プロゲーマーになるための条件は? ふぇぐ選手が子どもに伝えたい「勉強はちゃんとしたほうがいい」
薬剤師、医療ジャーナリストとして活動し、4人の子どもを育てる筆者のもとには、「子育ての悩み」も多く相談が寄せられます。その中でも近年、増加傾向にある相談が『ゲームとの付き合い方』です。
『子どもが長時間ゲームをするのが心配』『ゲーム依存症では?』といった悩みは、多くの親が抱えています。そんな心配とはうらはらに「なりたい職業」の上位にプロゲーマーがランクインし、子どもたちはトッププレイヤーに夢中です。親は子どもとゲームと、どう向き合えば良いのでしょうか?
本記事では日本人初の賞金1億円を獲得したトッププロゲーマーであるふぇぐ選手に、プロゲーマーになった理由、そして親との関係、子どもたちに伝えたいことを聞きました。
【筆者紹介】吉澤恵理(よしざわえり/医療ジャーナリスト)
薬剤師、医療ジャーナリスト。 主要媒体での連載多数。4人の子どもを持つシングルマザー。
職業「プロゲーマー」とは?
近年、注目されるeスポーツ(eSports、e-Sports)。Electronic Sports(エレクトロニック・スポーツ)」の略称であり、コンピューターゲームやビデオゲームを競技(スポーツ)として行うものです。
2018年の日本におけるeスポーツの市場規模が約48億円だったのに対し、2021年には78.4億円まで成長、また2025年までには約180億円にもなると予想されています。(一般社団法人日本eスポーツ連合[JeSU]発表データ)
eスポーツを正式にオリンピック競技にすることも議論されており、ゲームは大きな夢と可能性があるといえるでしょう。現在、日本のプロ選手は300人を超え、世界で活躍する選手も増えています。
ちゃらんぽらん大学生とeスポーツとの出会い
ふぇぐ選手は、吉本興業が運営するよしもとゲーミングに所属するプロのeスポーツ選手です。対戦型カードゲーム「Shadowverse(シャドウバース)」の世界大会「ワールドグランプリ2018」で優勝し、当時、日本のeスポーツの大会では史上最高金額となった賞金100万ドル(約1億1000万円)を手にし、一躍時の人となりました。
ゲームのみならず、各メディアに活躍の場を広げているふぇぐ選手ですが、意外にも子どもの頃は、それほどゲームが好きだったわけではなかったと振り返ります。
【ふぇぐ】「小学校から高校までは、『遊戯王カード』の対戦にハマっていて、ゲーム機器を使用するゲームはそれほど夢中になることはありませんでした。毎日のように遊戯王カードのショップへ行き、友人たちと対戦するのが楽しかったことを覚えています」
そんなふぇぐ選手とシャドウバースとの出会いは、大学3年生の時でした。
【ふぇぐ】「僕はちゃらんぽらんで、明治大学に入学しましたが、授業はほとんど出席せず、大学3年生の時に留年することになってしまい、親に『留年のお金は出さない』と言われ、どうしようって感じでした。
ちょうどその頃、大学の先輩と飲んでる時にゲームの話になって勧められたのが、カードケームのシャドウバースで、言われるままにアプリを入れました。遊戯王をやっていた時の友人たちに聞いたら、みんなもやっているというので、『じゃあ、やってみよう』という感じで始めました」
シャドウバースを始めて見ると『思考力』を問われるゲームの面白さにみるみるハマっていったと当時を振り返ります。そんな中、2017年3月にシャドウバースの全国大会が開催されることを知り、出場を決めました。
【ふぇぐ】「その大会の優勝賞金は400万円で、自分がどのくらいやれるのかと思い、大会に出たところ優勝しました。その400万で留年のお金を自分で払うことができて、留年したおかげでゲームをする時間を持つことができました」