「いい加減にして!」「うざい!」――修復不能な親子関係に陥らないために、親は具体的にどのような対応をすればいいのでしょうか。
 

 

子育てコーチングのプロが出し惜しみなしで解説する家庭向け直販本『「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方』~思春期に入る前に知っておきたいこと~からご紹介します。

 

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◆だんだんと手を放していくのが基本

この時期の子育ての基本は、少しずつ子どもにまかせて手を放していくことです。大人から見れば危なっかしいことばかりかもしれませんが、極力親は口出しをしないで、信じて見守る態勢で接します。十一歳の子どもが、十六歳(五年後)、二十一歳(十年後)、二十六歳(十五年後)になったときに自立をしているためには、幼稚園のころと同じ子育てをしていてはいけないのです。

 

この時期の子どもの中身は半人前ですから、親にしたら、文句ばかりで行動が伴わず、腹立たしいことが続出します。子どもを信じて見守るというのは、言葉としてはきれいですが、実際には「そんなことではダメだろう」「もっとしっかりしてほしい」と感じてしまいます。見ていられなくなってガミガミと言ったり、腹いせまじりに暴言を吐いたりすることも多くなると思います。しかし、半人前のわが子を、「あえて」大人として扱うことが、本当の大人へと育てていくことになるのです。

 

◆一人の人として尊重する


子どもの思春期とどう向かい合うといいのでしょうか。

この時期の子どもは、「言うことは一人前、することは半人前」の状態です。親への要求だけは一人前にするけれど、親からの要求はまったく聞き入れないという、わがままで身勝手に思える時期に突入しています。

 

体も心も不安定なこの時期は、子どもから売られたケンカは買わないようにします。ケンカをするに足らないといったところでしょう。よほどのことではない限り、子どもの言うことは、あえて否定をせずに言わせておきます。そして、これだけは言っておきたいと思ったことついては、「私メッセージ」を使って伝えます。私メッセージとは、「お母さんは」を主語にして、あなたが感じたことを子どもに伝える言い方です。この言い方をすると、こちらの本当に言いたいことがまっすぐに伝わります。一方、「あなたは」を主語にした言い方を「あなたメッセージ」と言い、相手は自分が責められたと感じやすくなります。思春期の子に伝えたいことがあるときは、「お母さんは○○と思うけどね」と、お母さんが思っている気持ちをそのまま伝えます。また、「お願いだから、そろそろお風呂に入ってほしいな」と、お願い口調を使ってやりとりをするのもいいでしょう。それは親が子どもに気をつかうとか、子どもの言いなりになるということではありません。一人の人格がある大人として子どもと接していくということです。

 

例えば、あなたが夫の両親と同居をしているとしましょう。その家には、成人した未婚の義理の弟が同居しています。思春期の子どもは、この義理の弟のようなものです。頭ごなしに怒って自分の考えを言ってばかりでは、相手に嫌な思いをさせることでしょう。関係性も悪くなります。だからといって、お客さんのようになんでも好き勝手にさせてしまうと、こちらばかりが我慢することになってしまいます。成人した義理の弟であれば、「今日は夕飯を食べますか? 食べないとわかっているなら教えてほしいわ」と、理性的に言うことで関係を良好に保てます。

 

親だからといって、子どもに遠慮なく、頭ごなしに言いたいことを言っていては、あっというまにお互いの関係性が壊れてしまいます。子どもだからといって、遠慮なく言いたいことをすべて言っても許されるわけではないのです。ごく普通に、一人の大人として子どもを尊重して、気を配り、付き合っていくのがいいのです。

 


『「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方』
「第1章 思春期のことを知っておこう」より

 



【著者紹介】

東ちひろ (ひがし・ちひろ)

幼稚園講師、小学校教諭、中学校相談員、教育委員会勤務を経て、現在は「東ちひろマザーズセラピー」を主宰。上級教育カウンセラー、日本カウンセリング学会認定カウンセラー、(財)生涯学習開発財団認定コーチ。
心理学とコーチングを使った独自のアプローチ方法で、お母さんと先生のための電話相談を行ない、これまでに1万件以上の実績がある。相談を受けた93%の子どもが状況の改善をし、不登校児童・生徒の75%が完全に学校復帰をしている。
子どものタイプに合わせた即効性のあるアドバイスは、クライアントから「たった1回のアドバイスで、言うことを聞かない子どもが“やる気”になった」「怒ってばかりだった自分が信じられないほど“穏やか”になった」と好評を得ている。講演会・執筆活動にも精力的に取り組み、ホームページやブログ、メールマガジンでは、お母さんと先生に役立つ情報を発信し続けている。一男一女の母。
著書に『子どもが伸びる! 魔法のコーチング』(学陽書房)、『男の子をぐんぐん伸ばす! お母さんの子育てコーチング術』(メイツ出版)、『スペシャリスト直伝! 教室で使える! ほめ方・しかり方の極意』(明治図書出版)。

 

東ちひろホームベージ  http://www.kosodate-up.com/
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