学的に実証されていますので・・・。
  

 

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斉藤孝子
さいとう たかこ

1963年生まれ。現在、 シングルエイジ教育研究会 主任研究員。

1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。