3歳から必要なのは「安心感」…甘えさせるほど生きる力が育ちます!

石川洋子

子育ては迷いと不安の連続です。思い切り褒めて甘えさせることは、子どもにとって本当に良いことなのか——―。その疑問にお答えします。 

※本稿は『PHPのびのび子育て』2013年12月号から一部抜粋・編集したものです。

石川洋子(文教大学教授)
日本女子大学大学院修士課程修了(家政学研究科児童学専攻)。子育て支援、母親支 援をライフワークに活躍中。著書に『子育て支援カウンセリング』(図書文化社)ほか。

かわいがりすぎるとこうなりそう! ママの不安の声

「親から離れられなくなりそう……」
「友だちとうまく遊べない子になるかもしれない……」
「わがままな子になってしまうのでは……」

→大丈夫です! 甘えさせることで、人と関わる力、自立する力がつきます。

3歳の女の子ミカちゃんは、砂でプリンを作るのが苦手です。友だちが上手にプリンを作っては並べているのを見て、ついにべそをかいてベンチに座るお母さんのもとにかけ込んできました。

私たちは誰しも、何か拠り所が必要です。特に子どもは、何かあったら守ってもらえる、なぐさめてもらえるという安心感がいるのです。この安心感は、子どもの心に落ち着きやエネルギーをもたらします。

安心感をもとにして、子どもは他人への信頼感や人と関わる力、そして自立への力もつけていくのです。ミカちゃんの場合も、母親の隣という空間と時間が、これらの力を取り戻させてくれるでしょう。

甘えさせた後に道を示す

私たちは、子どもを単に「甘えさせている」のではありません。甘えを受け入れながら、エネルギーを取り戻させ、人に対する信頼感や人と関わる力を身につけるための 基盤を作っているのです。

甘えさせて力が戻ったら、その「次」があります。子どもが前に進めるように次に何 を示すのかが大切です。「どうすればうまくできるかな」と一緒にプリンを作ってみたり、「教えてくれる?」と上手に作っている友だちとの仲を取りもったりすれば、子どもは次への進み方がわかります。

親には、子どもを他人や社会へ橋渡しする役目があるのです。 何のために甘えを受け入れているのかを意識して、甘えで終わらせず、その次へ、一 歩前に進むためのかけ橋を作ることが大事なのです。